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真理の探究者  作者: しま
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三人目の支配者

翌日、9時。俺はライデスとの決闘の場所に向かう。

テンションは意外にも高い。今までのゲームプレイ上俺は正々堂々と戦った事が無いのだ。

なので、こうやって一対一で剣を交える事に興奮を感じている。


「お兄ちゃん楽しそー」「意外ですね。面倒だ、とか言うと思ってました」


「まぁ、最初は俺も思ってたんだが、アイツ俺の魔断ちをちゃんと受けたろ?そこそこに力入れて打ち込んだんだぜ?それを問題なく受け止めたってことはアイツは今までの奴らと違って強いはずだ。修行する前のエストリーと良い勝負なんじゃないか?」


「え!そんなにやるのか、アイツ!」


「多分な」


こうして少し真面目な雰囲気で街を歩くもんだから街の人が何だ何だと付いて来てしまった。

数分歩いた広場にライデスの姿が見えた。俺は走って奴の前に立ち高らかに言う。


「待たせたな!」


「別にそれほど待っていない」


やはりネタは通じなかった。


「決闘を受けてくれた事、感謝するぞ。まさか本当に朱雀まで攻略するとは思わなかった」


「約束は守る男なんでね。さぁ、ルールは手紙に書いてあった通りでいいんだな?」


「あぁ。どちらかが降参したら終わりだ。だが、降参を言う前に殺してしまっても問題は無い」


「分かった。じゃあ、楽しもうか」


「そうだな。始めよう」


多くの人だかりが出来ている中で俺たちは剣を抜いた。デルニオーラもいた。楽しそうに眺めてやがる。

ライデスの武器は大きな太刀だ。結構良いものっぽいな。

俺は両手に魔断ちを持って構える。

互いの呼吸が合わさった時ライデスが走り出した。


ライデスは俺が思ったより速いスピードで剣を横薙ぎに振るった。

俺は太刀の方で受ける。


(やっぱり力も強いな。受けられない訳じゃないけど)


俺は剣を受け空いている小太刀でライデスを斬りつける。

すると両手で持っていた太刀の片手を放し、手品のようにどこからかナイフを取り出して小太刀を反らせて来た。


一度距離を取ろうと後ろに飛んだライデスに対し、俺は蠍の連中に使った天秤刀のスタイルで斬り掛かる。


俺の見た事の無い戦い方にギャラリーも大きく湧く。ライデスも楽しそうに笑った。


この天秤刀は太刀と小太刀がくっついているので長さが違う。しかし、振り回したときの軌跡が太刀の方しか見えないので敵が間合いを取り辛いのだ。

俺は遠心力で敵に向かう刃がどっちなのかが分かる。


時に切り込み、時に距離を取り、時に蹴りを放ちながらライデスを追いつめようとするが、ライデスはしっかり対応して俺の攻撃を弾く。


「ふむ、中々面白い技だがあまり使い慣れていないようだな。付け焼き刃は通用しないぞ?」


「はは!バレてるか! 炎よ 爆ぜろ!」


右手を突き出し魔法を放つ。小規模な爆発がライデスを襲った。

ギャラリーが「魔法だ!」「この不意打ちならライデスもダメージ入ったんじゃないか?!」

と言っている。

しかし、ライデスは咄嗟に後ろに飛んで爆風でわざと距離を取った。

なにかしてくると感じた俺は再び両手に魔断ちを持って構えた。

そしてライデスは煙に紛れて別の武器を用意している。それは奴の十八番である弓だ。


ライデスは後ろに俺の後ろにギャラリーがいるのも構わず矢をぶっ放して来た。

前に撃たれたのと同じ、人に撃てるとは思えない程長く太い矢だ。

俺は矢を蹴って上空に逸らす。しかし、また矢が打ち込まれた。


(撃つ間隔短か!! どうやってんだ?つーか、観客殺す気かよ!)


二本目は太刀を放って素手で掴み投げ返してやる。

しかし、ライデスはお構いなく矢を放ち俺が投げ返した矢を壊して俺に向かって来た。

その頃には土煙はほぼ晴れている。矢を投げて体勢が少し崩れている俺は仕方なくもう一方の太刀も放って再び矢を掴んだ。


ライデスの弓は背丈程もある大きな物だった。地面に固定し、放つ弓。もはやバリスタだ。

弓矢は既に弦に添えられている。


「その矢、錬成して作ってんだろ」


「ほう。よく分かったな」


「つーか、後ろに客がいるのにおかまい無しに撃つってどうなの?」


「真剣勝負を茶化して見に来る奴らに遠慮などしなくていいだろう」


「まぁ、その言い分も理解出来るけどさ… やっぱり良くないだろ」


「だがこれで終わりだ。お前は武器は無い。何発か撃ち込んでも耐えるだろうが、いつかは貫かれるぞ」


「まだ負けじゃないよ。全ての手札は見せてない」


「ほう… 余裕だな。では、見せてみろ!!」


今までよりずっと速く矢を撃ってくるライデス。最早拳銃を撃っているような速さだ。


(流石に素手だと打ち落としきれないか…)

