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真理の探究者  作者: しま
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ダンジョン攻略の前の石

「改めて自己紹介させてくれ。俺はカリム。Sランク冒険者でギルド 武封のギルドマスターをやっている」


「ゼロです。Cランク冒険者。アレナから来ました。アレナでの一件は既にカリノフさんの手紙に書いてあると思いますが、ここにはダンジョン探索と冒険者として名を挙げる為に来ました」


「フェリスです。ゼロ様の従者をやっています」


「エストリーだよ!今はお兄ちゃんの玩具… ぐふぉお!!」


フェリスの裏拳で吹っ飛ぶエストリー。マゾなのか…?


「本当に伝説の幻想の魔女なのか… しかし、そんな伝説を目にしてもやはりお前さん達に対する興味の方が大きくなっちまうな。兄ちゃんは本当にアイツを倒したのか?って裏拳で吹っ飛ばしてるか…」


「えぇ」


「で、嬢ちゃんはSランクのパールを倒した…と」


「あぁ、あのおっさんですねー」


「軽く言うなよ… ちなみにさっきお嬢ちゃんが戦ったのもSランクだ。名前はシルヴァレ」


「え!そうなんですか!確か、Sランクって4人しかいないんでしたよね。てっきりここの支配者3人がSランクなんだと思ってました」


「あぁ、デルニオーラって奴がAランクなんだよ。でも、ギルド武器を持ってやがるからな。あの武器の性能は世界の理を歪めちまうほどの力がある。それのおかげでここまでのし上がったってことさ」


「へぇー」


「やっぱり気をつけた方が良いですか?」


「いや? お前ら意外と気が合うと思うぜ?」


「え? そうなんですか?」


「お前、目的の為に手段を選ばないタイプだろ?」


「いいえ! 目的の為に様々な手段を講じるタイプです」


「なら大丈夫だ。絶対気が合う」


「そうですか!安心しました」


「結託して俺を襲うのは止めてくれよ… で、玄武に行くって話をしてたな」


「えぇ。何か問題ありますか?」


「問題は無ぇ。ここに来る奴らはダンジョン攻略を目指してくるんだからな。でも、玄武の攻略は不可能に近いぜ?」


「なんで?」


「この四神の名前を付けられたダンジョンはモンスターの特徴で名前分けされたんだ。

青龍はオールマイティーに色んな種が出る。朱雀は遠距離魔法をよく使う奴が、白虎は近距離攻撃が得意な奴が多くいる。で、玄武は防御力が高い奴が多い」


「それは何となく理解してます」


「玄武のモンスターの防御力の高さはシャレになんねぇ。物理や魔法、それぞれに耐性を持つ奴が一度に何匹も現れるんだ。囲まれたら終わりだぜ?」


「攻撃力はどんな感じですか?毒などの攻撃はしてきます?」


「いや、状態異常を起こす攻撃はしてこない。攻撃力も単体なら大した事はねぇ。でも、一匹に手こずってるとどんどん増えて処理しきれなくなるんだよ」


「まぁ、攻撃力が大したこと無いなら大丈夫っす。一応組合には入るダンジョンの報告をするんですよね?」


「あぁ… 本当に行くつもりか?」


「そんなに心配しないでいいです。俺たちは普通じゃありませんから。これで俺も国持ち、貴方と肩を並べてみせます」


「そういって死んでいった奴は何人もいるんだが ……勝手にしろ」


ここで話は終わりとばかりにダンジョンに入る際の注意事項などを話してくれた。

30分程で俺たちはカリムの屋敷を出た。


「いやー。良い人ですね。本気で心配してくれてましたよ」


「まぁ、この見た目ならいくら強いって分かってても行かせるのに躊躇するよねぇ」


「まぁな。だが、そんなのは関係ない。サクッと攻略するぞ。ギルドが広がればボヘミアにいる奴らも何か気付くかもしれないしな」


「ボヘミアってなぁに?」


「前に俺は既に国持ちだって話したろ?それがボヘミアって名前なんだ。俺の旅の目的はそれを探すことなんだよ」


「ん?国があるならそこに行けばいいだけじゃん。見つけるってどういう事?」


「俺のギルドは空に浮いてる島なんだよ。宙に浮いて動いてんだ。だから見つけるって作業をしないといけない」


「ナニソレ… どうやって手に入れたの?」


「頑張ったんだよ。支配者が神でな。アイツはマジで強かった。転移魔法を使いまくるんだ。イライラする鬼ごっこだったぜ… そいつも今は俺の部下だがな」


「……こんなダンジョン楽勝だよね!」


「あぁ。楽勝だよ。こんな神どころか魔王すら出ない初心者ダンジョンなんてな…」



そのまま街に出てまた街の人達と交流を深める。

約束通り武器屋のおっさんの所にもよって魔断ちを貸してやった。

夕方にとりにくると言うと気持ち悪いテンションで礼を言われた。


そして冒険者組合に寄る。

組合の中に入ると空気が凍った。噂が広がっているみたいだな…

気にせず受付の前に行く。まだ昼なので人は多くなかった。


「こんにちは」


「こ、こんにちは。今日はどういった御用ですか?」


「明日からダンジョンに入る事にしたので入るダンジョンを伝えにきました」


「あぁ、そうですか!ご丁寧にどうも」


「え?報告するのが義務なんですよね」


「そうなっていますが一々ちゃんと報告する人はいませんよ」


「そうなんですか。そうなるといなくなった時に面倒ですね」


「そうなんです。その為に入る前にどこのダンジョンに行くのか教えて欲しいんですが、皆さん俺は死なねぇ!と言ってあまり従ってくれないんです。で、どちらのダンジョンに行かれるんですか?」


