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真理の探究者  作者: しま
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アレナ編 終幕

結局報酬は俺が折れて何か貰う事になった。

しかし、俺が選ぶのは拒否。何か適当に見繕えと言って丸投げだ。


最初カリノフはシェリルを嫁にやると言っていたが却下。

アレナに定住するつもりも無いし、俺たちの旅に同行させたらあっという間にひき肉になる。

こんな危険な人間に嫁がせようだなんて、お前はせっかく救った娘を殺したいのか?と胸ぐらを掴んで問うた。


戴冠式の翌日は街のヒトとの交流。自分たちはこんな国にしたいんだ!と高い志を持つ者達と会話をし、皆で議論をする広場をもうけた。

詭弁に走るな、とか宗教を政治に使うなとか現実世界で民主主義の為必要な思想を色々と話した。

最初の街ラケナリアで俺に絡んできたおっさんや運び屋にもあった。

俺の勝利を聞いてすぐこっちにきていたらしい。

俺の言葉通り俺にかけて大儲けだったそうだ。ちなみに俺も白金貨1枚をマジでかけていたのでもう稼がなくて良いんじゃね?ってほど儲けた。アレナの財政傾けたよね。

これがあったから俺はカリノフから金銭を要求しなかったのだ。どうせ賭け事の金は黒い金なんだから敵対勢力の力を奪う意味でも良い仕事したって事にしといてくれ。


街の治安も自警団が頑張っているので俺が動く事は稀だ。たまにすぐ近くで暴れる奴にお話をする程度だ。

舎弟にしてくれと頼む輩も結構いたが、エストリーより強いのか?と聞くと皆冷や汗を流し始めたのでそう言う奴らは自警団に入ってもらう事にした。

なんせSランク冒険者が期限付きとはいえ入っているのだ。十分鍛錬になる。

こうして自警団はどんどん発展していくのであった。


——————————————————————————————————————


そうそう。そのSランクのおっさんが俺に勝負を挑んできた。

俺がフェリスより強いという話が信じられなかったらしい。

そのおっさんはSランクという肩書きに似合わないため少し嫌いだった。いい人なんだけどね…

朝早くに叩き起こされたのも俺のフラストレーションを上げた。


「小僧!確かに嬢ちゃんには負けたが、俺はお前にまで負けるつもりはねぇ!」


「おっさん… 私の話し聞いてなかったんですか?ご主人様は私を秒殺できる強さなんですよ?

貴方は光の速さで殺されちゃいますよ?」


「うるせぇ!とにかく勝負だ!あくびしてんじゃねぇぞ!」


「フェリスー。俺言ったよなー。コイツを俺に関わらせるなって… 何?喧嘩売ってんの?」


自分でも制御せず本気の殺気を垂れ流す。最早噴出してる。

その場にいた者が全員震えていた。カリノフの使用人は泡吹いて気絶している。

シェリルは涙目で座り込んでいるがちゃんと意識を保っていた。強くなったね…


「い、いえ!私は関係ないですよ!このおっさんの暴走です!」


「お前に任せるって言ったよなぁ… 何で暴走を許してるんですかねぇ?」


「ひっ! おい!おっさん!取り消すんだ!骨も残らないよ!!」


パールは顔を青くして震えている。「あ、あ…」とか最早言葉を発していない。カオナシみたいだ。


「いいよ。おっさん。遊んでやろう。そしてフェリス。これがお前へのご褒美になるが、文句はねぇよな?」


「えぇ?! ちょ、ちょっと待って下さい!異議を申し立てます!おかしいでしょ!

なんでおっさんとご主人様の喧嘩が私のご褒美なんです!?」


「お前の罪を問わない事が俺からのご褒美だ」


「なら折檻して下さい!そのあとご褒美下さい!」


「折檻がご褒美になるのでは?」


「え…? そ、そんなお仕置きなんですかっ!? エヘ」


「目を輝かせてヨダレ垂らしてんじゃねぇ。変態が」


「ちょっと!罵るならエストリーにしてよ!お兄ちゃん!」


「やかましいわ! おい、おっさん!始めるぞ。剣を構えろ!歯ぁ食いしばりやがれ!!」


「えっ!?」


走るため腰を落としたとき<風纏>を装備。そして走り出す。おっさんは棒立ち。

おっさんの腹にボディーブローを打ち込む前に風纏を解除。

一般人が見れば光の速さと言える速さでパールをぶん殴る。パールは空高く打ち上げられ遠い彼方に吹っ飛んでいった。その後どうなったか?知らんな。


「さぁ、フェリス。お兄さんと遊ぼう?」


そう言ってフェリスの首根っこを掴み屋敷に戻っていった。

エストリーは「私もー」と言ってついてくる。

ちなみに、折檻の内容はガルーの世界での鍛錬にした。潰命で文字通りすり潰してやった。

なんとエストリーもガルーの世界に入れたから驚きだ。エストリーはもっとビックリしてたけどね。ガルーが招いたから入れたんだと。


—————————————————————————————————————


そして、ヘイアス達の処刑の話も出た。

俺はヘイアスと少し話したかったので牢屋に通してもらった。

人払いを済ませ二人っきりになる。ヘイアスは数日でやせこけていた。


「よぉ。大将。残念だったな」


「貴様… 貴様は一体何者なのだ… 一体何をしたんだ。私の屋敷を襲った集団、吸血鬼を倒したその実力、貴様は人間なのか?」


「いくつかネタばらしをしよう。まず、俺は人間じゃない」


「!! やはり!」


「そして、お前らの屋敷を襲ったのは集団じゃない。俺の大切な従者が一人で頑張ってくれたんだ。俺の思惑通りアンタ相当疑心暗鬼になってたみたいだな」


「パールはどうした!!」


「その従者が無力化して今はカリノフの仕事を手伝わせてるよ。Sランクとか言うから期待したのに、雑魚にも程がある。吸血鬼はまぁ仕方ないにしてもな」


「お前らは一体なんなんだ!貴様が現れなければ私が国を治めていたんだぞ!!」


「最初に俺がお前に出会ってれば俺はお前の味方をしたと思うぞ?誰が王になってもどうでもいいし、力で縛るのは楽だからな。取りあえず俺はアレナと同盟を組みたかっただけだ。皇国との戦争をするんでね」


