第27話 俺の知らない俺
※本話には、軽度の性的な表現が含まれます
激しい頭痛に襲われ、俺は目を覚ました。
朦朧とする意識の中、鉛のように重い身体をなんとか起こす。
しばらくぼんやりしていると、最後に聞いたワタルさんの声が蘇ってきた。
そうだ!
俺は、過去に戻るために――!
そこから芋づる式に、自分に何が起こったのかを思い出す。
成功したのか!?
本当に……!?
期待と疑念が入り混じる。
焦る気持ちを落ち着かせるように、一つずつ状況を整理した。
手足は動く。
身体にも目立った異常はない。
ただ、酷い頭痛と、全身が鉛になったような重さがある。
周りを見渡す。
どうやら、自分の部屋らしい。
いや――。
ここは昔、俺が暮らしていた一LDKのマンションだ。
ということは……。
ここに住んでいたのは、確か大学生の頃から二十三歳くらいまで。
俺はゆっくりと部屋を見回した。
「そんなに……遡ったのか……!?」
愕然とした。
そして――。
何より俺を驚かせたのは。
隣で眠っている、裸のお姉さんだった。
「…………」
「ああ……」
俺は頭を抱えた。
何かをやらかしている。
それだけは、分かった。
しかし――全く記憶がない。
断じて言っておくが、当時の俺が、隣で寝た女性の顔すら覚えていないほど遊び歩いていたわけではない!
本当に、心当たりがないのだ。
俺はもう一度、恐る恐る隣を見る。
……誰だ。
一体、どういうことだ……。
「んん……虹介? もう起きたの? 早いのね。ふふ、昨日あんなに飲んで動いたのに……」
「…………〇▲□☆†Å♀♂!?!?!?」
俺はようやく、この頭痛と、鉛のように重い身体の原因らしきものを知った。
「あ……あ、あ、あの……失礼ですが、どちら様でしたでしょうか……」
「はあ?!」
「…………」
「あんた、昨日あれだけ『愛してる!』『好き!』って言っといて何それ! 最低! ドクズ! 信じられない!!」
バチーン!!
今まで経験したことのない強烈な張り手を頬に食らい、俺はベッドから転げ落ちた。
知らないお姉さんは、そのまま服を着ると家を飛び出していった……。
俺はこの違和感を確かめるべく、まず自分のスマホを探した。
ベッドの下に脱ぎ散らかされた服。そのポケットから、なんとかスマホを探し出す。
画面を確認する。
二〇××年〇月□日――。
やはり……。
今は十年前。
俺は二十二歳の大学生だ。
本来なら、大学の友人たちと始めた会社を立ち上げたばかりの頃――。
そうだ! 桃井!
アイツは……!
俺は慌てて電話帳を開いた。
「いる……よかった……」
思わず安堵の息が漏れる。
しかし――。
他に、いるはずの友人が数人見当たらない。
逆に、まったく知らない名前もいくつか登録されている。
そして何より……。
やたらと、女の名前が多い……。




