《肆話》
《肆話》
純はすぐに母親のところへ行った。
「お母さん!」
母親はマンションに住んでおり、純が来るとすぐに歓迎した。
「純、いらっしゃい。」
そう言って、母親は純を家に入れた。
「どうしたの、純。相談に乗るわよ。」
「・・・家に帰っても、一人ぼっちだから。」
「そう、あの人、また放ったらかしにしてるのね、家族のこと。お祖父さんの性格に似て。」
「お祖父様もそうなの?」
「そうよ。だから、あなたのお祖母さん出て行ったんだから。」
「そうなんだ。」
そう話しながら、二人はテーブルを挟んでコーヒーを飲んでいた。
『ブルルル ブルルル』
突然、純の携帯が震えた。マナーモードにしてあるので、バイブだけが聞こえる。
「もしもし?」
『もしもし、お嬢様ですか?早く帰ってきてください。』
「嫌だ。戻ってきてほしければ、私を見つけることね。じゃあ。」
そう言って、純は電話を切った。
「お母さん、ヤバイ。吐き気が。」
そう言って、純はすぐにトイレへ行った。
「大丈夫、純。」
「そういえば、私熱が出たんだっけ。」
「部屋で寝てなさい。ご飯作ってあげるから。」
「ごめん。」
そう言いながら、純は母親の部屋で寝た。
純が起きると、蓮樹が純の手を握って眠っていた。
「蓮樹?」
純は起き上がって部屋を見渡した。純は屋敷の自分の部屋にパジャマを着て寝ていた。純は蓮樹を見て額にキスをした。すると、蓮樹は目を覚まして、純にニコッと笑いかけた。
「お嬢様、体調はどうですか?」
「いいわけないでしょう。いつも寝ているベッドじゃないし、布団も全然違うんだから。」
純がそう言うと、蓮樹はあきれたような顔をして、純の額にキスをした。
「夕食を作ってきますね。」
「待って、蓮樹。」
純はそう言って、蓮樹を抱きしめた。
「お嬢様?」
「一緒にいて。」
純がそう言うと、蓮樹は少し怒ったような顔をして、
「幸樹を呼んできます。幸樹としたんでしょう?」
と言った。純は赤くなってうなずいた。
「え、そうだけど、幸樹のこと、何で知ってるわけ?」
「弟なんです。もういいですか?幸樹を呼んできますから。」
そう言って、蓮樹は無理やり純を引き離した。蓮樹が部屋から出て行くと、入れ違いに幸樹が入ってきた。
「大丈夫、純。」
そう言われて、純はゆっくりうなずいた。すると、いきなり幸樹が純にキスをし、舌を絡ませた。
「や、はぁ、幸樹。もう、このバカ!」
純はそう言って、幸樹に抱きついた。
「バカ、そ、そんなことしたら、理性がとぶ!」
「とんじゃえ、とんじゃえ!」
純がそう言うと、幸樹はすぐに純を押し倒した。
「バカ。そんなこと言ったら、もう・・・」
幸樹はそう言って、舌を絡めた。そして、純のパジャマを脱がせ始めた。そして、自分も服を脱ぐと純と抱き合った。
蓮樹は料理を作り終わると、純の部屋に行ったのだが、純の喘ぎ声が聞こえたので、怒りながらキッチンに戻った。
「蓮樹さん、どうしたんです?」
メイドがそう言った。蓮樹はそのメイドを見て、壁に押し付けた。
「ねぇ、好きな人が自分の兄弟と抱き合ってたら、どう思う?」
「い、嫌ですね。蓮樹さん?どうされました?」
そう言って、メイドは蓮樹を押し離す。
「どうしたも何も、お嬢様が私の弟とあんなことやこんなことをしてたんです。」
「蓮樹さんはお嬢様が大好きですからね。そう言えば、どうして蓮樹さんは、お嬢様が好きなんですか?」
メイドはそう言って、キッチンにあるイスに座る。蓮樹は壁にもたれて、ため息をついて、話を始めた。
昔、蓮樹が留学する二週間前、つまり今から八年前。仲がよかった蓮樹の家族と純の家族で一緒にキャンプに行った。一週間キャンプですごしたが、最後の日に純が行方不明になってしまい、みんなが探し回った。もちろん蓮樹も探したが、山の中だったので、足を滑らせて山の斜面を落ちてしまった。落ちたところには川があったが、元の場所に戻れるようなところがなく、とりあえず、蓮樹は川の水で顔を洗って、考え事をしていた。そうしていると、隣から誰かが蓮樹に抱きつき、蓮樹が見ると抱きついてきたのは純だった。蓮樹はすぐに純を抱きしめた。
「純、ずっとここにいたのか?」
「うん、そうなの。川に入ってたら、ここに流されちゃって。私、一生懸命泳ぎの練習してたの。」
そう言っている純は、濡れていて唇が紫色になっていた。純は水着姿だった。蓮樹は、自分が着ていた薄い長袖の上着を純に着せた。
「寒いだろ?今から火、つけてやるからな。」
そう言って、蓮樹は持っていたマッチで火をつけた。
「ごめん、純。俺、マッチしかもって来てないから、助け呼べないかもしれない。」
「いいよ。お兄ちゃんがいるだけで十分。」
そう言って、純は火に手をかざして温まった。それを見ながら、蓮樹は切なそうな顔をして、ニコッと笑った。
「純、純にはまだ行っていなかったけど、俺、イギリスに行くんだ。」
「そうなの?私も行く!」
純はそう言って、目を輝かせたが、蓮樹が横に首を振ったとたん、嫌そうな顔をした。
「何で?私、お兄ちゃんと結婚するって、約束したもん。だから、私もついていく。」
純がそう言うと、蓮樹は純にキスをした。
「じゃあ、俺がイギリスから帰ってきたら、結婚しような。」
「うん!絶対だからね。」
そう言って、純は蓮樹に抱きついた。
「うん、絶対。これ、約束のペンダント。」
そう言って、蓮樹は純に自分が持っていた、十字架のペンダントをわたした。
「私、ずっとこれ持ってる。」
そう言って、純は蓮樹の胸の中で眠った。
「と言うわけで、一応、私とお嬢様は婚約をした仲なんです。」
蓮樹はそう言うと、メイドは何かを思い出したような顔をした。
「お嬢様、今でもそのペンダント、身につけていらっしゃいますよ。私がお嬢様のお着替えをしていたときに、首からペンダントを提げていらっしゃいましたから。」
そう言って、メイドはニコッと笑った。
「そうですか。」
蓮樹はそう言って、自分の部屋に行った。
純は幸樹と一緒に裸で眠っていた。
「ん・・・」
純は目を覚まして、幸樹を見た。もう十時だ。
「幸樹、起きて。」
そう言って、純は幸樹を起こした。幸樹は起きるなり、純を押さえつけて、舌を絡ませた。
「さっきから気になってたんだけど、そのペンダントは何?」
「・・・昔、結婚を約束した人からのプレゼント。もう、八年も前だけど。私、『お兄ちゃん』って呼んでたんだけど、誰だったか覚えてないんだ。イギリスに行っちゃって、もう、帰ってきたかも分からない。」
「兄貴のことじゃんか。昔、お前が『お兄ちゃん』って呼んでて、イギリスに留学していた人。武沢 蓮樹。」
そう言って、幸樹は服を着て、どこかに行った。純も服を着て、部屋を出た。




