玄武制圧
皆さん、お久しぶりです。ニーナです。最近体を鍛えろと言われプリトゥさんにしごかれています。今私たちは魔の森を抜け東に向かっています。魔の森を抜けてから息子の気配が強くなったんです!
もう半年以上ここに住んでいていい加減ここでの生活にも慣れてきました。
でもゼロの事は一日たりとも忘れていません。この歳の子どもは成長が早いですから、見違えたように立派になっているのでしょう。
そんなことをいつも通り思いながらプリトゥさんの仕事を手伝います。
そんな時、プリトゥさんがいきなり立ち上がりました。
今まで見た事の無い驚いた顔をしています。
「ど、どうしたんですか?」
「今、ボヘミアの領地が広がりました… 場所は進行方向です… もしかして、本当に貴方の息子が主様なのですか?」
「えぇ!?ちょっと待って下さい。領地が広がったって何なんです?」
「ダンジョンを攻略したり他のギルドを滅ぼすとその場所が自分の領地になるのです…
今回制圧した場所は強い力を持った場所ではありませんが… これは主様がご自分の位置を知らせているのでしょう。急いで向かいます!!」
そう言って走っていく。
「本当にゼロがこの国と関係があるの?」
私はゼロに会えるかもという嬉しさの中に微かな不安を宿していた。
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玄武攻略。
攻略するとどうなるのか。ゲームでは空から光が降り注いでいました。
多分今頃ダンジョンは光り輝いているのだと思う。
「なんか、もっと熱い手に汗握る展開を期待していたんですけど…」
「エストリーも…」
「俺に任せたのはお前らだろ。こんなとこで楽しめる戦闘なんて出来るはずが無いんだ。だったらさっさと終わらせるに限る。さぁ、この奥には戦利品と外に戻るポータルがある。いくぞ」
亀がいなくなった先には扉がある。そこを開けて入ると中には財宝とアイテムが入っていた。
「おぉー。金額としてみると大したこと無いんだろうが、こうやってみると壮観だな」
「まぶしいです!」「レアな物ありそうだねー」
「まぁ、これからここにはいつでも来れる。他の階層に用はないからここを行き来するだけなら時間はかからないから安心してくれ」
「そーなんですか。良かったです!」
「守りは固めるの?」
「そうだな… せっかくなら召還しとくか サモン ロンズスライム」
ゴツゴツした黒っぽい2m程のスライムが数匹現れた。このロンズスライムは物理耐性がめっちゃ高い。魔法耐性も相当なもので攻撃されると突進してくる。
「通路を塞ぐように配置する。あとは… サモン 悪食箱」
次は宝箱そっくりなゲームではおなじみのモンスターだ。
100匹近く召還する。
「均等に散らばれ。敵は食っていい。装備は宝物庫に移動させてくれ」
そうそれぞれ命令を出すとダンジョンに潜るように消えていった。
「よし、これでこのダンジョンに手を出す輩はまず行きて帰れないだろう。今度こそ帰るぞ。組合は大騒ぎだろう。報告に行かないとね」
ポータルに入りダンジョンの外に転送された。ダンジョンの前には沢山の人が集まっている。
俺たちが突然出現すると騒ぎが大きくなった。
「おい!誰かが出てきたぞ!」「出てき方がカリム様がダンジョンを攻略したときと同じだ!」「じゃあ、本当にアイツらが玄武を攻略したってことかよ…」
そんなざわめきの中から一人の男がこちらに近づいてきた。
「よう。俺はここの冒険者組合長をしてるデンだ。お前らが玄武を攻略したんで間違いないか?」
「あぁ」
「本当に攻略出来る奴が現れるなんてな… しかも3人でこんな子どもが…」
「人生は意外な事が起こるから面白いんだぜ?」
「はっ!確かにな。それにしたって意外すぎるが。お前らにはこれから組合に来てもらうぞ。冒険者証を出してくれるとありがたい」
「ん?おう」
冒険者証を渡し、取り巻きに注目される中俺たちは組合長と馬車に乗った。
馬車の中で組合長は言った。
「攻略をした証明を何か提示出来ないか?」
「あ?今ここで?」
「そうだな。その方がありがたいんだが… 神から武器は与えられなかったか?」
「いや?そんな物は無かったな」
「そうか… やはり何か条件があるんだろうか…」
(こいつらギルド武器が手に入る条件知らないのか…)
「今度俺が最下層に連れて行くんじゃダメか?」
「ん?おう。それでいい。近いうちに頼む」
「じゃあ、明日は休むから明後日にしよう」
「次は残りの四神を攻略するつもりか?」
「あぁ。どこにするかは決めてないけどな」
