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真理の探究者  作者: しま
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フェリスのお仕事

私は今、この国で王城を除いて最も立派な屋敷の前にいる。

既にご主人様から言われた3人の屋敷の内二つは血祭りに上げていた。


ご主人様の予想通り中には結構な数の兵がいた。

でも数だけだ。最初は自分がどの程度強くなったのか試したくてわくわくしたが、相手の力量を理解してから練習にもならないと分かり<風刃>というカマイタチを発生させる攻撃で切り裂き続けた。

はっきり言って戦う時間より移動時間の方が長い。


「さっさと終わらせてご主人様の勇姿を見に行きましょう!そしてご褒美を… えへへ〜」


完全に終わった後の事を考えて二つ目の屋敷を襲撃。

前回と同様になんのアクシデントも無く屋敷を赤く染めた。



「よし!ここで終わりです! むむっ 中にそこそこの手練の予感…」


『ふむ、この世界ではここまでの実力を持つ者は珍しいな… お前にも気付いているぞ?』


「そうみたいねー どうしよう… ねぇ、ガルー。私自身どの程度強くなったのか試したいから貴方の力を使わずにあの気配のヒトと戦っていい?」


『まぁ、問題なかろうが。万が一危険を感じたら力を渡すぞ。お前に死なれては困るからな』


「うん! ありがと! そんじゃー、最後のお仕事行きますか!」


もう例の手練を通じて私の存在は知られているだろう、そう思って隠しもせずに屋敷に入る。

案の定そこには100人を超える男達が既に戦闘態勢で待っていた。


「お?これは中々いい女だな?お前が襲撃者か?まさか、お前一人ってわけじゃないんだろ?せいぜい体で男を釘付けにする程度… ゴファア!!」


なんかムカついたので装備無しで殴ってみた。

男は下あごが砕け、変な顔になりながら首も変な方向に曲がり吹っ飛んでいく。


「あれ?思ったより威力ある?!」


周りも驚いているが驚いたのはむしろ私。


(思ったより化け物になっている…?)


そんな不安を抱き引き続き装備無しで戦闘開始。

敵は今までよりはちゃんとしていたが、所詮は弱者をいたぶる程度の実力しか持っていない奴らだった。

結局装備をつけないままその場の者を全員地に伏せさせる。死んでいない者もいる。まぁ、じきに死ぬだろうけど。一応取れる者の右手は切り取っておいた。


「この上は例の手練さんがいる所ですねー。さすがに装備はしますか…」


ご主人様から頂いた魔王がつけていたらしい装備をつけ階段を上り、目当ての者がいる部屋に行く。道中数人に襲われたが、この装備の前では水風船だ。殴るだけで弾け飛ぶ。


そして部屋の扉を開けた。


「ん?」


目の前から一本のナイフが私に向けて飛んでくる。こりゃ毒も塗ってあるな…

全く問題なく指の間で挟み、飛んできたのより少し早く投げ返してやった。


目の前の男もそれを軽く掴む。

「なかなか筋のいいお嬢ちゃんだ。いや、凄ぇ才能だな」


そう言った男は年齢30後半くらいの男だった。


「で?お嬢ちゃんが俺の討伐対象の吸血鬼で良いのかい?」


「いいえ。私は吸血鬼ではありませんよ?」


「え?! そうなのか?ヘイアスの旦那からは吸血鬼が暴れたら退治しろって言われてたんだけど… なんでこの屋敷を襲った?」


「邪魔なんで」


そういってニッコリ笑う。


「嬢ちゃんはカリノフに雇われた冒険者か? でも、カリノフがこんな命令するとは思えん」


「さぁ、どうでしょうねぇ? でも、私の主人の命令である事は確かですよ?」


「主人ねぇ… まぁ、難しい事を考えるのは俺の仕事じゃない。俺の仕事は侵入者の排除。出来れば生け捕りってとこだ。俺の名前はパール。Sランク冒険者だ」


「ほう!Sランク! 私はフェリス。Eランク冒険者です。短い付き合いですが、どうぞよろしく。先輩?」


私は己の脚力だけで近づき、思いっきり殴り掛かる。

パールの武器は盾と片手剣だ。

咄嗟に盾で防御したパールは何とか踏ん張り私の攻撃を受けきった。


「おぉ! 受け止めますか! やりますね!」


「グゥゥゥ… なんだ、この威力は! ドラゴンの尻尾を受けたみてぇだ! 嬢ちゃん何者だ!」


「ただのしがないEランク冒険者です」


「はっ!笑えねぇよ!」


盾で押し返し、片手剣をふるってくるパール。

私は大きく飛び退いて一度距離を取った。


「貴方は私の成長を確認出来る実力をもってますね。これから本気でいきますよ?」


「はぁ?」


私はご主人様に頂いた装備の効果をオンにする。ご主人様以外に使うのは初めて。


私の装備と効果はこんな感じ。

<覇拳> 自分の拳の威力をあげる 殴れば殴る程自分の動きが速くなっていく


<風帝のブーツ> 移動しても相手には足がまともに動いているように見えない 蹴りは見える


<妖精王の羽衣> 妖精が常に自分の周りを飛んでいて攻撃を守る。指示すれば魔法を撃つ

        羽衣自体に防御力は殆どない


ようは、攻撃を食らう事無く撃って撃って撃ちまくれ。

これがご主人様が私に求めた事。実際ご主人様自身も防御は殆ど考えていない。

一度、避けられない攻撃が来たらどうするのか、と聞いたら「そのときは俺が<如月>を発動させて守ってやる」とサラッと言われた。別にドキッとしたりなんかしてないぞ!


