組合長、騎士の末路
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化けて街に入る時の格好はウラゴスに決めた。
以前奪った騎士の鎧を着よう。
そう思って移動していたら、身分証を奪うのを忘れていた俺はあわてて引き返した。
まだトロールに蹂躙されている騎士を無視して眠っているウラゴスから身分証を盗る。
そしてまた街に向けて走って行った。
街に着いたのは8時頃。予定より遅くなってしまった。
門も既に閉まっているので仕方なく騎士の詰め所に寄る。
対応してきたのは下っ端の騎士だった。
首都から来たと告げ身分証を見せると恐縮してすぐに通してくれた。
俺は鎧の音を立てないようにしながら、少し急いだ素振りで夜の街を走る。
時々街の人が珍しそうに俺を見てくるが無視だ。
そして、組合長の家に入ると目の前には使用人の死体が転がっていた。
(フェリスはちゃんと仕事をしたみたいだな…)
そこで俺は粗末なローブを羽織り家の裏口から出た。
目指すは小屋だ。
小屋まで無事誰にも会うこと無く着くと、人が入った袋を見つけた。
中を開けるとそこにチャーリーが気を失って入っていた。
「よし、尋問タイムだ」
そう呟き<パーカー&バロウ>を装備して麻痺弾を打ち出す。
体の自由を奪うが口は利けるように念じて撃った。
膝のあたりに一発打ち込む。
「ぐあぁぁぁ!」
チャーリーは目を覚ました。
「こんばんは。組合長さん」
「君は、ゼロ君?! これは一体何の真似だっ!! そもそも君は私の依頼でここにはいないはず…」
「いやー。一緒にいた自称冒険者達に襲われましてね。 処理したんで貴方に詳しいことを聞こうと思って戻ってきたってことでどうです?」
「何を言っているんだ…」
「おっさん。俺に嘘ついても無駄だよ。 あいつらは騎士だった。 そして、アンタがあいつらを派遣したことも分かってるんだよ。 理由は? まぁ、あの魔法使いのおっさんに関係あるんだろうけどな」
「やはり、君はマークス様の失踪に関わっていたのか!」
「まぁ、ちゃんと話してもらう為に改めて俺のステータスを見せよう。持ってんだろ?<情報開示>」
「何故知っている… ! き、吸血鬼!? 何故?! さっきまで人間だったのに!」
「<詐称>だよ。 俺はこのスキルを極めててね。 俺の<詐称>を見破れるのはそれこそ神くらいなもんだ」
「ば、化け物… 何故この街に…」
「ちょっと用があったからだ。 べつに、この街に危害を加えるつもりなんか無かったんだぜ?
俺が良いたいことは簡単だ。 マークスとか言う魔法使いは俺が殺した。 今、皇国とは戦争状態ってわけ。 で、この街を出ようとしたのはその件とは何も関係がない。大人しく出て行こうとした所でアンタがくだらないちょっかいを出してきたって訳だ」
俺はスキル<王の言葉>を発動して言った
「何故このような依頼をした? どこまで俺を疑っていた? 言え」
「ぐっ! う、疑ってのは確かです。 貴方の強さは異常だ。ゲイルの態度を見れば彼が貴方を自分より遥か強者に感じているということが分かります。
そして、この街に来た時期などを改めて考えるとやはり貴方には何かあるのではないかと」
「あの騎士達は? 国に直接派遣を頼んだわけじゃないんだろ?」
「はい。近くの街にいる知り合いの伝手を使って呼びました。本国は関係していません」
「やっぱなー。 都合がいい。 国はマークスが消えたことについてどの程度危機感を持っている?」
「最初の数ヶ月は特に心配していませんでした。人類最強の魔法使いですから。
しかし、ここ最近は他国に連れ去られたのではないかとの疑いを強めているそうです。
直に公にし、他国にも捜索を申し出るかと」
「ふーん… 俺の存在は首都には届いているのか?」
「知る人ぞ知る、という程度に」
「他に知りたいことは無いか… もういいよ」
「ぐっ! 貴様、一体何者だ。 マークス様が簡単に殺されるわけが無い。3級の魔法を使えるのだぞ?」
「その3級って俺の言う上級だよな? 上級程度で何を威張ってんのか全く理解出来ん」
「なっ!」
「なんか、この世界の住人が弱すぎるんだよなー。 なにか理由がある気がしてきた。
やっぱり神国に行ってみるのがいい気がする。この国との戦争を終えたら行ってみようかな」
「そうだ! さっきも言っていた戦争とは! お前は軍を持っているのか!」
「持っているが、今は使えない。と言っておこうか。 まぁ、俺一人でも問題ない気がするけど… 別に、この国を滅ぼす気はないしね」
「そんな力個人で持てるわけが無い!」
「まぁ、いつまでも話しているわけにもいきませんな。これから色々偽装をしなくては。
まったく、なんで最後の最後にくだらないことをしてくれちゃったんですかね。
残念ですよ。組合長さん。では、さようなら。 毒よ 眠らせ」
そうしてまたチャーリーは意識を失った。
俺はチャーリーを抱え、<韋駄天の下駄>で再びチャーリーの家に戻る。
そしてチャーリーの自室らしき部屋に入った。
そこで俺は一つのビー玉のような物を取り出す。
これは、ゲイルが街を発つ時にくれた魔蓄石。