「なら、朱雀は止めておけ。今ライデスが本格的に攻略を始めているみたいなんでな」
「ライデス… 確か3人目の国持ちだっけ?」
「あぁ。アイツはソロで戦う戦闘狂でな。はち会わせたら厄介な事になる」
「その人はどんな武器を使うんです?」
「色々だ。剣もナイフも使う。一番得意なのは弓だけどな」
「弓… ふーん。 おい、次は朱雀だ」
「なんでトラブルにクビを突っ込むんだよ!」
「ライデスさんには一度会って確かめたい事がありまして…」
「なんか、穏やかじゃなさそうだな。全く、名を挙げる冒険者はどいつもこいつも好戦的で困るぜ!」
「すみませんね」
「謝るくらいならやらないでくれ!」
組合に着くと個室に通され暫く待たされた。
そしてデンが俺たちの冒険者証を持って入ってきた。
「これが新しい冒険者証だ。全員Aランクにしてある。本当ならSでもいいんだが、まだ来てから日が浅いって言う事で余計な騒ぎを起こさない為にAにした。AとSじゃ重みが全然違うんだよな」
「なるほど。十分です。次に四神を攻略したらSでしょ?」
「それは間違いない」
「じゃあ早めに攻略しましょう。明後日に行きますので」
「早くないか?!」
「休みすぎるとかえって良くないですから。じゃあ明日の朝に僕がここにくるんで攻略したダンジョンに連れて行きますね」
「あぁ、頼んだ」
組合を出てからは街の人にもみくちゃにされ質問攻めにあって大変だった。
因縁を付けた奴らは問答無用で空高くぶん殴り黙らせ、非戦闘員の人には簡単に説明をする。
まだ皆信じきれていない感じだが時間が経てば騒ぎも収まるはずだ。
宿に戻るとおかみさんが迎えてくれた。
「もう!心配させて!玄武に行ったって聞いたときは心臓が止まるかと思ったよ!」
「すみません。でもちゃんと攻略してきたので大丈夫です」
「は?アンタ達が玄武を攻略?おばさんを騙そうたってそれはさすがに無理さ」
「いやいや。本当です。その証拠にホラ。Aランクに上がりましたよ」
「Aランクだって!本当だ!じゃあ、この宿にももう泊まれないねぇ…」
「そうですね。近々移ります。ドタバタ出たり入ったりで迷惑かけてすみませんでした」
「いいんだよ!元気があった方が楽しいんだから。今回はお祝いだね!腕を振るっちゃうよ!」
「ありがとうございます!」
今日の夕飯にはカリムやその一行、ロッソのパーティー、ゲイルが宿に来て宴会になった。
「いやー!本当に四神をこんな簡単に攻略しちゃうなんて!やっぱりアンタ達魔王なんじゃないの?」
「失礼ですよ、ロッソ!」
「いや、その姉ちゃんが言ってるのはあながち間違ってねぇんじゃないかと思うぜ。俺は魔王どころか魔神の域に達してるんじゃないかと思った事もある」
「ゲイルの旦那がそこまで言うのか!本当にとんでもねぇ奴らなんだな!」
「おじさん!お酒とって!」
「子どもは飲んじゃダメでしょ!」
「エストリーは見た目通りの年齢じゃないから良いんだよ!」
「あ!フェリスさんが飲んでます!貴方は本当にダメですよ!」
「うるせぃ!やっと地獄から解放されたんだよ!少し位飲ませろ!」
「誰か!彼女を止められる人呼んで!」
あっちはあっちで楽しく話しているようだ。俺はカリムと話している。
「いや、本当に攻略するなんて思っても見なかった。なんでAランクなのか疑問だ」
「来たばっかりでまだ馴染んでないからだそうですよ」
「下らねぇな!文句言う奴はぶっ飛ばせばいいんだよ!」
「カリムさん酔ってますねー」
「お前はこれから俺と対等だ!遠慮なんかすんじゃねぇぞ!そう言えばお前、デルニオーラに会ったそうじゃねぇか。どうだった?」
「カリムさんが言った通り気が合いそうな方でしたね。何と言うか、ちゃんと考えて行動出来る人でしたよ」
「そうだろ?別に支配者同士は仲悪い訳じゃないが、お前という新しい勢力が台頭してきた場合俺とデルニオーラはお前と仲良くしたいと思ってる。だから、片方に異常に肩を持つのは止めてくれよ」
「分かってますよ。別にここに定住するつもりも無いですから支配者として君臨するつもりなんて無いですし」
「そうか… 四神を制覇したら出てくってか?じゃあ次はどこに行くんだよ?」
「そうですね… 神国にでも行ってみましょうか?」
「ブフォ!神を信仰する奴が聞いたら殺しにくる様な事を平気で言いやがるな!そんな事を言えるならマジで四神を制覇しちまう気がするぜ!そうなったら舎弟にしてもらうかな…」
「ははは。お断りします」
「何だよ!」
こうしてこの世界で最初のダンジョン攻略は仲の良い仲間達に祝福してもらうという今まで経験した事の無い素敵なイベントをくれたのであった。




