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真理の探究者  作者: しま
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もはやただの狩り

俺たちは今街を出て森を歩いている。


ウッドウルフの巣を見つける為だ。大体の位置は教えられているので道中に出てくるゴブリンを依頼達成のため狩り、見つけた薬草を採取し、他にも今後依頼で必要とされそうな物を倒して採取して冒険者鞄に収めていく。


ゲイルは俺の後ろをついて歩いている。最初は何かアドバイスをしようとしていたが、俺の戦闘を見てからは特に何も言わなくなった。

しかし、組合に提出する討伐部位や、奇麗な素材の剥ぎ取り方などは逐一教えてもらう。


森を歩いて2時間程でウッドウルフ以外の依頼は終了した。



「お前、マジで強いな… 物覚えも良いし」


そう呆れたようにゲイルは言った。


「そうですか? この程度何でもありませんが」


俺は、街を散策中に<情報開示>で集めた冒険者の強さとランクを元にCランクの中堅くらいの強さにしている。

敏捷は結構高くしているが。


「速さがすげぇ。速く動ける冒険者は何に対しても得だからな…」


「まぁ、確かに速さには自信ありますよ」



そうして10分くらい歩いた所で複数のウッドウルフの気配を感じる。

(巣が近いな、距離にして500mくらいか…)


100m程歩くとゲイルも気づいたようだ。しかし特に何も言ってこない。

もう100m程歩いて俺は口を開く


「近くに複数の魔物の気配がありますね。巣が近いんでしょうか」


そういうとゲイルは驚いた顔をする。


「この距離で気づけるのか。気配察知能力も相当なもんだな」


「森で生きてきたので。そこのところも結構鍛えられました」


そう言いながら巣に向かう。残り100mほどで俺は一気に走り、群れの中央に切り込んだ。


ウッドウルフは木の上などに巣を作るオオカミだ。

30匹ほどがいて半分は地面におり、もう半分は4、5本の幹で伸びている。


地面のウッドウルフを斬りつけながら俺はウッドウルフのいる木を思い切り蹴りつける。


折れはしないが少し傾いた木から巣と思われる木の枝がウッドウルフと共にバラバラと落ちてきた。


突然の襲撃にうなり声をあげ俺に飛びかかってくるウッドウルフ達。


俺は冷静に優先順位を決めて地面や木の上から飛びかかってくるワンコをなるべく素材が傷つかないよう殺していく。


残り5匹をきった所でウッドウルフが逃げようとするが、投擲ナイフを投げて皆殺した。


殺し終わったら木をガンガン蹴り巣を破壊していく。

ちょうどそのとき歩いてこちらに向かっていたゲイルが到着する。


「おぉ!本当に皆殺しにしてやがる。信じらんねぇぜ。

しかも全部素材の剥ぎ取りを考えた殺し方だ。お前、冒険者初心者って嘘だろ?

