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真理の探究者  作者: しま
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支配者カリム

子ども三人で街を歩く。

普通なら何か事件に巻き込まれそうだが、皆がこっちを興味と恐怖の混ざった眼で見てくるのが分かる。


「俺たち相当有名になったっぽいな。あまり良くない意味で」


「そうですねー。やりすぎましたか。ちょっとイメージアップをした方がいいかもです」


「完全に私の比率が大きいよねー」


「別にエストリーが悪い訳じゃないだろ。あ、そうそう。お前用に何か装備を上げようと思うんだけど、何か欲しい装備ってある?」


「え〜!装備くれるの?ありがとう!でも、エストリーは体を透過させて戦うから私の魔力と融合出来ないモノはつけられないなー。魔力を底上げする物か、私の魔力と融合させられる物なら欲しい!」


「なるほど。ちょっと考えてみるわ」


「わーい!」


今回も色々なヒトと会話をする事で俺たちって実は普通なんじゃね?という意識を回りに植え付ける作業にいそしむ。

女子二人が人懐っこく笑顔で会話してりゃ警戒心なんて薄れるんだよ。


一日丁寧な冒険者として接していたため街のヒトの警戒は大分薄れたみたいだ。

元から大きな街じゃないから苦労しないですんだな。

ちなみに今日は組合には寄っていない。


宿に戻りおかみさんが一緒に食事を摂ろうと言ってきたので了承した。

今日会った出来事をエストリーが話す。

よし、ここでも仲を深めているぞ… エストリー偉い。

いい装備をプレゼントしてあげよう。



そして翌日。今日から冒険者として動き始めようかと話していたときに宿に二人の来訪者が来た。

男女の冒険者で二人とも中々強そうだ。


「君たちがゼロ、フェリス、そして幻想の魔女エストリー殿か?」


「そうだけど、貴方達誰?」


「我々はカリム様に使える冒険者だ。昨日カリノフ様からの手紙を渡しにきてくれたのに門前払いしてしまった事にカリム様が怒ってしまわれてね。今日は時間を作れるかな?これからカリム様の屋敷に招待したんだが… カリム様も噂の通り魔王に会いたいんだそうだ。」


「ほー。別にいいですよー。今日はダンジョンに着いて勉強しようと思ってましたんで、カリム様から直々にお話を聞けるのならばこちらも嬉しいです」


「ほう。噂よりもずっと礼儀正しい子だな」


「礼を尽くして下さっている方に失礼な口はききません。逆に売られた喧嘩は買う。それだけですよ」


「ははは!気に入った! では、君たちの準備ができたら行こう。私はレイ。この女性はフラールだ」


「よろしくお願いします」


準備を済ませ昨日歩いた道をたどりカリムの屋敷に向かう。

その間で俺たちは自己紹介をした。


レイもフラールもAランク。カリムがダンジョンを攻略した時のメンバーらしい。つまりパーティーメンバーってわけだ。

そんな古株を寄越すのかと少し警戒したが、冒険者の間での俺の噂は結構悪いものらしくいざという時戦える者を寄越したという事らしい。


「そんな凶暴じゃないっすよー。昨日ロッソにも言われて少し反省してるんで。これ以上我々のネガティブイメージが広がらない事を祈るだけですねー」


「……なんか良い事したら?」


そう言ってきたのはフラール。

何か半眼で眠そうな眼をしてる。あまり喋らないのかなと思ったら意外とおしゃべりが好きらしく、短い文でポツポツ喋る精人だ。


精人とは広義には精霊に分類される種。

魔法が強く、得意な魔法は個体によって様々である。

全体的に細身な体をしており、色白なのが特徴だったりする。結構QTでは見た目の点で人気の高かった種族だ。


「良い事って… 悪人をダンジョン内で殺すとか?」


「……それは良い事じゃない… ゼロ、可哀想な子、なの?」


「止めて下さい!冗談です。貴女はもとから感情が読み取りにくい眼をしてるんですから!そこに哀れみの感情を込めた眼で見られたら凄く悲しい気分になります!」


「何かあれば力になる」


「どうも…」


「はっはっは!フラールに気に入られるんならお前は悪人じゃないな!フラールはガキが好みなのか?」


「少なくとも汗臭くて品のない男よりは好き…」


「そうかそうか! 屋敷に入る前に一つ言っとくけど入ったら間違っても武器は抜くんじゃねぇぞ?」


「分かってますよー」


こうして改めてカリムの屋敷に招かれた。

そのまま二階に進み、大きな扉が見えてくる。

歩きながらレイは言った。


「この部屋が応接室だ。そこにカリム様がいる。くれぐれも失礼の無いようにな」


そんな事を言っているが、俺たちには中に武器を抜いた奴が3人いるのを感じていた。

俺は首を回してフェリスとエストリーを見る。


「いいか?くれぐれも”武器は”抜くなよ?人が死ぬのは良くない。 楽しみだなぁ」


そのときの俺の顔はエストリーと戦ったときやフェリスと訓練する時のような獰猛な笑みを浮かべていたのだろう。

二人も笑みを浮かべながら「承知しましたー」「は〜い」

と返事をする。


レイがわざと勢いよく扉を開ける。俺たちはためらい無く中に入った。

横目で少し驚いた顔をするレイが見える。


(多分、気付いてないのか?とか思ってんだろうな)


