そろそろ街を出よう
フェリスを見つけて更に1ヶ月俺は今小高い丘で人間狩りの真っ最中である。
ここ最近はフェリスの特訓とランク上げに邁進した。
今ではフェリスはEランク。実力に至ってはBランクモンスターは普通に倒せる程になっている。
俺たちは今、以前にグースが誘ってきた人攫いの組織壊滅を行っている。
前に一人でフェリスを依頼に行かせた時に襲われたので面倒に感じ、一網打尽に滅ぼそうと決意したのである。
数日掛けて種を蒔いた。
まず、フェリスを襲った輩は当然その場で殺した。
そして俺たちは翌日から<詐称>で人間の可愛らしい少女に化け、日中森の中に潜んだのだ。
いなくなった仲間を捜しにきた一味に俺たちの姿を見せる。そして逃げながらステータスを確認した。
そんな事を数日繰り返す内に一人のリーダー格と思われる男が現れたのだ。
俺たちは二手に分かれ、リーダー格を俺の方にくるように誘導し、フェリスと十分離れてから<魔眼 燃焼>でリーダー格以外を一気に焼き払う。
リーダー格に<魔眼 人形化>を使い記憶を探るとコイツは支部長みたいな奴だった。
俺はコイツの記憶をいじった。内容はこう。
人間が逃げた先に他にもたくさんの人間や獣人が潜んでいるのを見つけた。
しかしモンスターが多くて自分以外は死んだので次は総出で狩りに行く。
ちょっと無理矢理すぎるか?と思ったが今日多くのドクロを浮かべた集団が森に入って行った。
頭悪いな。
俺は奴らがある程度森に入った時点で<燃焼>で街と人攫いの間を焼き、森の奥に逃げるよう誘導した。
そして<風纏>で丘までダッシュし、<パーカー&バロウ>の狙撃銃モードで殺していく。
さっきの火を見て騎士団が来るはずだから残党処理のため何人かは生かしておく。
ドクロマークが濃い奴を優先して撃ち抜く。
まぁ、下っ端だけ残してもこの組織の事が分からないから調整は必要だ。
ちなみにフェリスはガルーから貰ったスキル<迷彩>を使って誘拐犯達を狩っている。
あと、ついでにここに来る為に受けた依頼も済ませておくよう言っておいた。
透明になったフェリスを見てみると殴った人間が水風船のように破裂している。
どんだけ腕力あるんだ…
ガルーの力は最後に俺に放ってきたブレスから想像していた通り、基本は風と闇だった。
あと、体に魔力を纏うことで桁違いな魔法防御を手に入れる。
贖罪値の影響でまだまだ力は封印されている。ぶっちゃけ俺より重い枷を与えられている。
今は無理だが、風魔法と闇魔法を組み合わせた<病み魔法>なんてものも使えるらしい。
初めて聞いたが、これは素晴らしい。
呪いじゃないので自分の任意な時に発動できるし、解除もできる。
これからの戦術が大きく広がる気がする今日この頃である。
あらかた狩り終わった。
「よし、戻るか」
そう言ってフェリスの元にいく。
フェリスの元へ移動しようとしたとき
『ステータスが必要量に達した為<閃光>が使用可能になりました』
はい。来ました。
今使えない装備はぶっちゃけこの難易度ならいらないモノだ。
しかし、これからニーナを探すなら魔境などにも行く必要が出るかもしれない。
なので解除される分には当然嬉しい。
「ご主人様。なんか嬉しそうですね」
「ん? あぁ。封印されてた装備が使えるようになったんだ」
「私もです!なんか、風刃っていうヤツです!」
「おぉー。なんか飛び道具っぽいな。 おっと、ここでのんびり出来ん。騎士が来るぞ」
「あ、そうですね。私たちはここよりずっと遠い所で依頼を受けているんでした」
そう言ってそそくさとその場を離れる。
生き残った奴らは放心状態で動けていなかった。
街の中。夜。
「そろそろここを出ようと思います。そろそろ本格的に母様を探したいので」
「探す目処はあるんですか?」
「それは、俺の銃とお前の中の奴の察知能力で! おい、ガルー!」
『なんだ?』
ガルーは今俺たちとならテレパシーで会話出来る。
努力の賜物だ。
「お前、神が近くにいたらわかるか?」
『どのような神だ?』
「俺が作った神だ。全種類の属性がある。 数は12体いる」
『はぁ?』
「まぁ、とりあえず、感じたこと無いくらい強そうな神がいたら教えてくれ。
封印されてるかもしれないけど」
『何を言っているのか理解出来ないが承知した』
「よし。明日そろそろここを出ると皆に言いに行こう」
まずは、イグノーの所だな。そんで冒険者組合、あとハウンドにも挨拶しておこう。
翌日宿を出る時もうすぐ街から出ると話した。
いつも受付に座っているのはレオナさんという人だ。
