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真理の探究者  作者: しま
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デルニオーラとのデート

明け方近くまで騒いだので昼まで寝るつもりだったが、10時頃に俺に会いにきた奴がいると宿のおっさんに起こされた。

寝起きは悪くないので怠さを感じながらも顔を洗って下に降りた。

そこにいたのはデルニオーラだ。


「やぁ、ゼロ。玄武と朱雀の攻略おめでとう。まさかSランクになっちゃうなんて。街の連中にも慕われているみたいだし。もう先輩だね」


「止めて下さい、先輩なんて。俺はただ剣を振り回してただけですよ。ここでもいつの間にか皆さんに受け入れられてました。運が良かっただけです」


「運も実力の内だよ。特に冒険者稼業は運で生き死にが変わる」


「まぁ、そんなもんですか。でも先輩とかは冗談でも言わないで下さいね」


「分かったよ。でも、これから僕に敬語を使うのは止めてくれない?少なくとも対等なんだからさ。歳も近いだろ?」


「俺はもうすぐ13歳ってところですよ」


「うわ!本当に子どもなんだな!僕はもうすぐ18になるよ」


「それでも若いですね」


「君に言われても何も感じないよ。取りあえず、四神を二つも攻略したんだから僕もお祝いをさせて欲しくてね。これから食事でもどう?」


「そうです…だな。明け方まで騒いでたから軽めの物でお願いしたい」


「分かった。オススメのカフェがあるからそこに行こう」


俺はデルニオーラに連れて行かれ時代を感じさせる喫茶店に入った。当然VIP扱いになって個室に通してもらう。

旨そうな匂いに腹を刺激され普通に食事を頼んでしまった。


「なんだ。普通に食べるんじゃないか」


「匂いに釣られたんだ。コーヒーは大好きでさ」


「へぇ。僕も好きなんだよ。ここでは冒険者ばかりだから何かと酒でね。こんな風に落ち着いて楽しめる所は貴重だよ」


「確かに。産まれて初めてこんないい雰囲気の所に来たかも」


「気に入ってくれたなら君の仲間も連れて来たら?」


「アイツらはうるさいから連れてきたくないね」


「ははは!それもそうか。また明日には残りの四神攻略に行くのかい?」


「いや、いくつかやる事ができてね。朱雀にライデスがいた事は知ってた?」


「うん。でも結構早く戻って来たって聞いたけど」


「朱雀の中で俺と会ってさ。決闘を申し込んで来たんだよ。だから近いうちにアイツと決闘するの」


「へぇ〜!それは面白そうだ!アイツは個人の戦闘力なら武封国内でも飛び抜けて高い。君とどっちが強いかって噂になってるよ。僕も見に行こうっと」


「別に見せ物じゃないんだけどな。あと、吸血鬼に会いにいこうかなって思ってる」


「…吸血鬼?」


「うん。なんでもここには神国から来た真祖がいるんだろ?是非一度お会いしたいんだ。どこにいるのか知ってる?知ってたら教えて欲しいんだけど」


「知ってるけど… いきなり襲いかかったりしないよな?」


「しないよ!ただどんなモンか確かめてやりたいだけだ。少し話したら大人しく帰るから!」


「そうか… 彼女は強いから流石にゼロでも勝てないよ。だから絶対に喧嘩を売らないようにね。こっちから攻撃しなければ何もしてこない。でも、会話は無理だと思うよ…」


「なんで?」


「ずっと同じ事を繰り返して言うんだ。それもこっちの言った事に返すんじゃなくて、決められたことを言い続けてるって感じかな」


「なんだそれ?神国を追われて狂ったのか?」


「それは僕たちの間でも一番の可能性として考えてるよ。特にどこかに移動する事もなく椅子に座って足を組んでる」


「敗残兵がずいぶん偉そうだな」


「本人の前で絶対言うなよ… 武封国を滅ぼされたらたまらないからな」


「大丈夫だって!信用して!」


「やるべき事っていうのはその二つ?」


「まぁね。あとランクが上がったから宿も変えないと」


「Sランク向けの宿なんてないよ?」


「マジで?!まさか一番上に上り詰めた結果が野宿かよ!」


「いや、Sランクなんて片手で数えるくらいしかいないんだから。皆自分の家を持ってるよ」


「家を買えと!?そんな金ないよ!」


「四神を二つも攻略してるんだから金ならいくらでもあるだろ…」


「その金はこんな事に使う金じゃない!よし、今いる所に居座ってやる!」


「こんなに早くSランクになった前例が無いからどうしたらいいか分かんないけど… なにか手を打つ必要はありそうだね」


