表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
真理の探究者  作者: しま
55/170

決着 闘技大会

「へぇ? 私のことが分かったの? 答え合わせしてあげる。言ってみなさい?」


そう。俺は何となくコイツの体のからくりが分かってきた。


「貴女… その体は、肉体じゃなくて魔力の高密度の集合なんじゃないですか?」


「………」


「魔力は斬っても斬れないですよね? でも、こっちが魔法で攻撃すれば貴女の魔力を乱すことができるんでしょ? あまりにも高密度に凝縮されているから殴ったときは物理的な衝撃も発生させることができる。で、さっきは自分を細かい魔力に分解して今の拘束から脱出したのでは?

中々魔力を消費するみたいですけど。魔力の集合なら浮けるし、力をこめなくても動けるでしょう」


「へぇ… よくこんな短時間でそんなあり得ない可能性を思いつくものね」


「貴女は魔を司る眷属なんでしょ?しかも相当長く生きているみたいですし。貴女の血族の奥義が自身の肉体を捨て魔力の集合に変えるなんてモノでもあり得るのかなと思ったんです」


「へぇ。凄いわ。普通はそんなこと思いつきもしないのに。吸血鬼同士だと分かっちゃうのかしら?でも、一つ間違いがあるわ。私の体は捨ててなんかいないわよ?この体は150年前に移し替えた正真正銘私の体。それを少しずつ魔力に溶かし込むって言うのかな… そうすることで肉体があっても魔力の塊に変えられるってわけ」


「そいつは凄いですね。マジで物理攻撃無効じゃないですか。魔力は物理に影響を受けないから爆風で飛ばしても何ともないんでしょ?」


「攻撃に魔力を纏わない攻撃なら意味ないわ。魔力も1級なら少し鬱陶しい程度よ」


「なら実質無敵ですね」


「そう。私を脅かせる者は数えられる程しかいない。その一人が目の前にいるのは驚きと感動って感じね。このままだとマズそうだし… この手はあまり使いたくないんだけど…」


そう言うとエストリーが大声で「助けてぇぇぇーーーーー!」と叫んだ。


(この声… <魅了>がかかってやがる!)


<気配察知>を発動した俺は殺さずにおいた奴らが凄いスピードでこっちに近づくのを感じた。


「戦いの為のエネルギーを補給しないと」


そういって空中に浮き飛んでいくエストリー。

俺は後を追った。

エストリーの動きは想像以上に速くすぐには追いつけなかった。


伸ばした魔力の腕で一人の男を掴み、そいつの元に近づいたエストリーは牙を突き立てた。

一瞬で血を飲み尽くすエストリー。次々と近づいてくる奴から血を飲んでいく。


「風よ 切り裂け!」

俺は魔法でエストリーごと周りにいる奴らをまっ二つにする。


エストリーは5人近くの血を吸っていた。

俺は昔ニーナとした話を思い出す。


吸血鬼の吸血は戦いの時自分の戦闘力を上げる為に行う行為である。


今の吸血量は多いのか少ないのか分からないが強化されたことは間違いないのだろう。

上半身と下半身が別れたエストリーはなんか肩をつかんで震えている。


「あぁ〜〜… 久しぶりの感覚… 戦いたくてしかたないよぉ…」

そう呟く。


取りあえず足を止めさせるか。そう考えた俺は魔法を撃った。

「光よ 降り注げ」

俺の光魔法がフレシェット弾のように降り注ぐ。


「あぁぁぁぁあああ!」


エストリーが叫び、ドーム状に魔力が発散された。殆どの矢が消滅し、刺さった何本かもすぐ消えていく。


(光魔法でもこの程度か!!)


エストリーがこちらを向いた。俺は<魔断ち>を抜き、光魔法を武器に纏わせる。

一瞬で距離を詰めてきたエストリーが拳を振るう。俺も剣を振るって攻撃を弾き、切り裂く。

剣を振るう合間にも<燃焼>で焼こうとするが、魔力の鎧で防がれている。剣での攻撃はダメージを与えているのかよくわからない。与えていると信じよう。


戦いの最中ふと目が合った俺は<石化>をかけて足止めを狙った。

しかし、その瞬間逆にエステリーから何かをされたのが分かった。

俺の剣の光魔法が不安定になる。


(なにが起こった!? アイツの<魔眼>か?)


