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真理の探究者  作者: しま
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闘技大会 (権力者目線)

新たにブックマークして下さった9名の方、本当にありがとうございます!

アレナの次は武封国です。サクサク進んでいきたいと考えております!



あと、下は最早自分に言っているようなものなんですが…


エステリーじゃないです。

エストリーです。


自分でも何故時々間違っているのか不思議。

間違っていた場合は生暖かく見て下さい。


"テ"も見続ければ"ト"に見えてくるはずです!

時間は戻り、ゼロが中継を蒔いたあたり。

権力者たちは至急ゼロを探すよう命令し、操作をしていた男は必死で探索をしていた。

しかし、自分が映すのは我らの派閥の者の死体のみ。

その光景を見ながらテイニーは再び背筋を凍らせる。


(この闘技大会には彼の敵を1,200人以上用意した。彼はまさかその全てを殺し尽くすつもりなのではないか?)


事実、一つの道に転がる死体は10を超え、それがどの通りでも起きているのだ。

いったい死者はどの程度になるのか。しかも、派閥の幹部クラスの者は例外無く吊るされ、見せしめのようにされている。ヘイアス一派は最初は憤っていたが、この光景が永遠と繰り返されもはや言葉も無い様子だ。


「ヘイアス様、このままでは例えヘイアス様が用意された化け物が強力と言ってもその前に我らの兵が全滅しかねません!その化け物にゼロを倒すよう命令する手段は無いのですか?!」


そう叫ぶサボンテ。もう一人のゼロがハゲと言っていた男、ヘルトームも縋る様な目でヘイアスを見た。


(アホか。ゼロに対抗出来る化け物がヘイアスに従うわけが無い…)


予想外の出来事に顔を青くしているヘイアスだが、


「別に全ての部下がここにいるわけではない。皆の屋敷にも兵を相当数置いている。今は何としてもあのガキを殺すことを優先しなければ… 奴らは捨て置く。弱かった。それだけのことだ!」


「そんな…!」


(まぁ、ヘイアスならそう言うだろうな。やはり、早いうちに寝返るタイミングを計らないと…)

私は隣にいる自分の派閥の者にアイコンタクトする。


そして、ゼロが発見出来ないまま2、3時間が経った頃。

ある一角で魔法が乱発されている光景が見えた。


「あそこか!よし!あの方と戦闘をしているぞ!」

そう叫ぶヘイアス。表情に余裕が戻って来ている。


そこに中継が急行すると、既に二人はいなかった。

しかしそこには化け物二匹が残した戦場の後が広がっていた。


少しの血と、大きくめくれた地面、そして破壊された建物。


「どこに移動した! 早く追え!」


そう怒鳴るヘイアス。周りの者は何が起こっているのか理解出来ず呆然としている。

二人はすぐ見つかった。しかし我々は想像もしない物を見ることになる。


なんと、小さな少女が大の男に噛み付いているのだ。

服はドレスの様な格好をしており、戦場には全く似つかわしくない少女が。

カリノフが呟く


「きゅ、吸血鬼、だと… ヘイアス、お前はそこまでして…」


そして目の前で光魔法の矢が無数に少女に降り注ぐ。ゼロの攻撃だろう。

あの光景を見た後では最早ヘイアス一派以外はゼロに肩入れしている。


しかし、少女が何かをした。光の矢が弾かれ、その何かの余波で中継用のアイテムは破壊され映像が途絶えた。


しーん… と部屋が静まり返る。


最初に口を開いたのはカリノフだった。


「ヘイアス。この国の命運を吸血鬼に託すなど… 正気か?このままではあの化け物にこの国は滅ぼされるぞ?!」


「何を言っている! 歯向かえば叩き潰せば良い!現に奴は私の言葉に従い闘技大会に参加している!」


「馬鹿者!!吸血鬼が従うのは己の血だけだ! 彼女はお前が敵う相手ではない!そんなことも分からんのか!?」


「奴が歯向かった時の対策は既にしている! 貴様はもう終わりだ!私が王になるのだ!」


そこで私は叫んだ。


「も、もう!私は貴方の元にはつかない! これからはカリノフ殿にお味方する!

貴方はこの国を滅ぼすだけだ!」


「はぁ?今の映像を見て何故そんなことを言うのだテイニー。やはり貴様は馬鹿だな…

いや、哀れだ。貴様などいてもいなくても一緒よ。後でカリノフ共々葬り去ってやる!

さぁ!国民に伝えよ!新たな王が決まったとな!!」


その時、表が不意に騒がしくなった。

護衛が何者かと交戦しているらしい。少しして、テント内に斬りつけられたヘイアスの護衛が転がり込んできた。


「おう、邪魔するぜ」


そういって入ってきたのは蠍のリーダーであるガルバルだった。


「ガルバル。どういうつもりだ?ここには来るなと言ったはずだ」


一応サソリとの関係を秘密にしていたヘイアスはもう必要ないとばかりに話しかける。

「新たな王となった私に対する挨拶にしては無礼が過ぎるぞ?」


「はぁ?新たな王?なに寝ぼけたこと言ってやがる… お前はあの人に敵対した時点で終わりなんだよ。俺はどういうわけか気に入られて生きてるけどな」


「何を言っている?」


「これより、蠍はヘイアスとの関係を絶ち、カリノフ様の元に下る。今後はカリノフ様の私兵となって働くつもりだ」


テントの中が再び静まり返った。


「な、何をふざけたことを言っている? こ、これは反逆だ!新国王に対する反逆だ!」


そう叫ぶヘイアス。


「だから、なんでお前が国王になった気でいるんだよ… お前、なんか化け物を用意したみたいだがあの人はそれも楽勝で勝っちまうんじゃねぇのか?」


「馬鹿が!あの映像を見ていないからそんな事をほざくのだ!

