お姫さんゲット
馬に乗った明らかに犯罪者の集団がこっちに来る。
まずは挨拶だな!そう考えた俺は手を振って叫んだ。
「皆さん、こんにちはー。 アレナ共和国に行きたいんですけど、こっちで合ってますかー?」
そう叫ぶと、男達はまっすぐこっちに向かってきた。
全員布を頭に巻いて怪しさマックスだ。
男達は何も言わずこっちに走ってきて、俺たちを囲んだ。数は15人ほどだ。
「へへっ アレナに行きてぇのか、坊ちゃん。見た所冒険者だな? 夢見て冒険か!
残念だが、その夢はここで終わりだぜ? 俺たちを見ちまったのは運がねぇ。
お姫様と一緒に売り飛ばしてやるよ!」
「お姫様…? あんたら、亜人だよな? なんか、アレナも面倒くさそうだな…」
「だから、僕ちゃん達はアレナには行けないんですよー?
俺たち蠍に出会っちゃったのが運の尽きなんだよ!」
「さそり?」
「盗賊団の名前なんじゃないですか?」
「知ってるか? サソリって小さい程持ってる毒が強いんだぜ?」
「へー! そうなんですか! 何で?」
「デカいのは自分のハサミの力で何とかなるからだよ」
「なるほどー」
「ガキ! なに意味わかんねぇこと言ってやがる! ここは泣いて命乞いをする場面なんだよ!」
「ナイスつっこみ! フェリス! こいつら有名そうだからアジトに行けば金目の物がたくさんあるはずだ! 最近少し金欠気味だからここで稼ぐぜ! 気の弱そうな奴と馬は生かせ!
あと、お姫様とやらも見つけたら保護だ」
「あーい!」
「ガキが! 状況分かってんのか! 無駄に歯向かってんじゃねぇ!」
戦闘開始だ。 でも、主にフェリスに戦ってもらう。
俺は<パーカー&バロウ>を持ってこっちに来た奴だけを殺して行った。
フェリスはガルーの力を使って目にも止まらぬ速さで動く。
「なんだ! コイツら! 女の方が消えたぞ!」
「このガキ、何もしてねぇのに… 近づいた奴の頭が吹き飛んでく! 魔法か!?」
自分たちの感知出来ない速度で仲間が死んで行く。
「逃げろ! コイツら化け物だ!」
そう言って散り散りに逃げ出して行く盗賊。
「フェリスー」
「はい?」
「あの、真っ先に森に逃げ出した奴に”ついて行った”連中を二人くらい生かして連れてきてくれ。
他のバラバラに逃げた奴らは俺がやっとくから。 お姫様とやらは俺が拾っておくよ」
「わっかりましたー!」
引き続き俺は動くこと無く、草原に走って行く連中を撃ち落とす。
馬は<王の言葉>でこっちに呼び寄せた。
そのうちの一匹が袋を背負っている。中を開けると美しいお姉さんが目に涙の後をつけて眠っていた。
「お姫様ゲトー」
「ご主人様ー。連れてきましたよー」
両手に男を引きずってフェリスが戻ってきた。
「よーし、良くやったぞー。 流石フェリスだ」
「えへへー」
「じゃあ、お兄ちゃん達、ちょっと尋問するで」
そう言って俺は右手に<燃焼>を発動させ、無炎燃焼状態にする。
名前つけないとな… <根性焼き>で。
あと、遠赤外線で焼くのは<オーブン>にしましょう。
一酸化炭素は<CO発生>でいーや。
武器を腐らせるのは<腐食>だな。 爆発は… <轟爆>で
俺は何も言わず、一人の男の足首を<根性焼き>で掴んだ。
タバコの先端は約700度にもなる。そんな温度で握ったらどうなるか…
肉がこげる匂いが立ちこめ、「ぎゃあああああ!」と叫び声が聞こえた。
「アジトの場所、そしてこの女性について教えてください」
そう傷を負わせていない方の男に尋ねた。
「し、知らねぇよ!」
「あぁ、酷いヒトですね。貴方が話せば彼はもう苦しまなくてすむんですよ?」
そう言って俺は左手で男の顎を掴み口を閉じさせ、右手を口に押さえつけた。
「んーーーーーー!」
口が文字通り熱で焼かれ塞がれた男はくぐもった叫びをあげる。
「次は目ですかね…」
そう呟くと男は
「思い出した! 思い出したよ! 俺たちのアジトはここから草原を抜けた砂漠との境界にある巨大な岩山の麓にある洞穴だ!
