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真理の探究者  作者: しま
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首都 グラジオラス

グラジオラスも身分証の提示は求められなかった。

ワイバーンを落としたことはバレていないみたいだ。


おっさんとはその場で別れる。大銀貨を渡してやったら凄く喜んでいた。



そのまま俺たちはシェリルの家に向かう。

ここからなら20分程だそうだ。


町並みは、そこそこ栄えている。しかし、活気はあまり無かった。

なんというか、皆ビクビクして生きている感じだ。権力を持つ者に絡まれないように注意しているのだろうか。


特に絡まれることも事件に遭遇することもなく俺たちはシェリルの家の前についた。

そこは豪邸と呼ぶにふさわしい大きさで、改めてシェリルが権力を持つ家の人間なのだと実感する。


シェリルが近づき門番の前に行く。


「どうした?お嬢ちゃん。この家はラクローサ様の家だ。何かあったのか?」


「私です」


「シェ!シェリル様! ご無事だったんですか!?」


「静かに! 私が戻ったことを公にしてはいけません。お父様は?」


「今はお屋敷で闘技大会に出る戦士について考えておられます」


「そう。今からお父様に会わせたい人がいるわ。後ろにいる子達よ。何も言わずに通してちょうだい」


「はっ!」


「さぁ、お二人とも、こちらです。急ぎましょう!」


そういって門を開け走るシェリル。俺たちも後を追った。

ローブを脱ぎ捨て、屋敷を走る。途中、使用人達が驚きの声を上げるが無視して走る。

やがて一つの扉を開け中に入った。


「お父様!」


「シェリル!! 無事だったのか!」


「はい! 攫われている途中で冒険者の方に助けてもらいました!」


「なんと!運のいい! 怪我は無いか?!」


「それは大丈夫です。それで、闘技大会に出て頂ける方も連れて参りました!」


「何?! 一体何があったんだ! と、取りあえずお前が無事で良かった。

少し落ち着きなさい」


そう言ってシェリルを宥めるカリノフ。


「おや? 君たちは?」


やっと俺たちに気付いたようだ。


「娘さんを助けた冒険者、兼闘技大会の出場を依頼された者です」




シェリルは取りあえず着替えにいった。

今俺達はカリノフと対面して話をしている。


「まずは娘を助けてくれたことに礼を言わせて欲しい。本当にありがとう!」


そう言って頭を深々と下げた。


「いえ、運が良かったんです。たまたま盗賊団に襲われましてね」


「それで、娘の話なんだが… 闘技大会に出ると?」


「あー、その話は娘さんが戻って来てからにしましょう。娘さんの話を聞いた方が僕が話すよりスムーズに行くと思います」


「そ、そうか。確かに本人の口から色々聞きたいこともあるしな… 何か食べる物でも用意させよう。少し待っててくれ」


「ありがとうございます」


そう言って使用人に命令するため部屋を出るカリノフ。

お茶を飲んで待っていると、10分ほどでシェリルがやってきた。

カリノフも一緒に入ってくる。


「では、改めて、お前の今までの行動と彼らについて説明を頼む」


「はい、お父様」


シェリルは攫われてからここに来るまでのことを話した。


話を聞くカリノフの顔がコロコロと変わる。

全てを話し終えた時、カリノフの顔は苦虫を噛み潰したような顔だった。


「君の強さは理解した。君の行動の意味も理解しているつもりだ…

だが、ヘイアスと敵対するのは本当に危険なことなのだぞ?」


「分かっていますよ。でも、相手が武闘派というのはチャンスでもあります。

力を振りかざすだけの者に対する一番いい対処法は相手を上回る力で叩き潰すことです。

これは、ただの一時の王を決めるイベントじゃありません。この国がこれからどのように歩んでいくのか、このまま滅ぶのか新しく生まれ変わり繁栄するのかを決める戦いでしょう?

無血革命が出来るのであれば理想でしょうが、この国はもうそんな悠長なことは言ってられないはずです。ならば出来るだけ犠牲を少なく、未来に希望が持てる行動をするべきです」


「う、うむ。その通りだ。私は自分の命をかけて戦う覚悟はできた。娘が攫われた時、何をしてもヤツを討つと。しかし、君はどうして初めて来た国にそこまで協力してくれるのだ?」


「実は、僕はインペラ皇国の上層部に狙われていまして、半ば亡命の形でこの国に来たんです。

僕がこの国で皆に慕われる功績を立てれば皇国も安易に僕に手出しができなくなるはずです。

そんな少し厄介な事情に巻き込まれていましてね。今更国家の危機に遭遇しても驚きません」


「なんと… そんな厄介ごとを抱えていたのか…

だが、これは神が与えてくれた恩寵なのかもしれん。

ゼロ君、そしてフェリスさん。私のため、この国の未来の為に力を貸してくれ」


「望む所です」 「はーい!お任せ下さい!」



俺達はこのままラクローサ家に泊めてもらうことになった。

食事のときはシェリルが嬉しそうに父親と会話をしている。

主に俺たちの戦闘に関して。


「砂漠ではたくさんのサンドフィッシュを狩って、夜に食べさせてくれたんです!」


「ほう、あれは食べられるのか…」


「さっぱりしていて美味しかったですよ! あと、ワイバーンをジャンプして一撃で倒してしまったんです! まるでお伽噺に出てくる勇者様のようでした!」


「なんと!あれはゼロ君の仕業だったのか! 今国中でやった者を捜しているんだぞ!」


「秘密にしておきましょう!」


凄く楽しそうだ… あぁ、俺もニーナに会いたい


「ご主人様! 寂しいのなら私が癒しますよ!」


「いや、お前じゃないんだよなぁ…」


「ひどっ!!」


「闘技大会はいつ開かれるのですか?」


「1週間後だ」


「聞いていたのよりずいぶん早いですね」


「ヘイアスが予定を早めたのだ… 多数決になると私が絶対に負けるのでね」


「なるほど。では、僕は明日から動き出します」


「動く?何をする気だ?」


「明日、民衆を虐げている権力者を殺して民衆に救世主の出現をアピールするんですよ。

できればその後で敵との顔合わせの機会を作ってください。徹底的に馬鹿にしてやります」


「この国にまともな法は無いが、いきなり殺すのはさすがにいかんぞ」


「大丈夫です。上手くやりますよ。特に力を誇示して街の人に酷い行いをする奴を教えてくれませんか?ソイツを最初の見せしめにします」


「うっ! そ、そうだな。ヘイアスの甥であるガイアスが特に酷い。見た目は太っている。いつも周りに二人の護衛をつけているのだ。相当の手だれだぞ?大丈夫か?」


「一瞬で殺してやりましょう」


「そ、そうか… ワイバーンを一撃で倒せるならいけるのかもしれん…」



そうして今日はお開きとなる。

食堂を出る際


「あー。ゼロ君。君の部屋なのだが、フェリスさんと一緒にした方がいいかね?」


「いえ、結構です。別々で」


「はぁ?! 一緒に決まってるじゃないですか! 何言ってんですか!」


「いや、俺一人で寝たいんだけど…」


「なんでですか! 一緒に寝てても手を出してくる訳じゃないのに! ってそんな悲しいこと言わせないでください!!」


「はぁ、部屋は別々だ。一人でゆっくりするのも必要だぞ?」


「むぅ… なら、たまには一人で寝かせてあげますよ…」


「基本一人で寝るわ! カリノフさん。このアホは夜は監禁したいんですけど」


「それはそっちでなんとかしてくれ。では、部屋を二つ用意させよう」





こうして俺とフェリスの夜の戦い(血みどろ)が始まるのだった。

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