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真理の探究者  作者: しま
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武封国の観光

宿で当てがわれた部屋に入る。広くていい部屋だ。食事はすぐに持ってきてくれるらしい。

普通は食堂で食べるらしいが、今は夕食を出している時間にしては少し遅いらしいので持ってきてくれることになったのだ。


「いやー!いい部屋ですね!」


「おう。でも速やかに退居を迫られるぞ。ロッソから」


「その前におかみさんと仲良くなればいいんですよ!」


「あぁ、それはありだな。でも、ランクが上がったら宿は変えなきゃいけなくなると思うぞ」


「ランクにあった宿に泊まるのが暗黙のルールみたいになってるっぽいよねー」


「よーし、夕飯が来る前に明日の予定を決めよう。明日は観光だ!」


「「おぉー!」」


「ロッソ達を使って顔を売るぞ!そして街の様子を観察するんだ!」


「なにかトラブルに巻き込まれそうですね!」


「それはまだ早い!」


取りあえず風呂に順番に入った。幼女だからと一緒に入ろうとするエステリーの頭に潰命を軽く当て床に這いつくばっていてもらう。魔力の集合でも体があるので効果が作用したみたいだ。こんな下らない状況で新発見をしてしまった。

そして夕飯を食べながらこれからの話をする。


「ダンジョンはどうするのぉ?」


「優男が言ってた4つのダンジョン攻略を目指す。最初は… 玄武ってとこかな」


「何でですか?」


「名前がモンスターの特徴を表してるって言ってたろ?なら多分玄武は守りが厚いダンジョンってことだ。俺たちの圧倒的火力を示すのにいい場所だと思う」


「なるほど!これで晴れてお兄ちゃんも国持ちだね!」


「国持ち?」


「神が作った試練を突破するとそこが自分の国になるんだよ。大昔はギルドっていう呼び方をしていたらしいんだけど。ギルドを作るとそこにヒトが集まって国の形をとるようになるから、いつの間にかギルドを国って呼ぶようになったんだ。ギルドって言葉の意味も分からないから国って名前が定着したんだよ」


「へぇー… それなら国は既に持ってる。まぁ、ギルドは支配領域を広げれば強化されるから広げるのは問題ないけどな」


「え…? 国を持ってるの?」


「その説明はおいおい。いつかお前も招待してやる。で、攻略するダンジョンだが、その4つのダンジョン攻略を目指すぞ」


「4つ全てですか!ワクワクしますね!」


「最初は一人一つ攻略しようかと思ったんだが、ヤだろ?」


「そうですね!せっかくなら皆でやりたいです」


「エストリーも!」


「だよなー。皆で楽しくサクサクやろうか」


「「はーい!」」



翌日。

朝飯を食堂で摂っている時にカリノフから手紙をもらった事を思い出した。


「カリノフから手紙預かってたの忘れてた。しかも、送り先のカリムってここの支配者じゃん…」


「あ〜。そんなの貰ってましたねぇ」


「どうしよう。今日連れてって貰うか! 早く済ませた方がいい気がする」


「そうですね。そうしましょう。観光ついでに支配者も見ときましょう!」


「おいしいお菓子くれるかなー」


「くれるんじゃないか?」


そんな話をしていたらロッソが迎えにきてくれた。


「おはようございます。今日は一人なの?」


「まぁ、よく一緒に仕事を受けているけど、いつも一緒って訳じゃないしね。それにこれは仕事じゃないし」


「それもそうだな」


「で?今日は何をしたいの?」


「観光だ!」


「仕事は受けないの?ダンジョンに行くとか」


「それはまだまだ後でいい。仕事を受けるのはやりたい事じゃなくてやるべき事なんだよ!」


「はぁ、そう。で?なにが見たいの?」


「ただ街をブラブラしたいかなー。オススメの店とか教えてくれると嬉しい。アイテムも食事も含めて」


「オッケー。じゃあ、案内するわね」


「「「お願いしま〜す!」」」


おかみさんに見送られて宿を出発そのまま街を歩き出す。


「そう言えば、この子が例の伝説の吸血鬼なら、貴方達はこの子の子分ってこと?」


「何言ってるの!お姉さん!この二人はエステリーなんかよりずっと強いんだよ!?」


「はぁ?」


「はっきり言ってエストリーは二人の足下にも及ばないって感じだったねー。あんな強い存在に会ったのは真祖以来だったよー。あ!そうだ!お兄ちゃん、この武封国に真祖がいるらしいから会いにいってみない?」


「おぉ!面白そうだな!行こう!」


「ちょっと、一つ一つ驚く間を与えなさいよ!え?!アンタ達は幻想の魔女より強いの?」


「あぁ」 「まぁ、サンドバックですな」


「嘘… もしかして支配者の方より強いかもしれないってこと?だから支配者の方に喧嘩売られたら買うみたいな事言ってたわけ?」


「別に喧嘩したいわけじゃない。でも向こうが理不尽に絡んできたら産まれてきた事を後悔させてやる。そして、それが俺たちはそれが出来る実力を十分持っている、と思っているよ」