この女はアレナの6人いる支配者の一人の娘だ! 穏健派で他の権力者から邪魔だと思われていたんだ!」
「なんで今さらったんです?」
「アレナはずっと権力者同士の小競り合いが続いてて、それを止める為に一人の王を決めようって話になってんだ! 穏健派は民衆からの支持が厚い。でもそれを良く思っていない権力者が闘技大会を開いて王を決めようっていったんだ! 民衆から実力者を選ぶ余裕を無くすため、娘を攫ったんだよ!」
「闘技大会っていつ開かれるの?」
「一月後だ!」
「へぇ… これはこれは… やっぱ、天が俺に見方をしているとしか思えないな…」
「いやいや、ご主人様。そんな周りに仲間がいない人間の見方をして他の権力者から目を付けられちゃうことを運が良いなんて普通言いません」
「俺が闘技大会に参加して優勝し、その穏健派を王にしちまおう。邪魔する権力者は皆殺しだ!」
「わー。また暗躍ですか?」
「今回はこっちから何もしなくても勝手に喧嘩を売ってくるさ。でも、絶対の力を見せつけるのは最後の最後にしよう。 ご苦労さん。お兄ちゃん。後はお姉さんに聞くわ」
「殺します?」
「殺しはしないよー 馬を一匹渡そう。 じゃあね」
俺は奪った中で一番しょぼい馬を男に渡し、残りの馬を連れて移動を始める。
お姉さんは俺が抱えて移動した。
馬に揺られて暫く、なんか遠くに岩山見えてきたかな?ってところでお姉さんが目を覚ました。
「ここは…? 外?」
「あ、お目覚めですか? フェリスー。お姫様が起きたー 今日はここで移動を終わりにしよう!」
「はーい」
「! お前達は! 何者です!」
「通りすがりの冒険者です! サソリって盗賊団に襲われまして、返り討ちにしたんですよ。
今はアレナに向かって進んでいます」
そう言って冒険者証を見せた。
「助けてくれたのですか?」
「まぁ、結果的にはそうなりますね。 お疲れでしょうから今日はここで休みます。
もう夕方ですしね」
俺達は馬から下りてイグノーから買ったテントを設置する。
「どーぞー」
「あ、ありがとうございます」
中に入ると、そこは20畳のリビングといくつかの部屋がついた広い空間だった。
最初は20畳空間だったのだが、俺が更に空間魔法で部屋を追加したのだ。
トイレ、キッチン、風呂、5つの個室がついた大変すごしやすい空間になっております。
「こ、これは! こんな素晴らしい冒険者テントは見たことがありません!
まだ幼いと言ってもいい年齢なのに、一体貴方は何者ですか?」
「そんなことよりまずは風呂と食事です! フェリス、お姫さんにお茶と軽い食べ物を出して差し上げろ! 俺は風呂を沸かす!
あ、お姫さん、トイレはこっちですんで。ごゆっくり」
そういって風呂を入れる準備、そして食事の支度を始めた。
お姫さんをフェリスと一緒に風呂に入らせ、食事をとる。
「こんなちゃんとした食事を旅の中で食べているの…?」
と驚いていた。
「では、改めまして。僕はゼロ。冒険者です。ホウガンからアレナ共和国へ旅をしている途中にサソリという盗賊に襲われて返り討ちにしました。そこで貴女を見つけ、貴女のことを聞いて保護したんです。何でもアレナの権力者の娘さんだそうですね?」
「はい。申し遅れました。私の名はシェリル=ラクローサ。
アレナ共和国を統治する7人の内の一人、カリノフの娘です…」




