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真理の探究者  作者: しま
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vs 幼女

俺の前に一人の金髪幼女が廃墟と化した街に所在無さげに立っている。

これは保護しなければ!!

おじさんが保護してアゲルヨ。コワクナイヨー。


……………



思ったより可愛らしい子だったので変なテンションになってしまった。


改めて冷静に考えよう。

やっぱり、この子がヘイアスの言っていた探すべき子だ。

そして、ヘイアスは出来るなら殺しても構わないとまで言っていた。

あの筋肉ダルマがそこまで言ったのだ。コイツはこの世界では相当な強者に分類されるに違いない。

とりあえず俺はフレンドリーに話しかける。


「こんにちは。可愛らしいお嬢さん。こんなところで何をされているのですか?ここはあぶないですよ?」


「エストリーはね?ここで面白い遊びがあるっておじさんに誘われたから来たの!」


「エストリーたん… はぁはぁ」


「エ、エストリーを捕まえようとするお兄さんが来るから倒しなさいって言われたんだけど、待ってても来ないから逆に探すことにしたの!」


「へぇ… そのおじさんって言うのはヘイアス?」


「そう! お兄さんが私と追いかけっこする人?」


「そうだね。俺もヘイアスに言われて色んな障害を突破しながら君を捕まえる遊びをしてる最中なんだー」


「やっぱりー! 最初見たときからそうじゃないかなーって思ってたんだよ!」


「そうかそうか。エストリーは鋭いなー」


「んふー でしょ?」


んふーってのエストリーの笑い声だ。成長してもその笑い方ならなんかエロいな…


「じゃあ、追いかけっこを始めるか? 日没までに捕まえたら俺の勝ちだ」


「いいよー。途中で攻撃してもいい?」


「いいぞー。俺も殺す気でやろう!」


「こんないたいけな女の子に殺す気なんて! 酷いよー」


「ヘイアスが自信満々に推薦してきてるんだ。当然人間じゃないんだろ?」


「んふー ひ•み•つ!」


「じゃあ、戦いながら判断するよ!」


挨拶代わりに結構な早さで足の甲を狙って二本の投擲ナイフを投げた。

さぁ、どう出る?


エストリーはしっかりと俺のナイフを取り出し、投げる所を見ていた。

それだけの動体視力は持っている。

この程度のナイフは楽に躱すか… そう思ったが、エストリーは動くこと無くナイフは足に刺さった。


「うぇーーーん!! 痛いよー! いきなり何するのぉ! まだお話の途中なのに!」


泣きながらそう抗議してきた。


「痛いよー! もう動けないよ! 本当に私を殺す気なの!追いかけっこじゃなかったの!?

抜いてよぉーー! ふぇーーーん!!」


おいおい、何か、違うな……


幼女の足を突然刺した罪悪感が芽生えてしまい、俺はナイフを抜いてやろうと一応警戒しながらエストリーに近づく。そしてエストリーの目の前に来てしゃがもうとしたとき


「んふ!」


エストリーが俺に掌底打ちを放ってきた。

咄嗟に腕をクロスさせ防御したが、エストリーの見た目と今までの敵の実力から自分のステータスを下げていた俺は避けることが出来ずにまともに攻撃を食らう。


「がはっ!!」

俺は血を吐いて後ろに吹っ飛んだ。

物理的なダメージもかなり高い。今まで食らった何よりも重い衝撃だ。腕が折れるどころか砕けている。

しかし、問題なのは魔法のダメージだ。その掌底に超級レベルの魔力が籠められていたのである。

俺は痛みをOFFにし着地。血を吐きながら光魔法で治癒した。自分に治癒をしたのはこれが初めてだ。


「あれぇ? 死んでないの?! すごーい!頑丈なんだね!お兄さんは」


そう言って驚くエストリーは何事もなくナイフから離れた位置に立っている。


(やはり無傷か… しかし、ナイフを抜いた形跡がない… <擬態>を使ったスライムの上位種か?

いや、あいつらは打撃に乗せて魔法を放つなんて出来ないはず…)


「いやー、大丈夫。少しビックリしただけだよ。でも、淑女がだまし討ちなんて良くないんじゃないか?」


「最初に不意打ちしてきたのはお兄さんでしょー? でも良かった!今の一撃を耐えるなら相当楽しめそうね! んふふっ!」


とりあえずステータスは解除した。コイツは恐らく超級のモンスターに分類される。

弱い魔王に匹敵するってことだ。


(なんでそんなのがあんな筋肉ダルマの言うこときいてんだ?)