「武封国が崩壊する!!」


「おいおい… ここを戦場になんかしないよ。それに建物を壊すような戦闘は基本しないし。

あと、例の4つダンジョンを攻略していくつもりなんでよろしく。邪魔する奴がいたら首根っこ掴んでダンジョンに引きずっていって帰らぬ人にしてやる」


「あのダンジョンを攻略するのね… もう勝手にして。出来そうな気がするし」


「おう。じゃあ、案内よろしく」


こうしてロッソに街を案内してもらう。


この街は決して広くはない。冒険者が必要な物を無駄無く詰めたって感じの構成になっている。

そして街からダンジョン向かって延びる街道が作られており、そこから外れると荒野が広がっているという作りだ。

ようは人工的な道を歩けばダンジョンにつくって事。定期的にダンジョン行きの馬車も出ている。


「ここが私たちがよく行く食事処よ。アンタ達は… 来て欲しくないけど…」


「よし。毎日通うぞ!」 「当然です」 「後悔させてやるぜ!」


「トラブルは本当に止めてね… 凄く良い人なんだから。次行くわよ」


「次は?」


「防具とかアイテムを売ってる店ね。魔法を籠めたアイテムなんかも売ってるわ。ブランの行きつけ」


「ほー。面白そうだな!」


着いたのは中々年季の入ったぼろい家だった。


「ここ?」


「そう。次行くわよ」


「中入らないの?!」


「私たちのいない時に行ってくれると嬉しいんだけど」


「……ロッソの紹介で来ましたって言うぞ?」


「入りましょう!」


自分の感知出来ない場所で自由にされるよりここで出来る限り手綱を握った方がいいんじゃね?と暗に提案したら受け入れた。


「こんにちはー」


ロッソと共に店に入る。

「おはよう、ロッソ。今日は早いんだな」


そこにはエントがいた。

エントとはQTの種族で体が木で出来ている亜人だ。土魔法や風魔法を得意とし、植物と会話出来るなんて言う珍しい能力を持っていたりする。

大きさは様々。強くなるとデカくなるみたいだ。

このおっさんは2mちょい。はっきり言って大した事ない。

昔プレイヤーで5mを超えるエントがいた。アレは最早天災レベルの魔法を使ってたな。


「どーもー」「「おはようございまーす」」


俺たちもおっさんに挨拶する。


「ずいぶん小せぇ荷物持ちだな。ロッソ。保育士にでも転職したのか?」


「違うわよ。カリブロさん。この子達が昨日の問題児よ」


「あぁ!通り魔王って奴らか!本当にガキじゃねぇか!」


「と、通り魔王?」


「あぁ、アンタ達の今現在のあだ名よ。最低でもSランク級に強いだろうって噂で持ち切りなの。でも実際のランクがCとEとGだから最早ワザと隠蔽しているんじゃないか、もしかして魔王なんじゃないかって噂が流れてんのよねー」


「んなわけないだろ!」


なんてことだ。これ絶対システム上の何かが影響している。称号で呼ばれるなんて思っても見なかった。


「通り魔王なんて、下らないシャレですねー」 「さすがに寒いわー」


「そうだ!そんな下らないこといってるんじゃない!おっさん!俺はゼロだよろしく!」


「お、おう。よろしくな。魔王が来たって聞いた時はどんな化け物なんだって思ったけど、普通のガキじゃねぇか」


「そうやって油断を誘っているのよ…」


「誘ってねぇよ!」


「そうです!私が誘っているのはご主人様だけです!」


「黙れよ!」


「ま、まぁ。俺はここで装備やアイテムを売っている。何か入り用ならいつでも来てくれ」


「ありがとう。お世話になります」


「な、なぁ。アンタら、魔王とか呼ばれてるくらいならかなりの装備を持ってるんだろ?兄ちゃんの腰に差してる太刀、相当な業物だよな?」


「これか?皇国で世話になったヒトから貰ったんだ。俺の愛刀だよ」


そういって<魔断ち>を見せてやる。


「おぉ! こりゃ、すげーな!」


おっさんはこの後も<魔断ち>を観察し興奮していた。

<潜蛇>とフェリスの装備はちょっと次元が違うので見せない方がいいな。


「あ、そうだ。ロッソさんや」


「な、何よ」


「昼飯食ったらちょっとカリムって奴の家に案内してくんない?」


「は? 何でカリム様の名前が出てくるのよ?! 嫌よ!」


「それがさー。アレナ共和国のお偉いさんから手紙預かってて。それを早く届けないと行けないんだよー」


「……え? なにそれ。アンタ達本当に何者なの?」


「まぁ、俺たちの事はじきにもっと細かく分かるようになると思うよ。ってことで、カリムの家に行きたいんだ。別に一緒に中に入れとは言わないからさ」


「…分かったわ」


「ありがとう!じゃあ昼飯にしようぜ。おっさん武器返して」


「あ! まだ見ている途中なのに!」


「ニヤニヤ見つめてるだけじゃん。キモイわ」


「な! ま、また来てくれ! 色々サービスするから!」


「吐き気がする様なセリフ吐くんじゃねぇ!」


こうして俺たちはドン引きし、逃げるように店を出た。

当然さっき教えてくれたオススメの店で食事をとりカリムの家に。


そこは無骨な石造りの豪邸だった。

門には門番がおり、俺たちはそいつらに近づいていく。


「あのー、すみません」


「どうした、坊主。ここはカリム様のご自宅だぞ」


「えぇ。アレナ共和国のカリノフ様からカリム様に手紙を渡すように申し付けられまして。これです」


「ほう… 懐かしい名前だな… わかった預かっておこう。帰っていいぞ」


「はい。よろしくお願いします。帰るぞー」


「「はーい」」


中に通される可能性も考えていたが予想通り門前払いだった。

まぁ、そっちの方が楽でいいか。


「てっきり中に入れろ!って言うかと思ってたわ」


そう言うロッソ。


「あのさぁ、俺たちは基本的に平和主義者なんだぜ?触るモノ皆傷つけるギザギザハートじゃねぇんだよ」


「何言ってんの?」


「まぁ、今日はありがとうな。こっからは俺たちで回ってみるよ」


「あ、そう?分かったわ。くれぐれも喧嘩しないでよね!」


「分かってるよ。ママ」


「だれがママよ!」


こうして俺たちだけの武封国ツアーが始まった。


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