もうベテランでいいよ」


そう言ってきた。


「いえいえ。殺すのは得意ですが剥ぐのはやった事無いです。

ちょっと数が多いので剥ぎ取り手伝ってくれません?」


「おう。いいぜ」


そう言って二人で剥ぎ取りを行っていると大きな魔物が近づいてくるのが分かる。


「なんかデカいのがこっち来ますね」


「あぁ、恐らくクロウベアだ。長い爪を持ってて以外とすばしっこい。ランクはCってところか」


「高く売れそうですね」


「そりゃ、そうだが。なんだよ。倒すつもりか?」


「もちろん。こっちにのこのこ近づいてくるんですから。なるべく奇麗に殺すんで、後で剥ぎ取り教えてくださいね」


「お、おう。いくらお前でも奇麗に狩るのは難しいぞ」


暢気に会話していると体長4mにもなる巨大な熊が現れた。

俺たちを見つけると立ち上がって威嚇してくる。


俺はおもむろに立ち上がって熊の頭部を指差し


「風よ、穿て(うがて)」と唱えた。


風の弾丸はクロウベアの頭部を奇麗に貫き絶命させる。


「よっしゃ! 完璧!」


嬉しそうに言った俺は呆然と見ているゲイルを見る。


「お前! 魔法使いだったのか!?」


「いえ? 魔法も使える剣士って言い方の方が正しいですね。

武器を使った近接戦闘の方がずっと得意ですよ?」


「威力もすげぇじゃねえか!」


「魔力が多いというより精度が高いんですよ。今のは圧縮して矢のように打ち出したので一点に威力が集中してるんです」


「なんか、そっちの方が凄くねぇか?」


「まぁ、個人に特化した戦術ですね。魔法使いは後ろから広範囲の魔法を使う事を望まれるので僕のように前線で戦えないとあまりこの魔法に意味は無いんですよ」


「なるほどな。お前、Aランクでいいよ」


そう話しながら熊も解体して冒険者鞄に入れる。


「まだまだ入ります。これ、本当に凄いですね」


「そりゃ、大金貨5枚の値打ちがあるんだからな。まぁ、一回森に入ってこんだけ素材を手に入れられるんなら無駄じゃなかったと思うさ」


「このまま依頼をこなして報酬を分ければ白金貨なんてすぐですよ!」


「そうかもしれねぇなぁ… 帰るか。」

なんかゲイルが遠い目をしているぞ。


「今度は師匠が戦っているとこ見せてくださいね」


「今日で自信なくしちまったよ」


そんな事を言いながら街に向けて歩く。



検問で俺を街に通してくれた騎士隊長のハウンドに会った。


「よう。本当にゲイルさんの荷物持ちをやってんだな! 凄いじゃないか!

もう見たと思うがこの人の持つ身の丈程もある大きな剣。アレに俺は憧れててなぁ!

色々勉強させてもらえよ!」


「はい。色々と教えてもらいました。今日は僕につき合ってくれただけで師匠の戦う姿は見れてませんが、期待して待ってます!」


「おう、そうしてもらえ! あれ?ゲイルさん? どうしたんですか?」


「え? まぁ、今日世界の広さを知った…って所だ」


「はぁ、何があったのか分かりませんが、おつかれさまです。どうぞ、お通り下さい」



街に入り冒険者組合所に行く。


セリーの前に言って薬草40個、森鹿5匹、ゴブリンの耳25個、ウッドウルフの尻尾32本を机に置く。


セリーは嬉しそうにゲイルを見た。

「やっぱり手伝って上げたんじゃないですか。でも、少しやり過ぎですね」


そう言った。


ゲイルはため息をついて


「いや、俺は剥ぎ取り方法を教えて少し剥ぎ取りの手伝いをしただけだ。今回は剣を一度も抜いていない」


そう言うとセリーは唖然として俺を見る。


「えっ!? この子が一人で全部倒したんですか?!」


「あぁ、他にも色々倒して冒険者鞄に入れているが、今その素材が必要な依頼を受注して渡すそうだ。」


「換金お願いします。僕は今持ってる素材を納品する依頼を持ってくるんで」


そう言って依頼板に向かう。


「本当なんですか?」 「こんな嘘言ったってしょうがねぇだろ」


と後ろで会話をしている。



俺はGランクの依頼6つ、Fランク3つ、Dランク3つ、Bランク一つの依頼書を持って行った。

それぞれの依頼書の上に達成条件の素材を置いていく。


「じゃあ、受注して報酬を下さい」


「え!? クロウベア?! これも貴方一人で倒したの?! それもこんなに奇麗な状態で?」


「えぇ。剣で頭をつきました」


当然俺は魔法を使える事は隠す。ゲイルも同じ判断だった。 絶対面倒ごとに巻き込まれる。

それはこの国では避けたかった。


「こいつ、マジで化け物だぜ」


そうゲイルが言うと疑り深そうに見ていた冒険者の間から悲鳴のような驚きの声が上がる。

「ゲイルさんが化け物扱いしてるだと!?」「嘘だろ…」「一体何者なんだよ」


「なるべく早くランクアップさせた方がいい。暫くは俺が一緒につくがいつまでも一緒じゃないんだからな」


そう言った。自分の理解が追いついていないのか呆然とクロウベアの素材を見ていたセリーはハッと気を取り戻し、


「今から先ほどの依頼の報酬を審査した後でこの依頼書の受注、報酬を合わせて持ってきます!」と叫んで奥に走る。


間もなく大勢の職員を連れ素材や納品物の鑑定を始めた。





俺たちは椅子に座って組合所に併設されている食事処で食事を摂る。

最初の依頼の達成祝いだと、ここでもおごって貰った。


食べている途中で本当に自分でやったのかと絡んでくる輩もいたが、ゲイルが「実力を見せてやったらどうだ?」と言い、それに対して「殺して良いんですか!?」と殺気を叩き付けたら震えて逃げて背を向けたので。

「どこ行くんですか?!」と追いかける素振りを見せたら転びながら組合所を飛び出して行った。


30分くらい待ち報酬をもらった。報酬は大金貨2枚。

ゲイルを相手に安く報酬を与える事はないと考え何も言わず受け取る。


一枚をゲイルに渡した。


「これを後9回やれば僕への投資を回収できますね! この月で達成しましょう!」


「半分も貰っちまっていいのか?」


「当たり前じゃないですか! そもそもゲイルさんがいたから受けられた依頼が多いですし、素材の剥ぎ取りも教えてくれたんですから!」


「そうか。まぁ、ありがたく貰っておくよ。これから稼がしてもらうぜ。改めてよろしくな」



そう言って俺たちは握手した。



こうして俺の初依頼は多くのおまけ付きで達成されたのである。

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