エストリーが剣を弾かず体で受け俺に蹴りを撃ってきた。

咄嗟に後ろに飛んで衝撃を和らげるが、体内に魔力を打ち込まれ内部を傷つけられる。


「ぐっ!!」


「吸血鬼になりたてのヒヨッコが私に<魔眼>で勝負を挑もうなんて1,000年早いよ〜〜」


また光魔法を剣に纏おうとするが何か変だ。スムーズにいかない。


「今の私の攻撃は<魔眼>の一種の<魔力妨害> お兄さん暫くまともに魔法撃てなくなっちゃうよ?」


「口調が幼女に戻ってんぞ? くそ!回復もうまくいかねぇか…」


「別にこれはキャラじゃないんだよー。 これでも1,000年生きてるからねー。色んな私がいるんだー。これが今の私なの。さっきの真面目口調は血が話してたって感じ? 吸血鬼同士の、しかも他の血族と話しなんてまずしないから、血が騒いじゃったんだ! でも今はゲームの時間でしょ?」


「そうかい… 魔法が不安定でも斬り続ければいつかはその鎧も剥げるだろ」


「ここからは殺りにいかせてもらいま〜〜す! 私の体には触れさせません!」


そういって自分の手首を切るエストリー。噴き出す血が纏まって一振りの剣に変化した。


「<魔武器創造>か…」


「すごーい! なんで分かるの?! お兄さんこそ見た目通りの年齢なの?そうとう深いこと知ってるよね?」


「さぁ?どうだろうな?」


「まぁ、いいや。そろそろ終わり!いっくよーー!」


こっちに向かって走ってくるのかと思いきやエストリーの剣が伸びた。


「そっちの方!?」


つい俺は叫ぶ。<魔眼>で血を蒸発させようとするが<魔力妨害>で上手くいかない。


(日没まで時間あるし、一旦引いて<魔力妨害>切れるの待つか? よし、そうしよう!)


そう考えた俺は剣を収め、後ろを向いてダッシュする。


(アイツは空飛んでたから建物は通り抜けられないんだろ)


そう考えて廃墟の隙間を選び逃げ込んだ。


「えぇ!? 逃げんの?! お兄さんが逃げる側になっちゃダメじゃん!」


そう言いつつも俺を追いかけてくるエストリー。

そのまま俺は後ろから建物が破壊される音を聞きながら全力で走り対抗策を考える。


(神級装備使えばそりゃすぐ終わるだろうよ。でも、そうすると俺がまともな人間じゃないことがカリノフにバレるだろう。それはご免被りたい。あくまで俺は人間の強者として同盟を組みたいんだ。

では、俺のスキルでどうにかなるか?<轟爆>はダメ。こんな魔力をまともに扱えないんじゃ俺も一緒に吹っ飛ぶ。じゃあ、<CO発生>か。アイツ息してんのか?そもそも狭い空間に連れてこないと効果はない。今邪魔なものぶっ壊してるから建物の中に入って来ないよね。

なにか直接アイツに高密度の魔力をぶつけられないか?

…………………………あるじゃねぇか!)


俺はゲイルから貰った魔蓄石の中で魔力を多く籠めた物を二つ取り出す。そして両手で握り、ありったけの魔力をこめる。

入っていってるかは分からないが、以前の組合長の時は上手くいったので今回も大丈夫だろう。


すると、建物の崩壊する音が止んでいるのに気付く。

俺は後ろをチラッとみるが、エストリーはいない。上空か?そう考えた俺は少し見晴らしの良い通りに移動し<千里眼>でエストリーを探した。彼女は約1kmほど先で剣を下げた状態で浮いているのを発見。

俺と目が合うと彼女はニコリと微笑んだ。


(アイツも<千里眼>が使えるのか!)


エストリーの口が「お仕舞い」と動き、剣を腰だめに構え前に突き出した。

剣は投げられることは無く、俺の場所に伸びる。

咄嗟に回避し、まさに紙一重の位置を通り過ぎていった。


俺は剣を掴んでエストリーを思い切り引っ張る。

すると、こっちに近づきながらエストリーも俺を引っ張ってきた。


互いがぶつかる瞬間、エストリーは空いている方の拳を放ち、俺は左手に持った魔蓄石を指先を<根性焼き>にしてエストリーの体内に埋め込む。

指が数センチ入ったとき、俺は魔蓄石の魔力を解放した。ギリギリ拳は届いていない。


音は無く、ただ高濃度の魔力の爆発が起こった。

俺は左肘から先が消滅し、エストリーは上半身と下半身が別れる。

エストリーの切断面からは今まで見ることの無かった血が大量に溢れていた…


俺は地面に倒れているエストリーを見下ろし尋ねる。


「さぁ、どうする?まだ今と同じ攻撃を一発残しているんだが。続きをやるか?」


浅い息をするエストリーは血を吐きながら


「こんなに濃い魔力をくらったのは初めて… 私の魔力防御を真っ正面から潰すなんて…

私の負けよ」


そう真面目な口調でいった。つまり、血が負けを認めたのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