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三羽の鳥の舞と魅せられるもの

 ユーリアは悩むとすぐに舞ってしまう。

 舞っている間は何も考えずに済むからだ。


 家の事がバレてしまった今、皆に間違いなく引かれてしまった……。


 ニノンとマノンと共に舞い続ける。

 やはり人間と共に歩むのは難しいのであろうか?だが、自分は完璧な魔獣ではない。


 どちらにも受け入れられないこの身で、今度はどこに行こうか悩んでいた。


 誰も知らない土地でやり直そう。そう思った。


 すると急に後ろから急に覆いかぶさってくる。



「ユーリア。風邪引くぞ」



 ルーカスの声と体温がユーリアの冷えた心に少し暖かさを戻した。



「お前そんな靴で踊って……。足が赤くなってるじゃないか……」



 ユーリアは草履で踊っていたのだ。ルーカスの着ていた上着を被せられ、そのまま抱き上げられる。



「ほらいくぞ、皆探している。お前らも来い、赤の鳥は寒くないのかもしれないが、中に来い」



 ニノンとマノンはルーカスの首に抱きつき、ルーカスは咳き込む。



「お前らせめて鳥型にならないか……。首が痛い……」


「嫌だー」


「ユカタ可愛いの着せてもらった」


「だからってもう浴衣姿で雪遊ぶのはやめなさい。服を着替えさせてもらってどこに行ったのかと思えば、雪遊びしてるんだもの……。溶けてしまうのに」


「今度は出力調整するよ!」


「ユーリアに教えてもらったから魔力制御する」



 ニノンとマノンに一通り注意をすると、プンとして2人はルーカスの隣を歩き始めた。ユーリアはルーカスを見上げる。



「ルーカス先生は私が怖くないの?」



 ルーカスはごつんと頭突きをすると、額をくっつけたままユーリアに話しかけた。



「あのなあ、俺は教師やる前は騎士をやっていたんだ。それこそ何十人もこの手にかけている。知識だけあって人を殺した事のないひよっこに何を怯える必要がある?」



 ユーリアは驚いた表情になるとルーカスは悲しく笑う。



「鬼神と呼ばれた俺を嫌うか?」



 ユーリアは首を横に振った。



「だって国を守るために必要な戦いだったのでしょう? 嫌いになんてならない。」


「ならユーリアも同じだろう。国に仕えている家に生まれただけだ。そりゃ皆驚くだろうが嫌ったりしない。」



 ユーリアは微笑むと首に手を回す。



「ルーカス先生ありがとう」



 ユーリアの心に明かりが灯った。冷え切った心がどんどん温まっていく。



「ユーリア、チューするの?」


「マジ、ユーリアルーカスにチューするの?」



 ユーリアとルーカスはパッと顔を離して、距離を保つ。ユーリアは顔を赤くさせ、ニノンとマノンを怒る。



「ニノン、マノンしません。これ誰にも言っちゃダメだよ!」


「特にエルノさんには言うなよ!」


「暗殺しかねないわね……」


「お前が彼氏を容易に作れないわけが、今回痛いほど分かったよ」


「お父様以上の力を持つものじゃないと無理。その点ではヴァイセル様は理想的だったけど……」


「ああ、あの婚約者か? 確かにすごい魔力量だったな……」



 ルーカスはシュペルノヴェイルであった時の事を思い浮かべた苦い顔をする。



「あんな理想的すぎる王子様の隣に立っている自分とか想像できなくないですか。

 きっと私なんて愛想尽かされて愛人との子供連れてきて追い出されるんだー。

 好きな人からそんな扱いされたらもう立ち直れない」


「なんだその設定は、ヴァイセルというやつはそんなやつなのか?」


「いえ、今は逆に一途に……ほわ〜」

 


 ユーリアは頬を赤らめ手を頬に置く。



「せっかく忘れてたのに思い出させないでください。ルーカス先生責任とって!」



 ルーカスは責任?と聞き返し、ユーリアをじっと見つめた。ユーリアは何か口走ったかと身構えていると、耳元でささやかれる。



「ユーリアあんな男の事忘れろ。俺を見ろ」



 そういうと首にキスをした。

 ユーリアは首を押さえると益々顔を赤くし、戸惑う。


「どうだ? 一発で忘れただろ? まあ俺と結婚した場合お前の妄想は現実となるだろうなあ。俺は女が好きだからな……」



 ルーカスは茶化すと、ユーリアはジタバタと暴れる。



「最低な男がここにいるー! もう冗談でそういう事言わないでください。」



 ユーリアが暴れてルーカスが体制を崩すと転び、ルーカスを下敷きにする形で崩れる。

 ルーカスのところから起き上がると、ルーカスは何故か目を合わせない。



「ご馳走様」




*


 一言そういうとユーリアは後ろから引っ張られ、引き離された。



「何がごちそうさまなのかな? ルーカス君。そしてユーリアこれは一体どうしたことか……。返答次第では分かっているね……」


「ルーカスとユーリアもう少しでチューするとこだったんたよ。」


「チューして抱っこしてたら転んでユーリアが覆いかぶさったんだよー。大胆!」


「ニノンマノン、全て脚色入ってて勘違いされるから」



 ユーリアは廊下に正座でエルノに説明して、ルーカスも頷く。



「で、ヴァイセルくんの事が大好きなユーリアにこそっと何か言ったらユーリアが首を押さえたんだね……。それで怒ってユーリアが暴れてああなったとね……」



 ユーリアの説明だけでなく、ニノンマノンからも事情聴取をしたエルノは、ユーリアの足に治癒魔法をかける。



「ユーリア君のお友達たちは皆大部屋に移ったよ。探してたみたいだから、謝ってね。

 僕はルーカス君に話があるから……」



 そういうと、ルーカスががっちり肩を掴まれ連行されて行った。


 ユーリアは手を合わせて健闘を祈った。



 ユーリアはさっさと大部屋に行って、みんなのところへと戻った。


 謝るとティナは抱きついてきて、お家のこととか関係なく好きだと言ってくれて、ユーリアはまた暖かい気持ちになれた。


 一つ胸のつかえが取れた気がした。






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