サボンテ、ヘルトーム!至急屋敷に戻り兵を集めよ!この反逆者や抵抗する国民を始末するのだ!」


「「はっ!」」


そう言って三人はテントを出る。誰も彼らの後を追わない。ガルバルに至っては呆れて物も言えない様子だ。

そして、改めてカリノフに向かっていう。


「カリノフ様、俺はゼロさんに助命してもらった変わりにアンタに仕える事になった。今後は国が安定しないうちは俺たちが自警団となって暴れる奴を抑える。よろしく頼む」


そう言って頭を下げた。


「な、何を言っているのか理解ができん!まずテイニーよ!お主、何を考えておるのだ!」


「ヘイアスでは国を纏める力はありません。今回の切り札で確信しました。アイツは今勝つ事しか考えていない筋金入りのアホです。それに、あの様な状況を見ても僕にはゼロが負ける光景が思い浮かびませんでした」


「な、何だと?私は絶望的と考えているのに…」


「実際戦った身から言わせてもらうと、あの人は俺に対しても一切本気を出していなかった。恐らく奴らが言っていた化け物に対しても本気を出してないぜ?」


「まさか… 相手は吸血鬼だぞ!?」


「吸血鬼くらいあの人ならどうにかするさ。俺たちはここで待ってれば良いんだよ」


そう言ってガルバルは椅子に腰を下ろした。


————————————————————————————————————


生きている護衛を連れ馬車に揺られ屋敷を目指すヘイアスはこれからどう敵を排除するか考えている。

やはり、一番の障害は吸血鬼だろう。しかし、それは既に手を打ってある。


Sランク冒険者がいるのだ。


この街にたまたま居合わせたので高い金を払って自分が王になった後の吸血鬼処理を頼んでいた。Sランクともなれば世界に4人しかいない最強の生物だ。吸血鬼の一匹や二匹問題ではないだろう。そう安心しきっている。

早く兵を率いて戻りカリノフ達を捕らえて処刑しなければ。

そんな事を考えていた。


しかし、ヘイアスは二つの重大な事を知らない。


一つはエストリーという吸血鬼は1,000年以上の時を生きた強大な吸血鬼であるという事。

彼女はヘイアスに対して自分は転成してすぐ主に捨てられた流れ者の吸血鬼だと言っていたのだ。実際、屋敷にいるSランク冒険者ではエストリーには勝てない。



そして二つ目

闘技大会が始まってすぐ神の力をその身に宿し、神を殺す力を持つ者に訓練を受けてきた少女が彼らの屋敷を襲撃していたのだった。



————————————————————————————————————


俺はとりあえず負傷して死にかけているエストリーを治してやる事にした。

ポケットから常識量の魔力を籠めた魔蓄石を渡して魔力を送り込んでやる。


「お兄さんの、濃くって熱いよぉぉぉぉ!」


(こいつ、下ネタ要因になるのか…)


少しの期待と大きな不安を感じながら俺は魔力を流す。

3つの魔蓄石を使ってようやくエストリーの体が復元された。


ちなみに魔蓄石は爆弾として使わなければまた魔力を籠める事が出来る。エコです。

俺はまだ動けないエストリーを抱きかかえる。


「お姫様だっこが良い〜〜〜!」


「はぁ? 負けたくせに何言ってんの? 引きずられないだけ感謝しろよ」


「キャー! いきなりSになった! いいよ!そういうのも好きだよぉ!」


「はぁ、治すんじゃなかったな。取りあえず筋肉ダルマのとこに行って負けを認めさせる。

で、場を設けて処刑だ」


「そっかー。でも、まだ抵抗するかもよ?」


「するだろうな」


「屋敷にSランク冒険者も雇ってるって噂だったしぃ」


「Sランク冒険者だと!! マジかよ!あのおっさん実は凄い奴なんじゃないか?」


「う、うん。エストリーを殺す用に雇ったみたい。でも、エストリーより弱いから何の心配も無かったんだけどねー」


「は? お前より弱い?」


「うん。だって所詮ヒトが決めるランクだよ?〔古き血〕の私たちに勝てるわけない」


「えぇ… やっぱQTヌルゲーになってしまったのか?これに勝てないSランク?は?」


「ちょ、ちょっと!どういう事?エストリーより強い生き物なんて片手で数えるくらいしかいないんだぞーー!」


「Sランクがその程度なら大丈夫だ。多分俺の仲間が既に殺してるよ」


「はっ!? まだそんな強いのいるの?」


俺はSランクが形骸化した事に強い落胆を覚え、トボトボとカリノフ達のいるテントに歩いたのだった。

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