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雨音時雨は、晴渡虹介を知らない  作者: 白ご飯
第一章 雨音時雨

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第17話 晴渡虹介の回想 4


やっと、時雨に何があったのかを知ることができる。


そう思っていた俺に突きつけられた現実。


それは――


目の前にある、


雨音家《あまねけ》奥都城《おくつき》


と刻まれた、時雨の墓だけだった。


上部が剣のように鋭く尖った、見慣れない佇まい。


仏教の墓とは違う。


線香の匂いもしない。


ただ、静かで冷たい石の前に、俺は立ち尽くしていた。


心のどこかでは、分かっていた。


きっと、もう――


時雨には会えないのだと。


けれど。


分かっていることと、目の前に突きつけられることは、まるで違った。


守泰さんから告げられたのは、ただ一つ。


時雨は、もういない。


それだけだった。


どうして死んだのか。


いつ、何があったのか。


あの夜の青い光は、何だったのか。


何を聞いても、それ以上のことは何一つ教えてもらえなかった。


「時雨……スマンな。虹介君を連れてきてしまったよ……」


守泰さんが、墓に向かって静かに呟いた。


それを聞いて、俺は何も言えなくなった。


――ああ。


そういうことなのか。


俺に真実を話さないこと。


余計な嘘を、これ以上つかないこと。


それだけが――


この家族にできる、精いっぱいの誠意だったのかもしれない。




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