そして前から3人の冒険者が突進してきた。

俺に向かってきたのは超デカい男。横にも縦にもデカい。

ハンマーを持ち、風魔法でこっちに走ってくる。


フェリスに向かっているのは初老のじいさん。両刃剣を持っている。

なんというか、オーラがあってかっこいいな。


そしてエストリーに向かっていったのは少女と言っても良い年齢の子だった。双剣を持って這うように対象に向かっている。


どいつもこいつも結構本気だ。殺す気で来てるぞ…


既にデカいのは俺の前に立ってハンマーを振り下ろそうとしている。

しかし俺は笑みを浮かべたまま動かない。

少し眉を顰めながらもハンマーを振り下ろしたが、俺はそれを片手で受け止めそのまま受け流し、相手の力を利用してぶん投げ背中から思い切り叩き付けてやった。


っどぉぉぉぉぉん!!


とものすごい音が響き屋敷が揺れる。

男は「ぐぅっ!」と唸り動かなくなった。殺してはいない。


味方が一瞬でやられた事に驚きを見せるじいさんの隙を逃さず、鳩尾に鋭く拳を叩き込むフェリス。じいさんも「かはっ」と声にならない悲鳴を上げ後ろに飛び膝をつく。


エストリーに至っては少女を壁に少しめり込ませていた。

多分あの子はエストリーに効果がある様なレベルの魔法を使えないんだな。ならエストリーにとっては何の障害にもならない。


部屋には20人近い冒険者がいたが、一様に言葉を失い自分が今見た光景を信じられないでいるようだ。

俺たちは何もありませんでしたよ?という顔をして椅子に座り一部始終を見ていた男を見る。


ソイツは人間だった。短い髪に鋭い眼光。自分の屋敷なのに装備を全て身に付けている。


「はじめまして、カリム様。ランクC冒険者のゼロです。我々をお呼びという事で参上致しました」

そう言って軽く頭を下げ微笑んでやる。


「おいおい… カリノフからの手紙には今まで会った中で最も強い人間だと書いてあったが。まさか本当だとはな。お前らが一瞬でのしちまったのは内のギルドの5本指に入る猛者だぞ?」


「へぇー。そうなんですか。まぁ、ここで一番強いからと言って世界で一番強いとは言えませんからねぇ」


「くっくっく… 確かにそうだな。だがこの強さ、最早冗談にしか思えん。それでランクCとEとG?おかしいだろ。お前ら武器も魔法も使わないで純粋な肉体能力で勝ったんだろ?」


「えぇ。武器を抜くなとレイさんに言われましたから」


「結構嫌みな奴なんだな」


「殺さなかったんですから感謝こそすれ文句を言われる筋合いは無いですねぇ。次は貴方が遊んでくれるんですか?死んじゃいますよ?」


「本当に恐れを知らねぇガキだ!そういうの嫌いじゃねぇ!カリノフからの手紙にお前らの力になってやれって書いてあったんが、俺なんかの後ろ添えは必要なさそうだな」


「いやいや!そんなワケ無いじゃないっすか社長!支配者様の後ろ盾を頂けるなら面倒ごとに巻き込まれず済むんです!こっちは静かにダンジョン攻略したいだけなんで、冒険者同士のいざこざなんかに巻き込まれたくないんですよ!」


「急に卑屈になりやがったな… お前って奴がわからねぇ」


「初対面の子どもを殺そうとした罪滅ぼしとカリノフさんの手紙を理由にして僕たちと仲良くして下さいよー」


「はぁ… とんでもねぇ奴が来ちまった。で?ダンジョンってどこを攻略するつもりなんだ?」


「まずは玄武から。そして4つの有名ダンジョンは俺たちが頂きます」


「はっはっはっは!!! 本当に規格外な奴らだな! ちょっと腰を落ち着けて話そうぜ!気に入った。おい、客間に移動だ、コイツらにお茶を出してやれ」


「ありがとうございまーす」


「なんか面白い事ないんですか!暇です!」


「エストリーお菓子食べたーい!」




そう言って俺たちを連れ応接間を出るカリム。

周りの奴らはまだ理解が追いついていない。

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