お話ししました
俺は今マーカスとか言うおっさんと向き合っている。
マーカスは俺が切断した腕を止血した状態でこちらを睨みつけている。
まずはこいつと話をする前にやるべき事をやらなければ。
ニーナが攻撃されてから今までおよそ2分程しか経っていないが心配であるのは変わりないので俺は彼女を抱え家に戻った。
ニーナは光魔法の影響で全身傷だらけだ。
ベッドに寝かせ薬草を使いできる限りの治療をする。
時間はかかるが寝ていれば回復するだろう。
10分程治療をして俺は家の外に出た。
マーカスは逃げる事も無く右肩を抑えて座っていた。
「お待たせして申し訳ありません。改めて自己紹介をさせて頂きます。
僕は貴方が傷つけた女性の息子です。 まず、貴方の名前、この国での地位と母を襲った理由に付いて教えて頂けますでしょうか」
「化け物が… へりくだった言葉を使うな」
「そう? じゃあ、さっさと名前、皇国を含めたこの世界の情報、お母様との関係を話せ」
「話すと思うか?」
「デスよね!」
そう答え、俺はスキルを使用する。
以前手に入れた新しい吸血鬼のスキル<魔眼 人形化>
これは対象の精神に入り込み、支配に成功すると命令をする事ができるというものだ。
どの程度使えるのか試した事は無い。
俺はマーカスの目を見て<人形化>を発動させた。
マーカスの世界に入り込む。無重力の空間に飛び込んだ感覚だ。
すると突風が吹いたような感覚に襲われる。これはマーカスの抵抗だろう。
俺は抵抗に耐えながら命令を出す。
「名前とジョブを言え」
すると、抵抗しながらもマーカスは口を開いた。
「コーネリウス=マークス …魔導士」
「この世界での自分の所属は?」
「インペラ皇国の最高権力者だ」
「王様なのか?」
「違う。皇王は別に私がたてた。しかし傀儡だ。」
「この世界にはいくつの国がある?」
「大きく分けるとインペラ皇国、武封国、アレナ共和国だ。
他に神々が住まう神国、神獣の住まう神山、魔王の支配する魔境がある。
他にはいくつかの種族が集まりそれぞれ大小の街を持っている」
「あんたは魔法はどの程度まで使える?」
「3級魔法までだ」
3級?何か俺が知ってる分類と違うな…
「魔法は何級まで存在するんだ?」
「原理上は6級まで存在する。人族は3級までしか扱えた記録は無く、6級は神の領域だ」
「……プレイヤー、真理の探究、称号 という言葉に心当たりはないか?」
「プレイヤーという言葉はしらない。
称号とは善、悪関係なく何か大きな事をしでかした者が神から送られる証と言われている。過去に伝説の勇者や魔王が持っていたと聞く。
そして最後だが、この世界には『真理の探究者』という伝説がある。
世界の全てを収め、全ての種族、さらには神からすら認められた強大な力と尊い精神を持った者を指す言葉だ。
もちろんそんな者は夢物語でかつて存在した者はいないらしいが。
しかし、全ての種族がこの伝説を知っている。それは世界の謎だ」
これは面白い事を聞いたぞ…
「最後に、母ニーナとの関係を教えろ」
「20年程前、皇国にいるあの女を見つけ結婚…を申し込んだ……が、
断られたため、ど、奴隷として使役しようとしたが、 逃げ、られ………
ぐっ!」
(抵抗が強くなってきたな…
本当に聞きたい事は聞けたし、もういいか)
俺は<人形化>を解除した。
「はぁはぁ…。貴様、想像以上の化け物だな。まさか、先祖返りか!?」
「何それ? もう死ぬんだから貴方が知ってる事全部答えちゃっていいのよ」
「私を殺す?私を殺すという事は皇国、ひいては人族と戦争をするという事を意味するのだぞ!
そんな事をしてお前も、お前の母もこれから生きていける訳がないだろう!
