ストレートなテンプレかと思ったら変化球だった
「え…? 何、コレ」
俺の冒険者証を見てお姉さんはそう呟いた。
何かまずい気がする。そう直感した俺は、
「え?何ですか?ちょっと見せてください!」
そう言って冒険者証を奪い取った。
俺は冒険者証を見る。
すると、自分の名前が真っ赤に燃えていた…
所有者が俺になったので咄嗟に<詐称>を使い文字を黒に変える。
「ん? 何もおかしい所は無いように思えるんですが、何か変ですか?」
そう言ってお姉さんに冒険者証を返す。
「え? あれっ!? 何ともない… あれぇ? 名前が燃えているように見えたんだけど…」
俺は笑って
「そんな変な事あるわけないじゃないですか。そんな事が起こるんですか?」
そう聞いた。
「いえ… きっと見間違えですね。 ごめんなさい。これで無事貴方は冒険者です。
冒険者はGからSまでランクが有ります。
基本は同じランクの依頼のみ受注できます。ある一定以上の依頼をこなし、組合長が強さや貢献度を加味し、ランクアップを認めたらランクが上がります。
一応パーティーを組めばそのパーティーのメンバーのランクならどれでも受ける事ができますが、高ランクはもちろん危険が多く、他人にくっついても組合長はランクアップを認める事はないです。 自分の身の丈にあった依頼を受ける事をお勧めします。
では、コツコツと頑張ってください」
そう言われ、俺は冒険者になった。
「ありがとうございました。これからよろしくお願いします!」
俺はお姉さんに礼を言ってから背を向け取りあえず宿に向かおうと歩き出す。
(いやー、ここで称号[永久レッドプレイヤー]が発動するとは思わなかった)
俺は思わぬアクシデントに内心冷や汗を流す。
QTはPK、PKKを続けるとイエロー、レッドと自分のキャラクター名のアイコンが変化する。
街に入ると名前アイコンが頭上に出るのだが、その色が変わるのだ。
それだけで別にプレイに問題は何も起こらない。
ただ、周りの人に「この人他のプレイヤー狩りまくってますよー」と注意喚起をするのである。
ゲームを始めて5年、俺は知り合いのプレイヤーから、「ゼロさん、なんか名前燃えてますよ」
と指摘された。
この現象は掲示板の俺に関するスレで瞬く間に話題になり、皆が勝手にこの変化を考察し始めた。
俺も増えた称号を確認し、掲示板に載せた。
「[永久レッドプレイヤー]ですって」
この言葉を見た者は、「それって、運営からのレッドカードじゃないの?」とか「一生消えない罪を背負っちまったな」とか色々言ってきた。
このゲームにレッドプレイヤーはかなりの数いるが、他はどうなるのかという検証が行われた。
観察対象に選ばれたのは4人。皆PKをしまくっているので有名な奴らだ。
二人は俺と同じソロで無差別に敵を襲う。ジョブは魔法職と召還師だった。
もう一人はPKギルドの長。そしてもう一人は初心者狩りで有名な奴だ。
結果的に、俺と同じタイプの二人は名前アイコンが燃え、PKギルマスはどす黒い赤に変わり、初心者狩りは変わらなかった。
ちなみにPKギルマスは[狩り神]という称号を新たに得たそうだ。
ここまで集めた情報から、アイコンが燃える条件は
•10,000人以上のプレイヤーを倒す
•レベルや種族、ジョブに異常な偏りが無い
•プレイヤーキラーも2割以上倒す
•上記をソロでやる
という事なのではないか、という話になった。公式は答えていないが、皆納得していた。
魔法職の人が自分が倒したプレイヤーを数えていた事が大きかった。
取りあえず、そのような非人道的な行いをする者に殺された者が怨念となって焼き尽くしているのだろう。というジョークも飛び出し、俺は画面を見て笑っていたのだった。
この世界にはそんな罪深い奴は他にいなかったようだ。危なかったぜ。
そう思い、扉に近づくと俺の前に一人の大男が割り込んできた。
「おい!ガキ。お前今日冒険者になったのか?」
そう聞かれる。
俺は男を見上げると、その男の頭上には今までに無い程禍々しいドクロが浮かんでいた。
強敵か?!そう思い<情報開示>を使う。
結果としてこいつは雑魚だった。名前はグース。Cランクの冒険者だ。
テンプレきたー。どうするか。こいつ相当罪深いぞ。でも、ここで殺すのはまずいなー。そう考えながら取りあえず返事をする。
「そうですが、何か僕に御用ですか?」 そう訪ねると
「ふん。お上品な言葉を使うじゃねぇか。お前を俺の荷物持ちに使ってやるよ」 そう言ってきた。
「荷物持ち? 何ですそれは、パーティーとはまた別なんですか?」
「違ぇよ。パーティーは実力が拮抗した奴と組むもんだ。荷物持ちっていうのは俺たちみたいな経験豊富な冒険者がお前らみたいな初心者に冒険者のイロハを教える暗黙のルールみたいなもんさ。初心者は何もわからねぇから依頼を受けてもすぐ死んじまう。だから、ある程度の実力が着くまで俺たちが教えてやるんだよ」
こいつ罪深いくせにスゲー詳しく教えてくれるな。実は良い奴なんじゃね?
「なるほどー。勉強になります」
まぁ、良い奴な訳はないよな。しかし、このおっさん殺したら相当ポイント入るぞ。
適当に森に連れてってモンスターに殺されたよう偽装したらポイント美味しいな。
そう考えた。
「わざわざ初心者の僕に気を使ってくれてありがとうございます。さぞ、素晴らしい冒険者なんでしょう!」
「おう!俺はこの街でも有名な冒険者なんだぜ!」
そう言って胸を張る。 どんな意味で有名なんだか…
「是非、ご教授のほどよろしくお願いし… 「邪魔だぁ!」」
ドカン!!
グースが俺に向かって吹っ飛んできた。
俺は咄嗟に躱してグースを蹴った奴を<情報開示>で見る。
名前はゲイル。冒険者ランクはAだ。
「ほう。なかなかいい身のこなしだ。おい、小僧!お前、俺の荷物持ちになれ!!」
突然入ってきた30代くらいのおっさんに言われた。
おっさんにモテモテだ!!
勘弁してくれ…
この物語にはステータスはそれほど重要な要素にならないので、これからステータス欄を表示することは殆どないです。
稀にあるかもですが。
ようは、最初主人公は凄い弱い状態でゲーム内に入れられ、吸血鬼になったことで今までの自分のキャラより強くなれるようになりました、というのを示したかったので最初はステータスを出していたという感じです。
一応考えていなくもありませんが、別にまとめとして表示するかもという程度です。




