主人公、覚醒
元から主人公の性格はこんな感じです。
俺は最近一週間ほどちょくちょくグースと共に依頼を受けている。
グースは俺の思った通り寄生して楽に金を得ようと俺に声をかけてきた。
俺は最初からそれを分かっていたので、報酬の額をCランクの依頼は俺が3割でグースが7割、Dランク以下の依頼は半々にしようと提案した。
すぐにグースは機嫌を良くし、俺の提案に乗る。
こうして2日に一度というハイペースでグースは俺を誘うようになった。
俺はわざと毎日依頼を受けた。
そして、グースが逆に働かないよう自分からこき使われるように動いた。
街で半ば英雄扱いされている俺をこき使っているように見せているのだ。
これでグースは前よりもさらに街の人間からの評判が落ちていった。
そして、報酬の額の設定のおかげでグースが俺と依頼を受ける時はCランクの依頼だけ受けていた。
普段のグースはCランクを受けている姿を見た事が無い。
俺を使って楽をしているのだろうとセリーさん含め冒険者組合所の人も最近グースに対するヘイトが上がっている。
そうやってグースの評判を更に下げ、Cランクという慣れない危険な依頼を多く受注させいつ死んでも誰も不思議に思わない状況を作った。
俺は一人で依頼を受ける時は森を散策し、グースが死んでも怪しまれないポイントを探していた。
さらに二日経ったある日。ちょうど良いポイントを見つけそろそろ行動を開始しようというときまたグースから依頼を手伝うよう言われた。
当然俺はついて行く。今日の依頼はワーグという魔獣の討伐だ。ランクはもちろんC
すぐ依頼を受けて森へ入る。
わざと少し怪我をして周りの人間を心配させる細工を施しワーグを狩る。
「いやー、やっぱお前強ぇな」
「いえ、全部ゲイルさんのおかげです。装備も技術も全て彼から教わりましたから」
「そんな風に威張らないとこもまた利点なんだぞ?」
そう言ってくるグースに違和感を覚える。
ん?今日はやけに俺を持ち上げるな…
「どうかしました?」
つい俺は聞いてしまう。
「いや、実はな。お前に儲け話を持ってきたんだ」
「儲け話? それは犯罪行為ですか?」
「まぁな。だが、俺たちは絶対捕まらねぇ。簡単に言うと奴隷商に商品を与える仕事さ。
森にいる獣人やガキをさらって街の外にある取引所に渡すんだ。
抵抗されても弱いからいざって時は殺せばいいし。ぼろ儲けだぜ?」
そう汚い笑みを浮かべて言う。
「うーん… 僕の親から与えられた課題が冒険者として名を挙げろって内容でして…
自分の経歴に傷がつく可能性がある事は避けたいんです。
それに、僕はこの街で有名になってしまってそういう事に手を出させない為なんでしょうが、ずいぶん前に組合長から直々に呼び出しを受けて釘を刺されてしまったんですよ。
彼は人の嘘を見抜けるらしいです。なので、僕を誘う事は欠点の方が多いはずですよ?」
「マジかよ… それは確かにそうだな。今の話は聞かなかった事にしてくれ」
「分かりました。すみません。せっかく誘って頂いたのに」
「別にかまわねぇよ。 俺もお前のおかげで大分儲けさせてもらってるしな。よし、帰るか」
会話を切り上げ俺たちは街に向かう。こいつの罪の正体が分かったのは嬉しいな。これで心置きなく殺せる。 そう思った。
案の定街に戻ると怪我を負った自分と鎧すら奇麗な状態のグースを見てまたしても皆のヘイトが上げられた。
翌日俺はEランクの依頼を受けグースの狩り場へ向かう。
1時間程ひたすらまっすぐ森を歩き目的地に着く。
そこは何も生物が住んでいない洞穴だ。
そこで<契約の指輪>を装備し、Bランクモンスターのオーガと何匹かのCランクモンスターであるコボルトを召還した。
コボルトを洞穴に待機させ、オーガは少し離れた所に隠れさせる。
そのまま街に戻った俺は組合所に行って報酬を受け取る。
さすがに疲れたから宿に戻ると皆に聞こえるように言い、心配してくる奴らに礼を言って宿に戻る。
暫く寝るから部屋に用があっても夕食の時に言ってくれ、と受付のお姉さんに言って俺の部屋に人が近づかないようにしてから窓からこっそり外に出た。
<詐称>を使い狩人に化けた俺は再び冒険者組合に行って、コボルトが住み着いたので討伐して欲しいと依頼を出した。 予想通り、距離やモンスターの種類からCランク依頼になる。
依頼金をわざと少し低めに設定した。俺たち以外受けないようにする為だ。
こうして宿に戻り、明日の流れをもう一度考えた。
翌日、俺は俺の出した依頼を受ける事を渋るグースに遠い場所にあるので道中のモンスターを狩れば逆に報酬は上がる、と説得し受注させた。
目的地に1時間半ほどで着いたグースは俺に中の様子を見てこいと命令してきた。
俺は何も言わず洞穴に入る。そこで俺はオーガとコボルトの支配を解いて野生に戻した。
暫く進むとコボルトが見えてきた。
襲いかかってくるコボルトを討伐部位の耳を残して<パーカー&バロウ>で撃ち殺していく。
外では1日中何も食べられず腹を空かしたオーガが食料と戦っているのだろう。
コボルトの耳を回収しながら<気配察知>でグースの様子を探る。
グースは今交戦中だ。奴の実力ではオーガに背を向けると確実に殺されるため何とか俺が戻るまでの時間を稼ぐしかない。
グースは自分の斧でオーガの振り下ろす剣を弾いている。
10分程様子を見ているとグースは大きな攻撃を食らい始めた。
(そろそろか…)
俺は剣を抜いて本気で走りオーガの喉を貫く。
オーガは暫く暴れて動かなくなった。
その様子を呆然と見ていたグースはふらふら立ち上がり「助かったぜ」と言った。
俺は「危なかったですね。こんなのがここに出るなんて、ついてないです」と言いオーガの持っていた剣に手を伸ばす。
「全くだぜ。まぁ、生き残ったんだから運が良かったと言えるんじゃねぇか?
これで金も大量に入るしよ! おい、コボルトはもう倒したんだろうな?!」
そう聞いてくる俺は「えぇ」と言って<風纏>を装備しグースが知覚できない早さでグースの腹を貫いた。
グースは何も言う事無く即死した。
その場でオーガの討伐証明である角とグースの体を担ぎ街へと走る。
走り始めた時頭の中で心麗の声が聞こえた。
『ステータスが必要量に達した為<韋駄天の下駄>が使用可能になりました』
やっと大きな目標の一つを達成した。これでニーナを捜す事ができる。
俺は既に背負った死体を忘れ、嬉しさのあまり走る速度を上げた。