「さぁ、始めますよ?」


私は駆け出した。しかし、相手の目には走っているようには映っていない。

なんて言うか、足がぶれて見えるのだ。歩幅も把握出来ない。いつの間にか近づかれている感じ。

一度装備したご主人様と戦った事があるが、感想は一言。「気持ち悪い」であった。


「なんだぁ?!」


そう言いつつもパールの雰囲気が変化した。腰を落とし、盾と剣を構える。


私は近づき拳を振るう。パールは盾で守り、剣で応戦した。

パールの戦法は盾で相手の攻撃をそらし、片手剣で攻撃を加える単純だが安全で確実な戦法だった。

しかし、<覇拳>の効果で私の動きはどんどん早くなっていく。

パールは剣を振るう余裕をすぐに無くし、盾でただ攻撃を防ぐだけになってしまった。


とうとう攻撃を捌ききれなくなってきたパールは私の拳を鳩尾(みぞおち)にくらい吹っ飛んでいった。はっきり言ってもう勝負ありだ。


「あぁ… 私は思った異常に化け物になっていたようです… あんな可憐な少女だったのに…

貴方、本当にSランクですか? 頑丈ではあるみたいですけど…」


「はぁ、はぁ。ガフッ お、俺が何も出来ずにただサンドバッグみてぇに殴られるだけだとっ!

お前!何者だぁ!」


血を吐きながら半狂乱で叫ぶパール。


「ちょっと変なご主人様を持った獣人です。さぁ、私の戦闘力も把握しましたし、貴方から得る物は何もないですね。終わりにしましょう」


「舐めるなぁぁぁ!!」


パールの片手剣が光る。何か大技を繰り出す気だ。

私は受けて立とうと剣を振り下ろす場所にわざと走る。

魔法か?なにかのスキルだろうか…


『ふむ。これは珍しい。奴は武器に闘気を纏えるのか… しかし、フェリスよ。お前には脅威にならんぞ』


「ふんっ!」


この攻撃に何の効果があるのか分からないが、私は両拳で剣を横から殴り止めた。

私に殴られ止められた剣は光を失い、そのまま二つに折れた。 …あれぇ?


「…は? お、俺の全てをかけて手に入れた剣が折れた…?」


パールが呆然と呟いた。


「す、すみません… 折れると思わなかったんです…

あのぉ、おじさんは悪い人じゃないみたいですし、殺す必要は無いんじゃないかと思ってますので降参してくれません?命あっての物種と言いますし…」


「何言ってんだ! まだ終わってねぇんだよ!」


「てい!」


うるさいのでパールの鳩尾を殴って気絶させた。


「よーし、なんか珍しいお土産もゲットした事ですし、戻りましょう!」


そう言って私はヘイアスの館を出た。

このとき、ご主人様は蠍と戦闘を始めるタイミングだったりする。



ご主人様の元に向かう途中。沢山のヒトが集まっている広場が目に入る。

私は気付かれないように近づいた。

そこには何も無い空間に映像が映し出されていた。


私はパールを茂みに放り込み顔見知りのおじさんに声をかける。


「おっちゃん。こんにちはー。闘技大会はどんな感じですか?」


「おぉ! フェリスちゃん。それが凄いんだ!カリノフ様の戦士が!姿は最初の闘技場で見失ってしまって今探している映像が流れているだけなんだが、ヘイアスの一派の者の死体が山のように詰み上がっているんだよ!」


「ほぉ。流石ですね。敵を殺し尽くすのがルールなんですか?」


「それが、分からないんだ。あるモノを探し出すルールと聞いた者がいるらしいが、詳細は知らされていない」


「なんですか、それ。そんなのどうとでも言い訳出来るじゃないですか」


「それが出来ないように敵を殺し尽くしてるんじゃないか、と我々は話している」


「なるほどねー」


そのまま暫く映像を見る。映るのは死体ばかり。時々こっちに向かって首が飛んでくる。多分敵の親玉に近しい者なのだろう。


(贖罪値溜まりまくってますねー。羨ましい!)


そんなことを思っているととうとうご主人様が映り込んだ。

そこには男の首に食らいつく少女と髪が真っ赤になっているご主人様がいた。


「なに、あの肉食系幼女… あと、なんでご主人様の髪の色変わってんだろ…」


『あの少女は吸血鬼だな。主も吸血鬼としての力を解放しているようだ』


「えぇっ! じゃあ、アレが本来のご主人様の姿なんですか?」


『そう言うわけではない。力を解放すると見た目が変わる吸血鬼は多いと聞く』


「へぇ〜。あの幼女中々強そうですね」


『まぁ、主が負ける事などあり得んがな。そろそろ目的地に行ってはどうだ?』


「そーね」



我々はご主人様の勝ちを一切疑わずに権力者の集まるテントに向かった。


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