「そこは支配者様がなんとかして下さいよ」


「あのね。君も支配者に分類されるべきなんだからね?一番上に立ってもおかしくないんだからね?」


「僕、子どもだから分かんないなー」


「まぁ、君は根無し草と聞くし、そんな期待はしてないけどね。確か皇国の出身なんだって?」


「うん。魔の森で産まれたよ」


「本当に魔王なんじゃないの? 皇国出身ならコーネリウス=マークスって知ってるよね?」


「あぁ、確か人類最強の魔法使いだろ?」


「他に何か知らない?」


「…何か知りたい事でもあるのか?」


「その口ぶりだと重要な事を知ってるみたいだね… この国に来たのも素直に冒険者として、ってわけじゃないのかな?」


「おいおい、いきなり険悪なムードを作るなよ。逆に聞こう。お前は何を知ってる?」


「コーネリウスがずいぶん前から行方不明になってるって事を皇国から聞いたんだ」


「皇国から?武封国は皇国と繋がりがあるのか?」


「いや、僕個人と繋がりがある」


「へぇ… じゃあ、俺が知ってる事を話してやろうか。

俺はホウガンにいた時に組合長から極秘依頼を受けてな。その依頼を一緒に受けた奴らに襲われたんだ。しかもソイツらはどうも皇国の騎士だってみたいで、ソイツらを殺して街に戻ったら組合長まで殺されていたんだよ。

俺は何故か分からんが皇国に狙われているみたいでな。これ以上面倒に巻き込まれないように皇国を出たってわけ」


「なるほど… 君は本当にコーネリウスとは関係がないのか?」


「人類最強ってのは興味あるが、そんな奴に会った事は無い。皇国の味方をしてるお前は俺をどうにかすんのか?」


「それはまだ分からないな。皇国は今コーネリウスが他国に拉致されたと考えている。第1候補はアレナだね。君はアレナの救世主様なんだろ?」


「まぁ、闘技大会で優勝してカリノフを王にしたのは俺だ」


「もし皇国がアレナに戦争を仕掛けたら僕は皇国に付くと思う。君はアレナに付くかい?」


「そうだな… そうなったら皇国は敵として認識するかもしれない。何とか皇国に戦争をさせないようにできないのか?」


「ちょっと上層部がおかしくなって来てるんだよね。コーネリウスがいたから成り立っていた国だし」


「じゃあ、手を切れよ」


「そうもいかないんだ。僕にも目指してる物がある」


「俺と戦う事になってもか?」


「大丈夫だよ。殺したりしないから」


「俺を敵に回さない方が良いと思うんだがな…」


「君こそ、僕を敵に回さない方がいいよ」


「まぁ、一番良いのは戦争をしない事だ。その為に何とか頑張ってくれないか?お前も戦争を好んでしたいとは思ってないだろ?」


「もちろん。そうだね。僕たちは戦わない。変な事を言ってごめんよ」


「いいよ。その若さで色々と背負い過ぎだぜ?」


「君に言われたくないな。本当に13歳か?」


「苦労してるんだよ」


「お互い大変だねぇ」


ここで戦争についての話は終わりにし、食事を再会する。

この後は好きな女はいるかとか、自分たちの戦い方についてなど取り留めの無い話をして時間を潰した。



夕方になってデルニオーラと別れ宿に戻る。

宿のおっさんに俺たちはここに居座ると告げようかと思ったら向こうから声をかけて来た。


「ゼ、ゼロ君!3時頃にここにライデスさんが来てこれを君に渡してくれと言われたんだ!」


そう言って一通の手紙を渡された。

筆で書かれていたのは「果たし状」


「ナニコレ… シチュエーション萌えなのか、アイツ…」


手紙を開くと改めて俺と戦いたいという宣言と、時間と場所を指定していた。


読んでいるとフェリスとエストリーが降りて来た。


「あ!帰って来た!どこの女と遊んでたんですか!」

「お土産ちょうだい!!」


俺はエストリーに読み終わった手紙を渡し、フェリスには「デルニオーラとデートだった」と言ってやる。


「ま、まさか… ご主人様は実はソッチ!!」

「わー!果たし状なんて初めて見たわー 実際見ると空回りしてて痛いねー」


また騒ぎ始めた二人を無視し、宿屋のおっさんに告げる。


「あ、俺たちSランクになりましたけどこの宿から出て行く気ないんで」


「え? ちょっ!!」


そのまま部屋に戻り鍵をかける。


(戦争か… ギルド武器を使った戦いは避けたいな… 俺のギルド武器は広範囲だから贖罪値的にマズい気がする。戦争の前にギルドが見つかる事を願おう)


外から「開けろー!」という乙女共の声を聞きながら俺は今後の戦争について考えた。


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