さっさと私を解放しろ!この化け物が!」
こいつ… アホや。権力はここまで人を狂わせるのだな。
「あんた、自分の状況分かってる?」
「私はインペラ皇国の最高権力者だ!私に害をなすなら皇国は貴様と母親を必ず殺すぞ!」
『ただいま、ギルド インペラのギルドマスターから宣戦布告を受けました。これよりインペラと戦争状態に入ります。』
心麗さんの声だ。
ギルド戦争? え?! そんな面白いイベントが予期せず始まってしまうのか!
俺はギルド戦争に関する重要なある確認をマーカスにする。
「あんた、もしかして、国を建てた際に人智を超えた武器を手に入れたりした?」
「それは神器の事をさしているのか?何故貴様のような小僧がそんな重要秘密を…… あっ」
馬鹿だ。重要秘密を話している。
しかし、これで確信した。こいつはギルド武器を持っている……
そして、今こいつはギルド武器を持っていない。
それは当然だ。ギルド武器はギルド戦争の時しか使えないのだから。
自国に住み着いた亜人討伐の為に持ってくる訳が無い。
では、どこにあるのか……
皇城でしょうなぁ。
「なぁ、マークスさん。皇国が俺たちを滅ぼすって言うの取り下げた方がいいんじゃない?」
「なんだ、怖じ気づいたか。まぁ、無理も無い。皇国は世界で最大の武装を誇る国だ。
いくら魔法が使えてもあの協力な兵器の前では貴様も待ってるのは死だけだ。
助けて欲しいならば私を解放し母親を差し出すのだな!貴様も奴隷として国の為につかってやろう!ハハハハハ!」
「風よ 抉れ(えぐれ)。闇よ 弄べ(もてあそべ)」
「ぎゃあああああああ!」
風で脇腹を少し傷つけ、闇魔法で痛みを与える毒をイメージして傷口から血管に流し込んだ。
マークスの叫び声を聞きながら俺は改めてステータスをチェックする。
名前;ゼロ モーガン
性別;男
ジョブ;武神吸血鬼
Lv.500 (999)
生命力 25,100/26,200 (34,000)
魔力 47,500/49,000 (16,000)
物理防御 10,600/10,600 (18,000)
魔法防御 33,000/33,000 (32,000)
腕力 38,000 (45,000)
敏捷 49,300 (50,000)
運 34 (72)
贖罪値 320
上がったなー。最初の戦闘だから多めに経験値くれたんだな。
しかも、スキル<王の言葉><毒魔法>が使えるようになってるし。
あと、『交戦中 インペラ』とでていた。これは、罪の無いインペラ皇国に忠誠を尽くす者を殺してもペナルティは無いという効果があるものらしい。
そろそろ殺すか、っとその前に…
俺は<強奪>スキルを発動させた。
武器は奪う気はないのでスキルを見る。
一つ気になるスキルを見つけた。
<信用獲得>;自分に一定以上の好意を持っている者に自分の言葉や行動を信用してもらいやすくなる。常時発動型。
これは使えるぞ… 人間はやはり一人で生きて行く事はできない。信用されているかどうかで自分を助けてくれる人数が決まる。<詐称>や<王の言葉>と合わせて使うと面白い事になる気がする。
よし、これを頂こう。
俺は痛みにのたうち回るマークスから<信用>を奪った。
すると、マークスが息も絶え絶えに言った。
「母親の側にいなくていいのか?あれはもうすぐ死ぬぞ?」
「は? 怪我は酷いが治療は施したし寝てれば治るだろう」
「貴様、魔力の流れが見えぬのか! それは、滑稽だ!
私は死ぬだろうから最後に一つ教えてやろう。
あの女は私の魔法に逆らう為自分の魔力を暴走させていた。
そして、私が魔法を解除しても魔力の流出は止まっていなかったぞ?
このままだと自分の活動限界の魔力を失い死ぬだろうな!ハハハハハ!」
俺は急いで家に戻りニーナが寝ている部屋に向かった。
死んでいるなんて事はまだありえないが、どうやって魔力の流出とやらを止めればいいのかわからない。
ゲームには魔力の流れなど無かったのだから。
俺の魔力を譲渡できないだろうか、とりあえずできる事を考えなければ。
「お母様!」
勢い良く扉を開けるとそこに寝ていたはずのニーナの姿が無かった。