俺に迫る矢の大群が一瞬で横に吹き飛んだ。

ライデスの手が止まる。


「何が起こった?」


俺は無視して落とした魔断ちを拾う。


「させるか!」と再び矢を撃つが、またも弾く。


「な、なんだ、その剣は!」


今まで見た事がない、まるで意思を持つかのようにグネグネ動く<潜蛇>を見てライデスは思わず大声を出した。


「さぁ、第2ラウンドだ。この剣は俺の意思で動く。ちゃんと俺の思考を読まないと切り捨てるぞ?」


魔断ちを構え走る。ライデスは再び矢を撃ってくるが、潜蛇の防御によってかすりもしない。

ライデスの目の前に来た俺は魔断ちを振るう。


「おらおら!どうした!弓を防がれたら何も出来なくなっちまうのかぁ?!」


「っく!舐めるな!」


俺の言葉通り近接戦闘だと俺には及ばない。ライデスは受けきれなくなって体に傷を作り始める。

追いつめられたライデスが「かくなる上は!!」そう叫んだ。ライデスの腹がパカっと空き、そこから一つの玉が打ち出される。


「この流れで、この玉… 道連れに爆破するつもりか?!」


そう叫んだ俺は潜蛇を伸ばし、玉を何重にも覆った。

案の定玉は爆発し、ものすごい音をたてた。咄嗟に皆が伏せる程の音だ。

衝撃は少し漏れたが目立った被害は出ていない。


俺は拳を握りしめ思いっきり、手加減せずにライデスをぶん殴った。


「おい!街の中で何使ってんだ!熱くなり過ぎなんだよ!お前はこの街の住人でもあるんだからこの街を壊す真似なんて絶対すんな!一人で生きてる気になってんじゃねぇぞ!」


「グゥゥゥ… 無傷で対処されただと!」


「そんな他人の事を考えない戦い方で強くなれると思ってんのか?馬鹿みたいに突進するだけなんて誰でも出来るんだよ!お前は力は強いんだろうが、信念がねぇ!」


「信念? 俺の信念は強者との戦闘だ!」


「それで強くなれると思ってんの?」


「何…?」


「ようはさ、お前は今まで自分より弱い奴としか戦ってこなかっただけだ。だってお前の戦い方なら自分より強い奴と出会ったら死んじゃうじゃん。お前は守りの戦いを覚えろ。これ以上独りよがりの周りに迷惑かける戦い方したら殺すからな?」


そこで俺は本気の殺気をライデス一人に向けて放ってやった。


「うぅ…! なんだ、この殺気は… 今までは本気を出していなかったと?」


「ちょっとお前にムカついてるから殺気も強くなってんだよ。で?まだやるの?」


「い、嫌… 俺の負けだ…」


そう言って膝をつくライデス。


「全く。ガキの喧嘩じゃないんだから少しは弁えろよ」


そう言ってフェリスたちの所に歩いていった。

大きな歓声の中、俺はギャラリーに言った。


「確かに今回ライデスは人として間違った事をしたと思う。しかし、奴の戦いにかける情熱は誰よりも強かった!だから彼の戦いを汚す様な事を言うのは絶対に許さないぞ!!」


調子に乗ってライデスを責める馬鹿が現れるだろうと思ったので一応牽制しておく。


「お疲れさまー」「お疲れさまでした!ヒーローみたいでしたよ!」


「あざーす。あいつ、結構強いわ。体の一部の金属をもっと良い物にしたらもっと強くなるだろうな… まぁ、お灸も据えたし、暫くは大人しくなんだろ」


「やぁ、傷も負わずにライデスを倒すなんて、本当に化物だねぇ」


そう言ってきたのはデルニオーラだった。


「全く、人が集まったら危険な事になるのはわかってただろ。何とかしとけよ」


「いやー。流石に爆発物を使うのは予想できなかったし」


「弓を使うのは確実だったろ。俺が避けたらどうするつもりだったんだよ」


「一応僕の所の手練を均等に配置してたから何とかなったと思うよ?」


「あの数処理出来たの?」


「ごめん。無理だ。感謝するよ」


「じゃあ、借りを返すってことでこれから俺たちを例の吸血鬼の所に連れて行ってくれ」


「僕は仕事に戻るから行けないけど、馬車を用意しよう」


「おう。ありがとな」



こうしてSランク最強さんとの決闘は圧勝で終わったのであった。

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