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真理の探究者  作者: しま
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素敵な旅

ただいま砂漠ツアー中。

元気のいいモンスターが砂の中から飛び出し、見たことの無い鳥が襲ってくる。


「なんでこんなにモンスターが襲ってくるんだ! お前らの誰か呪われてたりしないよな!」


「ははは! 何ででしょうね! まぁ、楽しいからいいじゃないですか!」


「狂ってやがる! モンスターじゃなくてお前らに殺されそうだ!」


「ちゃんと守ってあげてるじゃないですかー」


そんなことを言いながら馬車がかなりの早さで進む。別に俺が急かしている訳じゃないのだが、おっさんがこのかつて無い地獄を早く抜け出したいという気持ちの表れだった。

まぁ、早く着く分には俺は文句無いんだが。


「おっさん。そんなに速く走らせたら馬が潰れちゃうよ? 休ませてあげたら?」


「だったら休める環境作ってくれよ!」


「それは我々ではなくモンスターに言ってくれ」


「この状況絶対お前らのせいだよ!」


夜になってやっと襲撃が止んだ。

おっさんも可哀想なので俺のテントに泊めてあげている。

最初は喜んでいたが、だんだん痩せてきているな。目にも光が消えてる。街に着いたらボーナスやるか…


「よーし、今日はここまで! おっさん、街まではあとどんくらい?」


「今までかつて無い程急いだからな… 明日には着くだろうよ」


「すげぇ!」


「帰りは安全だろう… お前らもいねぇし、殺したモンスターの数も異常な数だし」


「良かったね!」


「うるせぇよ!」


食事を摂り、おっさんを部屋に追いやって作戦会議だ。


「明日には着くそうだが、着いたらまずシェリルの家に行くのか?」


「そうですね… 早く父を安心させてあげたいです」


「親父さんが襲撃されてるってことはないか?」


「ないです。何かあるとすれば闘技大会の期間でしょうから」


「家に着いたら俺の紹介をしてくれ。で、その後は適当に悪人狩りをするから」


「ちょっと、待ってください! 貴方は父の騎士として闘技大会に参加するんです! 父は平和を訴えているんですよ? その騎士が通り魔のように人を切りまくって良いと思ってるんですか?!」


「またいい人にならなきゃいけないのかよ! もうヤダ!」


「可愛く言ってんじゃないですよ!」


「仕方ねぇな… フェリス!俺が動けないときはお前が<隠蔽>で姿を隠して狩れ!」


「あいあいさー! ご主人様の分もいっぱい頂いてきますね!」


「まぁ、罪が重いヤツは闘技大会に出たり、俺を襲ったりするから美味しいのは俺に多く回ってくると思うけどな!」


「あ! そうですね! くそー! 私は塵を積んで山にする戦法で頑張りますよ!」


「塵って… 貴方達は何を言ってるんです? 悪人を殺すと何かいいことあるんですか?」


「天国に行けるンダー」


「嘘ですよね? 神なんて信じる人じゃないでしょ」


「そんなこと無いんだけど… まぁ、取りあえずグラジオラスに入ったらお前の家に行く。

で、親父さんと会って闘技大会に出場するように手配してもらう。俺は弱き者の為に悪を倒そうとする強い勇者様として振る舞う。俺がファンサービスしてる間はフェリスに襲撃とかさせる」


「襲撃させる必要あるんですか?」


「なに甘えたこと言ってんだ。徹底的に叩き潰すに決まってんだろ?

フェリス。殺すときは色んな方法使えよ」


「なんでですか?」


「敵が複数の集団だと誤解させる為だ。裏切りの偽装とかも出来たらしてみてくれ。

敵を混乱させて絶望に追い込んでやれ」


「悪いですねー」


「無慈悲と言え。 姫さん、俺たちに任せろ。この国の膿みを出して虐げられている奴らがすごしやすい国にしてやる。お前はその都度驚いたり喜んだり泣いたりして国民に親身になってやれ」

「は、はい…」


「さぁ、明日から俺の冒険の第2章が始まるぜ! 頑張ろうな!フェリス!(ぐっ!)」


「頑張りましょう!(がしっ!)」


はい、解散



翌朝、不安で中々寝付けず目の下に隈を作ったおっさんの馬車に乗って俺たちは進んだ。

今日もたくさんのモンスターに襲われる。

今日は砂を蠢くワームだ。デカい、きもい。


「うわー、あのミミズ気持ち悪いなー。おい、フェリス。行ってこいよ」


「やですよ! 今日街に入るって言うからお洒落な格好してるんですよ?」


「それは知ってるよ。可愛いなーって思ってたぜ?」


「そうですか? もっと普段から言ってくださいよー。そういうのは口に出さなきゃ伝わんないんですよ?」


「イチャついてんじゃねぇ! 馬鹿どもが! さっさとどうにかしろぉ!」


「無粋なおっさんだぜ。 仕方ない、可愛いフェリスに免じて俺が出よう」


「流石ご主人様! かっこいいです!」


俺は冒険者鞄からロープを出して太刀に結び着ける。

そして、槍を投げるようにワームにぶち当てた。


見事口を開けたワームの中に突き刺さり、ワームがのたうち回る。


「おっさん。片付いたぞ」


「仕事が速いのは助かるが、もう少し緊張感持ってくれよ」


「別にいいじゃん。倒してるんだから」



そして、午後になってから街が見えてきた。


「あれがグラジオラスか?!」


「あぁ、そうだ。これでやっと解放されるぜ」


「おっさん。目的地を前にして油断するのは強大な敵を呼ぶ儀式みたいなもんだぞ?」


「縁起でもないこと言うなよ」


「あ…」


「どうした?」


「ほら。おっさんが変なフラグ立てるから来ちゃったよ?」


「……え?」


俺が指した上空を見上げて声を出すおっさん。

頭上にはワイバーンが口を広げて飛んでいた。


「何ですか? あれ?」


「ワイバーンじゃね? なぁ、おっさん」


「もうダメだ… 何でワイバーンになんか会うんだ… 酷い…」


「なんか、どっか行っちゃってるな。シェリルの様子はどうだ?」


「気を失ってますね」


「軟弱者が。この世界で生きていくつもりあんのか? おい!起きろ」


「んぇ? なんか、化け物が空を飛んでる夢を見てました」


「現実だよ。お花畑さんめ」


「あぁぁぁぁ! ワイバーンですよ! 何でこんな所にいるんです!」


「知るかよ… まぁ、今回は可愛いフェリスにも少し手伝って貰うか」


「ちょっと馬鹿にし始めてます?」


「いやいや。ちょっと俺をワイバーンの方に投げ飛ばしてくれ」


「はい! 喜んで!」


「喜んで投げ飛ばすの…?」


俺たちは馬車の屋根に上った。

喜々として俺の襟を掴み俺と一回転したフェリスはワイバーンに向けて俺を投げ飛ばした。


呆然と俺たちを見るおっさんとシェリル。

猛スピードで飛びながら俺は太刀に手をかけた。


「ぐぉぉぉぉおおおおおお!」

叫んで威嚇しているワイバーンの首に一閃。ワイバーンの首は胴体から離れた。


そのまま一緒に落ちていき、ワイバーンを引きずって戻る。


「一丁上がり! ワイバーンって食えるの?」


そう言った俺を迎えたのは嬉しそうに手を叩くフェリスと、魂が半分抜けている二人だった。

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