「皇国と戦争だと…?」


「お前が王になれば皇国のギルド武器を破壊した後お前も殺せば良いだけで結局そっちの方が手っ取り早かったんだが。まぁ、最初にシェリルに会ったからシェリルの味方をしたってだけ。ようはアンタは運がなかったんだよ」


「運が… なかった?」


「アンタみたいな丁度いい悪役もいて俺は運が良かったけどね。まぁ、おつかれさま。ありがとね」


こいつが死んだら贖罪値は俺に入るのか?そんな事を思いながら牢を出た。

翌日、ヘイアスと他二名は処刑された。


ちなみに贖罪値は入ってました。


——————————————————————————————————————


あと、映像を遠くに映す魔法も教えてもらった。

無属性魔法だ。中々興味深い。<錬成>のスキルで映像と音を送る媒体を作り、そこに魔法を発動させるのだ。事前に設置する必要があるのと魔力の大きさに関わらず繋がる距離が一定なのでものすごく遠くから発動させる事は出来ない。でも、同じ魔法を何人もの人間が発動し、電波等のように中継すれば遠くにも届くそうだ。戴冠式の中継はそうやったらしい。


まぁ、敵の屋敷に忍び込んで媒体を設置し、相手が油断してる目の前で映像出して絶望させる、みたいな使い方をしたいな。



そしてカリノフからの報酬も受け取った。ぶっちゃけ期待してなかったんだが。

貰ったのは最初にアレナ共和国を作った奴が使っていた武器だった。

長さは1m40cmほど。剣幅は20cmほどの剣だった。

なんとこの武器、鞭のようにしなるらしい。そして魔力で伸びる。細かいパーツに別れているのではなく一本の剣がグネグネ自分の意志で曲がるのだ。

また面白いモノを頂いてしまった…


「こんなアレナの宝を貰って良いんですか?」


「武器は使わなければ意味が無いだろ?それに、こんな武器を使いこなせるのは君しかいないだろう。この武器の持ち主は一歩も動かず目に映る者を殺しつくしたと聞く」


「高く売れそうですね…」


「使えよ!!」


「冗談ですよ。早速使い勝手を試します!」


想像に反してこの武器は凄い性能を秘めていた。

まず、武器のランクがド級だった。凄い。こんな武器はまともな奴なら扱いきれないな。

恐らく最初の持ち主も全然使いこなせていなかったと思われる。


これは自分の意志でどこまでも伸びる剣だった。しかも、どれだけ曲げても折れない。

剣を振るう必要も無く、ただ背中に背負っているだけで武器として動くのだ。

<魔断ち>を振って、背中から伸ばしたコレで遠くの敵を斬ったり敵を逃がさないよう包囲するなんて事が出来そうだ。自分を囲んで防御にも使える。

剣を伸ばす速さも自在だ。音もたてないので狙撃のように使う事も出来る。


今俺は剣の長さを40cm程にして背中に背負っている。鞘は抜かないので剣先の部分が空いている筒の様な変わった作りだ。

まだまだ応用出来そうなので戦いながら発見したい。


名前は既に失われたらしい。蛇みたいな剣だから<潜蛇(せんじゃ)>と名付けた。

蛇のように音も無く潜み獲物を狩るというイメージだ。



そんなこんなで日も経ち、俺たちは武封国に向けて出発する。

嫌がらせで最初の運び屋に仕事を頼んで武封国の入り口まで運んでもらう事にした。

グラジオラスの前には数えきれない程のヒトが俺たちの見送りに来た。


「では、武封国についたら私の知り合いであるカリムという男にこの手紙を渡してくれ。

君の実力をみれば力になってくれるだろう」


そう言ってカリノフが手紙をくれる。


「ありがとうございます。もし皇国に何か動きがあったらその人を通じて教えて下さいね」


「あぁ、分かった。この国の英雄は武封国でも大きな事を成し遂げると確信しているよ」


「暴れてやりますよ! シェリル。俺の言った通りお姫様になったな!」


「はい… 死ぬか奴隷として生きていくのだと絶望していたのに… 本当に貴方は私の勇者様です! 気が変わったらいつでも言って下さればゼロさんに嫁ぎます!」


「死んじゃうから。ダメ」


「はぅぅぅ… また振られました…」


「ちゃんとした男と結婚して跡取り作らなきゃダメでしょ… お姫様なんだから、国の為に頑張れよ!」


涙まじりに、しかし力強く「はい!」と返事をするシェリル。


「また会おう!」


そう言ってカリノフは俺に右手を伸ばした。俺もその手を握る。

ついこの前身につけた魔法でグラジオラス中に俺の声を響かせた。


「では皆さん!いってきます!!」


俺を引き止める声と感謝の声を聞きながら馬車に乗り込んだ。


これからこのアレナ共和国は周辺3国のリーダー的立ち位置として民衆の為の政治を長く続けていくのであった。

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