移動しましょう
俺たちは今、アレナ共和国の入り口の街ラケナリアにいる。
テンプレ通り俺たちに肩をぶつけ絡もうとするおっさんに絡まれる前に絡むという秘技を見せた。
俺にぶつかってきたおっさんをガイドにして街を案内させる。
「旦那… マジで悪かったから、解放してくんないか?」
「あ?この街案内して他の街の情報出したら解放してやるよ。それとも、人生から解放してやろうか?」
「何でも聞いてください!」
「ここから首都までどのくらいだ?」
「首都ってことは、グラジオラスですね。 こっからなら5日くらいです」
「ずっと砂漠か?」
「えぇ。一面砂の場所と、一面岩の場所がありますね」
「モンスターは?」
「そりゃあ、たくさん出ますよ。馬車の定期便が出るんでそれに乗って移動するんです。
まぁ、金持ちしか使わないっすけど」
「金がないヤツはどうすんだ?」
「潜りの運び屋に頼むんです。危険ですけど、安いんで」
「ふーん。 この街はどんな街なんだ?」
「ここはヘイアス様が治めているアレナの端っこですね。特になんもない街ですよ」
「ヘイアスって?」
「この国を治めてる6人の内の最大の派閥を持ってる人っすよ。彼は力で国民を支配しようとしてるみたいです。この街も前はもっと豊かだったんですけどね…」
「お前は、平和な国を望んでんのか?」
「当たり前です! もう権力者の戦いに振り回されたくないですよ!
だから、今回の闘技大会には少し期待してます。たとえヘイアス様が勝っても今よりはマシになるんじゃないかって思ってますから。でも、本音はラクローサ様に勝って貰いたいですけどね…」
そう男が言うと、シェリルの肩がピクリと震えた。
「そうだな。国は平和な方がいいに決まってるもんな。じゃあ、最後に一つ。潜りの運び屋を紹介してくれるか?」
「あ、はい。それくらいならいいっすよ? ずいぶん急ぐんですね」
「あぁ。闘技大会に出るんでね…」
「えっ! アンタ、戦士だったのかよ! なんつー相手に絡んじまったんだ…」
そんなこんなで俺達は潜りの運び屋の所に案内してもらう。
「おっさん。客だ、グラジオラスに行きたいんだと。結構腕の立つ冒険者だぜ?」
「ほう、まだガキだが。そんな強いのか?」
「俺たちが何も出来ずにボコボコにされたよ」
「ははは! そりゃ中々だな! 坊主!いつ出発してぇんだ?」
「出来るだけ早く。今からでも構わない」
「そりゃ急ぐんだな! 何の用なんだ?」
「コイツ、闘技大会に出るんだとよ」
「マジかよ! 戦士なのか!」
「おう。で?いつ出せる?金はいくらだ?」
「金は一人銀貨1枚だ。時間は今日の夜でどうだ?」
「いいね。護衛してやるって言ったらもう少し安くならんか?」
「なるわけねぇだろ。 俺が死ねばお前らも死ぬんだ。いやでも手伝うことになるんだよ」
「それもそっか。あ、おっさん案内ありがとな。これ、お礼だ」
そう言って銀貨を一枚渡す。
「お! 銀貨じゃねぇか! こんなにくれんのかよ!」
「あと、一つ助言だ。 どうせここでも闘技大会の賭けが行われるだろ? そこで俺に賭けろ。
倍率はメチャクチャ高くなるはずだ。名前はゼロ。いいか? 多分勝てるわけないって思うだろうけど、俺に賭けな。 莫大な金が手に入るぞ?」
「ずいぶん自信があるんだな。まぁ、言う通りにしてみるよ」
「運び屋のおっさんもどうだ? 俺に賭けるといいことあるよ?」
「ふん! 銅貨1枚くらい賭けてやるよ」
「勿体ないな… 俺は自分に白金貨賭けるぜ?」
そう言ってポケットから白金貨を見せる。
「白金貨?! そんなもん持ってんのか?!」
「そんな物を持てる程の実力なんだよ」
「そうか… 分かった。俺も銀貨を賭けてやる」
「いい選択だ」
待ち合わせ場所を確認して俺たちは店をでた。
「本当にスムーズにグラジオラスまでの足を確保しちゃいましたね…」
「俺の交渉力は高いんだ。でも、意外と早く出発することになったな。
なんとかここにいるめぼしいヤツを殺さないと」
「はい?」
「ヘイアスってのに喧嘩を売るんだよ。 メッセージ残してやろうぜ!」
「いいですね! ヘイアスってヤツの部下なら相当罪背負ってますよ!」
「よーし。悪人探しだ!」
暫く歩いているとある酒場があった。その中の連中はバーテンダー以外全員が頭にドクロを浮かべている。
「おいおい。なんだありゃ、キャンディボックス見つけちゃったよ」
「何言ってるんです?」
「よーし、あそこ入るぞ。シェリルは外で待ってろ」
「フェリス、こっから先はちゃんと体を残して殺すぞ。 それで、殺したヤツの右手を落とせ」
「右手ですか?」
「あぁ。メッセージを残すって言ったろ? 明らかに誰かが狙ってるってのを示すんだよ」
そう言って酒場に入る。
中に入るとチンピラではない身なりのいい男とその取り巻きが酒を飲んでいた。
俺たちを見るなり
「おい! ガキ! ここはヘイアス様の派閥の者が使う酒場なんだよ。さっさと女置いて出てけ!」
「やっぱりそうか… しかし、コイツらは取り合えず女を置いて行けとそればかりだな…
貴方は身なりが他の方と違いますが、ヘイアス様の側近ですか?」
「へへっ まぁな。 なんだ? ヘイアス様に取り入りたいのか?まぁ、もうすぐこの国の王になられるからな。その気持ちは分かるぜ」
「いやいや、そんな頭の悪いことする訳ないでしょ。バーテン。出てろ」
そう言って<風纏>を装備する。
「あ?なに舐めた口利いてんだガキ!」
「宣戦布告だよ。 闘技大会で決着なんてそんな甘いことあるわけない。もう戦争は始まってんだ… まずはここから始めよう」
そう言って近くにいたヤツの首を落とした。
「スピードが命だぞ。早く仕事しろ」
「はい!」
俺たちはほんの30秒で皆殺しにした。意気揚々と店を出る。
「大丈夫かー? まぁ、1分程度で何かに巻き込まれることは無いか」
「え? 中で何したんですか?」
「ブラッドバスを作り上げた。宣戦布告だよ。今回の戦いでヘイアス一派は二度と再興出来ない位に叩く。 よし、次だ。 時間がないぞ」
そう言って次のたまり場を探す。
出発までに8の店を襲撃し、100人以上のヘイアス派の人間を殺して右手を切り取った。
夜。適当に店で買った食べ物を食べながら運び屋を待つ。
すると、暗がりから1台の馬車がひっそりとやってきた。
「よう」
「こんばんは。ではお願いします」
「おう。ちょっと質問なんだが、ヘイアス様の一派が根城にしてる場所が根こそぎ襲撃されたってんだが、お前じゃねぇよな?」
「さぁ? 後で分かりますよ。そんなことよりさっさと行きましょう」
「お、おう」
聞かない方がいいよ?という目を向けて俺たちは出発した。




