《伍話》
純は蓮樹の部屋の戸を叩いた。すると、私服の蓮樹が現れた。
「何ですか、お嬢様。今機嫌が悪いんです。」
「ごめんなさい、お兄ちゃん。」
純がそう言うと、蓮樹は赤い顔をして、
「思い出したんですか?」
と言った。純はゆっくりうなずくと、蓮樹を抱きしめた。
「一緒に寝よう。」
次の日、二人は一緒に寝ていた。
「お嬢様、お嬢様。」
純は蓮樹に起こされて、目を覚ました。
「蓮樹・・・おはようのキスは?」
そう言って、純はニコッと笑った。蓮樹はあきれたように微笑んで、純の唇にキスをした。
「早く服を着てください。」
そう言いながら、蓮樹は自分の服を着る。
「ねぇ、もう一回、キスして。」
「ダメです。今日はスケジュールがいっぱい溜まってるんですよ。」
「どんな?」
「あなたの服を買いに行き、あなたの気に入るようなベッドや布団を探しに行き、あなたのお祖父様とお父様のお迎えに行き、七人でのパーティーをし、あなたが夜寂しくないように一緒にいなければいけないんです。」
そう言うと、蓮樹は純のカーディガンを渡しながら、
「おやすみのキスでいいでしょう?お嬢様。」
と言って自分の部屋を出た。純はカーディガンを着て、自分の部屋に行くと、青いワンピースを着た。そして、部屋を出るとメイドがニコッと笑って立っていた。
「えっと・・・なんて呼べばいいかな?」
「マリでいいですよ、お嬢様。蓮樹様が待っています。」
それを聞くと、純はニコッと笑って頭をおさえた。
「うん。それは分かっているけど、頭が痛い。頭痛薬があったら持ってきてくれないかな?」
「かしこまりました。」
その言葉を聞くと、純は頭をおさえたまま、壁にもたれかかって、マリを待った。
「お嬢様!どうかされました?」
そう言って、蓮樹が純に駆け寄ってきた。
「ううん。大丈夫。先に行ってて。」
「一緒にいます。」
そう言って、蓮樹は純の横に立った。
「お嬢様、持ってきましたよ。」
そう言って、マリが水と薬を持ってきた。
「ありがとう、マリ。」
純はそう言って、薬を飲んだ。だが、薬を飲んだ後に、ふらついたので、蓮樹はそれを支えた。
「大丈夫ですか?今日は買い物をやめましょう。」
「いいわよ。どうせあのベッドじゃ、休めないわ。」
純はそう言うと、すぐに自分でたった。
「あまり、無理しないでくださいね。」
「うん。じゃあ、行こう。」
そう言って、純は歩き始めた。蓮樹は純の隣を歩いて、純が倒れないように気をつけた。
純は車で後ろの座席に横たわっていた。
「大丈夫ですか?お嬢様。」
「うん。」
純はそう言って、ニコッと笑った。
「もうすぐで着きます。」
蓮樹はそう言うと、車を右折させた。純はそのまま眠った。
「お嬢様、起きてください。」
「もうついたの?」
純はそう言って、起き上がった。蓮樹は純の頬を触って、下まぶたを裏返した。
「大丈夫ですか?すごく顔色が悪いですが・・・」
蓮樹がそう言うと、純はうなずいて、車から降りた。
「大丈夫、大丈夫。」
純はそう言って、しっかり立った。
「ね?」
純がそう言って、蓮樹を見ると、蓮樹は純を抱きしめた。
「蓮樹?」
「まったく、お嬢様はかわいすぎますよ。反則です。」
蓮樹はそう言って、純をもっときつく抱きしめた。
「お兄ちゃん。」
純がそう言うと、蓮樹は我に返ったような顔をして、純に頭を下げた。そして、顔を上げた。
「すみません、お嬢様。執事のぶんざいで、あんなことを・・・。」
「別にいいよ。」
純が笑うと、蓮樹は安心したようにため息をついた。
「じゃあ、行きましょう。」
蓮樹はそう言って、歩き始めた。純はそれについていく。
店に入ると、たくさんのベッドや布団が並んでいた。
「あ、この枕!家で使ってた枕と同じ。」
そう言って、純は枕を触った。蓮樹はそれを見て、カートに枕を入れた。
「さて、枕は見つかりましたね。次はベッドと布団です。行きましょう。」
蓮樹はそう言って、足早にベッドと布団がおいてあるコーナーへ行った。そして、純に自分のおすすめのベッドを教えた。
「これは、あなたのお婆様である、静子様が使われていたベッドなんです。」
蓮樹はそう言って、桜の花がところどころに彫ってあるベッドを純に見せた。
「桜、カワイイね。」
「はい、静子様も、大変気に入ってらっしゃいました。」
「じゃあ、ベッドはこれにする。」
純はそう言うと、布団のところへ行った。
「枕カバーは桜の花の柄がいい。布団はピンク色。」
純はそう言って、周りを見渡した。すると、目当ての布団があったのか、そちらのほうへ行った。すると、いきなり蓮樹が純を抱きしめて、そのまま伏せた。すると、純の心臓があった位置に、ボーガンの矢が刺さっていた。
「え?何、あれ?」
純が体を震わせながら言うので、蓮樹は自分の上着を純に着せ、純を足早に車へ連れて行った。
「お嬢様、買う物は、さっきご覧になっていたものでいいですね?」
そう言われて、純は震えながらうなずいた。
「では、買ってきますから、ここから動かないでくださいね。」
「待って。」
蓮樹の着ているシャツの袖を引っ張って、純は蓮樹を離さないようにしていた。
「私も行く。」
「ダメです。お嬢様は命を狙われています。」
「それでも。今、離れてほしくない。」
純がそう言うと、蓮樹はため息をついて、純の手を握った。
「あまり、私から離れないでください。」
そう言って、蓮樹は店の中に入った。
買い物が終わると、すぐに蓮樹は車を出した。