彼は言っていた。魔力を大量にこめるとそれを出す時に暴発するから気をつけろ、と。
俺はその時思いついたのだ。「これ、超小さい爆弾になるんじゃね?」と
魔蓄石を人差し指と中指ではさみ、チャーリーの腹に突き刺して埋め込んだ。
チャーリーのステータスを起動し、何か使えそうなスキルが無いかと調べる。
あった。<看破>だ。これは相手が嘘をついている時にそれを見破るスキルだ。
これがあれば高圧的な交渉も使えるね! 後であの聖騎士からも何か奪おう。
戦利品も得た。仕上げだ。
家を出て上空に移動。
「結界よ 守れ。 風よ 遮断せよ」
家が壊れてはいけないので結界魔法で家を守り、大きな音が鳴ることもマズいので遮断魔法もかける。
ちなみに、俺はどのような効果があるかみたいので魔法の内側にいる。
仕込んだ魔蓄石に意識を向け、貯めた魔力を解放した。
ッズガン!とものすごい音が鳴り、家が震える。
やっぱり相当威力があるようだ。 でももっと籠められそうだったので次は大人数に被害が出る爆弾を試してみようと考える。
では、街を出るか。門を出て行くことはしない。 入って来た騎士が消えたとなれば騒動に拍車がかかるだろうから。
いつもの高速移動スタイルで街を出る。
(あぁ、今日は野宿か… 今度テント買おう)
騎士の元に戻ると命令通り一つの反応を残して残りは死に絶えていた。
(よし。朝になったら行動再会だ)
そう思って毛布を取り出し戦場から離れたところで見つけた洞窟の中で寝た。
朝
現場に戻ってきた。
ウラゴスは眠ったままだ。ちょっと怪我をしている。ハーピーは帰還させた。
(いくら俺が召還したモンスターでもハーピーじゃ一方的に無力化できなかったか…
ちょっとお話したいし、起こすか)
俺はウラゴスを起こしてみる。
「うっ! 一体… あの化け物は!?」
「それは俺のことか? それとも召還したモンスターのこと?」
「! お前は! 仲間はどうした!」
「そこら辺に転がってるよ。まぁ、7人分あったから、全滅だな」
「貴様は一体何者だ!」
「ただの冒険者だよ。君たちが変なちょっかいを出したのが悪い。 アンタら、何だったんだ?」
「我々は皇国の栄えある騎士団の騎士だ!」
「知ってます。 なんで俺を狙った?」
「チャーリー殿から貴様の調査を依頼されたのだ。マークス様失踪に関係があるかもしれないと言われたのでな。我々はマークス様の捜索隊なのだ」
「アンタらが捜索隊なのか… 他にはいるのか?」
「いるに決まっている。 他にも3つの部隊が動いている! 逃げられないぞ!」
「いや、逃げますけど。 なるほど、部隊で動いていて皆で一つって訳じゃないんだ。これも都合がいい」
「なに?」
「まぁ、おしゃべりはそのくらいにして。 騎士様なんですから最後はちゃんと決闘で散らせてあげましょう」
「ふ、ふざけるなよ!!」
「ほら、構えろ」
俺は神級装備ではなく上級騎士の剣を構えた。
そしてウラゴスに向かって走る。
「うぉぉぉぉぉぉ!」
そう叫んでウラゴスも俺に向かってきた。
やはり大したことはない。残念だった。
久しぶりにプレイヤーとサシで戦う雰囲気を味わいたかったのに…
「遅すぎますね。 剣の移動も脚運びも。 せめて聖騎士なら合間に魔法でも撃ちましょう。こんな風にね。 炎よ 貫け」
左の人差し指から脇腹を擦るように炎の矢を撃つ。
鎧を溶かしてダメージを与えた。
「うっ!」
そう言って飛び退き息を整えようとするウラゴス。
「休憩ついでに質問なんですが、貴方はこの国でどのくらいの強さなんです?」
「………」
「結構上みたいですね… 上位100人くらいですか?
まぁ、あの魔法使いが最強とか言っている時点でたかが知れてますけどね…」
「最強の魔法使い? まさか! やはり!」
俺は魔眼の<石化>を発動した。
ウラゴスの体が脚から石に変わっていく。
「なんだ! なにが… 貴様の目! まさか、吸血鬼?!
そんな、馬鹿な! 吸血鬼なら私の剣に近づくこともできないはずだ!」
「あー、その剣光魔法を纏ってますもんねー。 っと、ステータス確認しなきゃ!
お! また珍しいNPCに特有のスキルを持ってますね! 頂きます!」
俺が奪ったのは<鼓舞>だ。
信頼を寄せている者に発動すると戦いの中全ステータスが1割向上するらしい。
(これをフェリスにかければ更に強くなるぜ!)
「くそっ! 皇国にこのことを伝えなければ! 誰か!いないのか?!」
「自分たちで人のいない所に来たんでしょうに… 申し訳ないが、貴方には組合長殺しの犯人になって頂くので死体も残しませんよ?」
「! 組合長を殺した…? 貴様は… なんてことだ。 この国が、滅んで、しま…」
完全に石化した。
「よし! 終わり! 後は後始末していつも通り街で寸劇しなきゃなー」
石になったウラゴスを<無限収納>にしまう。
他の奴らの死体は燃やした。
「どっかに石がたくさん転がってるとこないかな… まぁ、川でもいっか」
と街に向かってのんびり歩き出した
結局ウラゴス石は川に沈めることにした。
空に放り投げ、<パーカー&バロウ>で細かく砕いた。
「よーし、これで後は街に戻るだけだ」




