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第17話 晴渡虹介の回想 4
やっと、時雨に何があったのかを知ることができる。
そう思っていた俺に突きつけられた現実。
それは――
目の前にある、
雨音家奥都城
と刻まれた、時雨の墓だけだった。
上部が剣のように鋭く尖った、見慣れない佇まい。
仏教の墓とは違う。
線香の匂いもしない。
ただ、静かで冷たい石の前に、俺は立ち尽くしていた。
心のどこかでは、分かっていた。
きっと、もう――
時雨には会えないのだと。
けれど。
分かっていることと、目の前に突きつけられることは、まるで違った。
守泰さんから告げられたのは、ただ一つ。
時雨は、もういない。
それだけだった。
どうして死んだのか。
いつ、何があったのか。
あの夜の青い光は、何だったのか。
何を聞いても、それ以上のことは何一つ教えてもらえなかった。
「時雨……スマンな。虹介君を連れてきてしまったよ……」
守泰さんが、墓に向かって静かに呟いた。
それを聞いて、俺は何も言えなくなった。
――ああ。
そういうことなのか。
俺に真実を話さないこと。
余計な嘘を、これ以上つかないこと。
それだけが――
この家族にできる、精いっぱいの誠意だったのかもしれない。