「レオナさん。そろそろ僕達
は街を出ます。今すぐってわけじゃありませんが。長い間お世話になりました」
「え! そんないきなり… ここも貴方がいれば安全なのに」
「そう言って頂けるのは嬉しいですが、僕は世界を旅をしたいんです」
「そうですか… 寂しくなりますね… どこに向かわれるんですか?」
「ゲイルさんの後でも追ってみようかなって」
「ちゃんと出て行くときを決めたら教えてくださいね。お別れ会を開きますから!」
「ありがとうございます」
そう言って宿をでた。 次はイグノーの店だ。
「おはようございます。イグノーさん。 ちょっとお話がー」
「おぉ! ゼロ君。久しぶり なんだい? フェリスちゃん用の新しい装備かい? それとも君用? まさか、お別れの挨拶なんて言わないよね? ははは。
君はこの街で名を挙げるんだもんな!」
「いや、まさにこの街を近々出ようと思っているのでその報告に…」
「嘘だっ!!」
「…え? ホントですけど」
「なぜ?! 君の目的は冒険者として名を挙げることだろ!? だったらここで引き続き頑張ればいいじゃないか!」
「だってこの街ドラゴンもフェンリルも出ないじゃないですか!」
「それは、冒険者じゃなくて勇者の仕事だよ…」
「とにかく! 言っちゃ悪いけどこの街での冒険者稼業はたかが知れてます。
僕はもっと刹那の見切りの戦いをしたいんです!」
「完全に戦闘狂になってるね」
(「元からですよ… おじさん」)
「フェリス? 何か言った?」
「いいえ! 止めても無駄なのになっていったんです!」
「そう! イグノーさん。 止めても無駄です。 取りあえずゲイルさんの後を追ってみようと思ってます! どこに行ったか知りませんか?」
「あの戦闘狂の後を追うのか… えっと、アレナ共和国を旅してから武封国に行くって言ってたけど」
「よし! 僕たちもそうします!今すぐ出る訳じゃないので。 ちゃんと出るときは事前にお話ししますよ!」
「そうか… まぁ、君は中々死ぬことはなさそうだが。でも気をつけるんだよ?」
「もちろん! 取りあえずこれから冒険者組合に言って話してきます。明日もお店に来るので、なんか僕にやって欲しいことがあったら言ってくださいね!」
「あぁ、分かった。 何か長くなりそうな依頼を考えておくよ」
「若者の旅路を邪魔しないでくださいね…」
イグノーの店を出た。 次は冒険者組合だ。 なんか一番色々言われる気がする。
もちろん行かないわけにはいかず組合の扉を開く。
そしていつもおなじみのニーナの元に向かった。
「おはようございます。ゼロさん。今日はどういった御用ですか?」
「えっと、少し言い辛いんですけど、近々この街を出ようかと思っている、という報告に…」
そういうと冒険者組合全体が「えぇーーー!」という声で埋まった。
「嘘だろ!」「まだ半年くらいじゃねぇか!」「どこに行くんだ!」「私を捨てるの!?」
最後意味わかんねぇ。
「今すぐじゃないです! ただ、この街を出るつもりがあるってことです!
だから、僕に何か頼み事がある場合は早めに言ってくださいね!
でも、一人一つでお願いします!」
冒険者組合は混乱に包まれる。一緒に依頼を受けてくれ、一緒に飯を食いに行こう、結婚してくれ、など色々言われた。 結婚は断った。
30分程で皆から解放された。俺は手帳に皆との約束を書く。
(2週間くらい埋まったな…)
そう思っていると後ろから声がかかる
「ふふっ 人気者になりましたね」
「嬉しいことです。 でも、ここではもう自分は高みに上れない気がして…
もっと色々な強者に出会いたいんです」
「では、武封国に?」
「えぇ。そのつもりです。 イグノーさんからゲイルさんがそっちに向かったと聞いたものですから。 アレナを回って、武封国に行きます」
「そうですか・・・ お気をつけて。 こことは比べ物にならない程厳しい環境だそうですから」
「えぇ。楽しみです」
そういうと諦めと呆れの混じった笑顔を向けられた。
今日も何か適当に依頼をこなそうかと思って掲示板を見ていると、声をかけられた。
「やぁ、ゼロ君。なんでも近々この街を出るそうで。とても残念です」
そう声をかけてきたのは組合長のチャーリーだ。
「あ、組合長さん。こんにちは。そうなんです。ちょっと旅をしようかと」
「何でも今貴方に頼みがあれば言ってくれと仰っているそうですね。私の頼みも聞いてもらえませんか?」
「もちろん構いませんよ?」
「では、私の部屋に来てもらえますか? そこでお話をしましょう」
そう言われ俺たちは二階に上がって行った。