「なぁ、君はメチャクチャ強いよな? なんでヘイアスに従ってるんだ?」


「え〜? 従ってなんかないよー。 最近はこの国に住んでて、おじさんが住む家をくれたんだー。で、最近なんか面白そうなことやってるから何してるの?って聞いたらこの遊びに参加してって頼まれたの!だから参加してるだけー」


(ヘイアスが頼んだ…のか。やっぱりコイツの年齢は見た目通りじゃないな)

さっき<情報開示>を発動させたがステータスは見えなかった。


「失礼なことを聞くようだが、年齢はいくつなんだい?」


「んふふー。今は9歳だよー」


「”今は”ねぇ……」


「もう!質問ばっか!早く戦お? 相手の謎解きも戦いの醍醐味だよ! 私もお兄さんの秘密知りたいしね!!」


「追いかけっこじゃないのかよ!」


エストリーが滑るように走る。俺は<魔断ち>を抜いて応戦する。

神級装備は使わない方が良いだろう。終わった後で色々とごまかしがきかない。

さっきよりも早く俺は剣を振ってエストリーの首と腰を斬りつけた。


しかし、またもエストリーは俺の攻撃を避けず二本の刀を受け入れる。

エストリーは剣で斬りつけられてなどいないかのように微笑みながら


「これで終わりかな?」


そう言って蹴りを放ってきた。蹴りは風を切る音を立てて向かってくる。


(なんだ?! 今俺の目の前にいるコイツは本当に存在しているのか!?)


俺は敏捷全開の速度でエストリーに突っ込むように回避。


武器をすり抜けるが、実際にコイツはここに存在しているのかを調べる為だ。

もしかしたら今見えているのは幻で、攻撃が当たるタイミングで遠距離から何かしらの魔法を放っている可能性を考えたからだ。


エストリーは蹴りをキャンセルし、軸足で横に跳び俺を避けた。完全に人間の動きじゃない。


「もぉ〜、いきなり幼女の胸に飛び込むなんて、変態さんなの?

 スピードもいきなり上がったし… 貴方、今まで自分の力抑えてたわけ?」


「さぁな。謎解きも楽しみの一つだろ?お前、攻撃は避けるくせに俺自身は避けるんだな。そこに何かしらの秘密があるのか? 物理攻撃完全無効なんて言わないよな?」


「さっきと言葉遣いが違うよ〜? 戦闘モードって感じ?次は何をしてくれるのかな?」


「そうだな… ただの物理じゃダメなら… こんなのはどうする?

 炎よ 纏え   光よ 纏え」


太刀に炎を、小太刀に光魔法を纏った。威力は上級くらいで。


「へぇ、魔法も使えるんだ。それもかなりの濃度…」


「これでも手加減してるんだぜ? まだ探りの段階なんでね」


「生意気ー。 ちょっと本気でやっちゃおっかなー」


「まぁ、次は俺のターンだ。タネを明かす前に死ぬなよ?」


全速力でエストリーに魔法を纏った剣を叩き付ける。

軽快に俺の剣を躱していくエストリー。俺は炎の魔法の出力を上げ目くらましのように使う。

そして、二本の剣が上からエストリーの体に叩き込まれる瞬間


「ふっうぅ!!」


気合いを入れたエストリーが俺の剣に手を伸ばしてきた。

そして


ギャイィィィン!!と手からなるとは思えない音が鳴り、剣をどちらとも受け止めた。


「危ない、危ない… っ痛! やっぱりちっちゃい方はキツいか…

 じゃあね!お兄さん!楽しかったよ!」


剣をしっかり握った状態で眉間に魔力を溜めるエストリー。

俺は魔力の流れは読めないが、ここまで高濃度だとなんか分かる。


(この威力をこの距離ではマズい!!)


エストリーを吹き飛ばすため、咄嗟に<魔眼>を発動させ、<燃焼>を思い切り叩き付ける。


「!!」

エストリーの目が驚愕に見開かれる。なんか、凄い驚きだ。


俺とエストリーは互いの攻撃を相殺し、吹き飛ぶ。

俺は地面に着地、対してエストリーは上空2m程の位置で浮いていた…


(魔法も使わないで浮いてんの? 羽もないし… こいつ、何なんだ?)


改めて俺の中に謎が増えたが思いもかけず彼女からネタばらしをしてきた。


「これまでずいぶん長く生きていたけれど人間に化ける吸血鬼なんて初めてみたわ。

しかもよりによって吸血鬼であることに誇りを持っているってとこに関しては一番のモーガンの血統だなんて… 貴方、一体何者? 貴方の様な吸血鬼は前代未聞よ?

もちろん自由奔放と言われている私の血族でも貴方の様な生き方をしている者はいないわ」


「え?! お嬢ちゃん吸血鬼なの?」


「誰がお嬢ちゃんよ。口の利き方に気をつけなさい。私は魔の吸血鬼であるラヴァルの眷属〔古き血〕に名を連ねる者よ?」

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