「玄武に」


「え?」


「玄武に行きます。宿泊道具は持っていますので制圧するまで帰りません。では、よろしく」


「は、はぁ… いってらっしゃい…」


あっけにとられたお姉さんは俺の言った言葉をちゃんと理解していないんだろう。

俺たちは会釈して組合を出る。


「難癖つけられなくてよかったですねー」


「いや!明日ダンジョンに入る前のどこかで何かあるとエストリーは見たね!」


「まぁ、エストリーの言った事は起こりそうだな…」


「難癖つけてきたらどうします?」


「両腕もらうわ。殺しはしない」


「ご立派です!」


そんな事を言いながら街をぶらつき買い食いをして夕方になったらカリブロの店に寄って魔断ちを回収した。

夜に宿を一時的に引き払う話をおかみさんにする。ダンジョンに籠ると言ったら凄い反対されたけど納得してもらう必要も無いので冒険者だからダンジョンに潜るのは当たり前だといって出て行く事を告げた。


翌日、変な奴に絡まれるのは嫌なので早朝に出発した。

玄武行きの馬車に乗る。俺たち以外の客はいなかった。


そして30分くらい進んだ所に石造りの小さな建物が見えた。

入り口の大きさで大体のダンジョンランクが分かるんだが、経験的に中の上と言った所と感じる。

「ど〜お? 手強そう??」


「ふっ 楽勝だ」


「ワクワクしますねー」


少し離れた標識のある停留所に馬車が止まり、料金を払って降りた。御者は特に俺たちに声はかけない。


そして、俺たちとダンジョンの間に10人程の頭にドクロな明らかに小物な男達が現れた。

その中の髪が緑の男が口を開く。


「お前らが最近噂の通り魔王って奴らか?」


「なんかそう呼ばれてるみたいだな。俺たちはそんな不名誉な名前で呼ばれたくはないんだが。それよりどけよ。俺たちはダンジョンに入るんだ」


「っけ!目上の者に対する口の利き方も知らねぇのかよ!俺たちはデルニオーラ様のギルド パニッシュのメンバーだ!次舐めた口利いたら殺すぞ!ガキども!」


「あぁ?お、お前ら… 雑魚並べて何言うのかと思ったら寄生してるギルドの虎の威を狩って偉ぶるだけかよ… そういうのは酒場でやってろ、カス」


そう言いつつ俺は<情報開示>でステータスを見てみる。

すると予想通り目の前の奴らには<ギルド パニッシュ>というギルド所属の文字が見えなかった。


「ふざけんじゃ…」


「第一、お前ら全員そのパニッシュとやらのギルドメンバーじゃねぇじゃねぇか」


「は、はぁ?!いい加減にしろよ!クソガキ!」


「これは向こうのギルマスさんにお話聞かなきゃいけなくなりそうだなぁ…」


「どうします?」


「まずは目の前のゴミを処理する。吠えてるミドリは生かせ」


「な、なんか怒ってます?」


「ギルドってのは本来は己が命を賭けて守りたいと思った仲間と作るものだ。そこに寄生して偉ぶるクズを見ると殺したくなるんだよ… 昔もそんなギルドをよく潰してたもんだ」


ギルドに潜り込んで闇討ちをしまくった俺が何を言っているのかと思うかもしれないが、俺は基本初心者狩りギルドとかを襲っていたので、そんなにギルドを滅ぼした事については叩かれていなかったりする。



「お前ら… あのガキども殺せ」


なんかキレて静かになったミドリが命令を出すと一斉に剣を抜いた。


「いいか?二人とも。取りあえずダンジョンに入って広めの部屋に行くぞ。そこで狩りだ。道中のモンスターは処理。ミドリには生きて帰ってもらいたいからな」


「予想通り!」 「早速楽しいイベントで嬉しいです!」


「じゃあ、状況開始」


相手に向かって一気に走りジャンプして頭上を飛び越えダンジョン内に侵入した。


「はぁ?俺たちをモンスターに殺させる気か!クソ、追うぞ!深く潜られる前に捕まえろ!絶対に俺たちの手で殺してやるんだ!」


俺は<気配察知>で奴らが近づいてきているのを感じ取り、ダンジョン一階の状況も大まかに捕らえる。700mほど進んだ先にボス部屋があるっぽいな。出てくるモンスターはレベルが低い雑魚ばかり。ボスもBランク程度だ。


「取りあえず、俺はボスモンスターの所まで行く。もう少しで長い一直線の通路があって、三つに分かれるからそこで分かれるぞ。ミドリは俺の方に来るよう仕向けるから他のお前らの方に来た奴は殺しといてくれ」


「はーい」「えー!最初のボスは一緒に倒したいよー」


「一緒に倒す様な強さじゃない。最初から期待上げてると絶望すんぞ」


俺たちは相手と一定の距離を保ちながら走る。途中で出てくるのは亀のようなモンスターと甲虫のようなモンスターだ。それらを俺が切り裂きながら進む。素手で戦う乙女どもが触りたくないとごねやがったからだ。


一直線の道に入ってから俺はミドリの横を走る奴に向かって軽くナイフを投げてやった。


「ぎゃっ!」と短い悲鳴と倒れる音が聞こえる

。俺はそのまま中指を立てて「おい!ミドリ!リーダー気取りならお前が盾になれや!」と怒鳴ってミドリを煽った。


「ふざけんじゃねぇぞぉぉぉぉ!!」


俺たちは予定通り道を分かれて進む。


「あのガキは俺が殺す!3人ずつで女を追え!残った二人は俺に着いてこい!ガキが進んだ場所はボス部屋だ。アイツがボスを見て呆然としてる間にぶっ殺してやるんだよ!」


少し立ち止まってそんな会話をしているのが聞こえる。



さぁ、ボス部屋に来て呆然とするのはどっちかな??

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