↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
マッチョエルフ英雄譚~千年間ひたすら筋トレをして究極のマッチョボディーになったエルフの伝説(サーガ)~  作者: よしぞう


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
14/45

第14話 アイスノース山脈登攀

村長達が壁際に張り付いて、ガルドに向けて斧や薪を手に持って構えている。


「オーガだ、エルフ顔のオーガだ!!」


「た、助けてくれぇ~!!」


 オーガはドラゴンなどに比べればかなり格下だが、それでも普通の人間では太刀打ちできない、戦闘力が高く狂暴な魔族である。


 勇者や兵士でも、10人ほどが一斉に襲い掛からなければ、返り討ちにされてしまう。


 ましてや、普通の村人A達が5人しかいない現状では、皆殺し確定だ。


「俺はオーガではない」


「嘘をつくな!!」


「分かった。では、証拠を見せてやろう」


 そう言うと、ガルドが小麦色に焼けたマッチョボディーで、


「フンッ!!」


 と気合を入れると、サイドチェストのポーズをとった。


 もちろん、白い歯を見せてニカッと笑うことも忘れない。


「ギャアアアアア!! やっぱりオーガだ!! 変態のオーガだぁあああ!!」


 村人達のパニック度がさらに上がった。


 結局、彼等が落ち着くまでに5分ほどかかった。





「さ、先ほどは失礼いたしました」


 村長がそう言って、ガルドに向けて頭を下げる。


「いや、だんだんと慣れてきたから大丈夫だ」


 嫌な慣れである。


「そ、それでガルド様は、本当にアイスノース山脈を一人で登るおつもりなのですか?」


「ああ。トレーニ……グランシエールを倒さなければ、精霊力のバランスが崩れてしまい、このままでは大陸は人間族が住めなくなる」


 今、トレーニングって言いそうにならなかったか?


 ああ、俺にもそう聞こえた。


 と、村人達が囁き合っているが、それは無視をする。


「そ、そのような、恐ろしいことに?」


 村長が驚いてそう言う。


 しかし、あり得ない話ではない。


 現実に、この村をはじめ、アイスノース山脈周辺は異常気象のため、大ピンチに陥っているのだから。


「分かりました。途中までで良ければ、村から案内をつけましょう」


 村長がそう言うと、ガルドが、


「それは助かる」


 と答えた。





魔倒歴1013年 アイスノース山脈


 村長の家で一泊すると、ガルド・リンドウェルは、二人の村人に案内されて、アイスノース山脈の登攀を始めた。


 激しい吹雪は収まることを知らず、冬や山に慣れている村人ですら、まともに歩けない状態だった。


 それでも、


「危険と思ったら引き返せ」


 と言われ、村の中でも山登りの経験が豊富で、体力のある若者が選ばれている。


 しかし、その二人が夕方には村に戻ってきた。


「どうした、二人とも。そんなに厳しかったのか?」


 驚いた村長がそう問いただしつつ、一番目立つはずのガルドの姿を探す。


「あの筋肉エルフ王子はどうした? まさか、遭難したのか?」


 例えそうなっても不思議はない。


 そもそもエルフは人間より精霊に近い存在であり、肉体的にはそれほど強靭ではないのだ。


 もっとも、ガルドの外見を見る限り、通常のエルフの定義からかなりかけ離れていたが。


「そ、それが……」


 全身雪まみれで、髪の毛や睫毛まで凍らせた案内の二人が、言いにくそうにしている。


「いいから正直に答えろ。例え遭難したとしても、お前達の責任じゃない。あんな軽装――外套の下は革のブーメランパンツ1枚――でアイスノース山脈に挑む方が無謀なのだから」


 村長がそう言うと、二人が交互にポツポツと話し始めた。





 ガルドと二人の村人は、吹雪の中、山の斜面を登って行った。


 少しでも距離が離れると、お互いを見失うため、3人は体を紐で結びつけている。


「くそっ、普段なら目をつぶっていても歩けるのに、真っ白で何も見えない!!」


「寒くて、手足が凍りそうだ!!」


 二人は何度もガルドに、無茶だ、引き返そう、と言ったが、彼は、


「この程度、俺の筋肉の前ではそよ風と同じだ」


 と言って、スタスタと歩いて行く。


 現に、村を出てからはガルドが先頭で、二人はロープで引きずられるようにして進んでいた。


「あんた、寒くないのか?」


「大丈夫だ」


 そう言うと、ガルドが猛吹雪の中、外套の前を開いた。


 普通の人間が同様の行為をすれば、数分で低体温症になり、凍死するような自殺行為だ。


 しかし――。


「ええっ?!」


 案内の二人が驚く。


 ガルドの体からは、暖かそうな湯気が出ていたのだ。


「全身の筋肉を細かく振動させて体を温めているから平気だ」


「そ、そんなことができるのか?!」


 もちろん、どれだけ体を鍛えても、普通の人間にできることではない。


「まさか、二人はできないのか?」


「できるわけないだろう!!」


 その後、ガルドに「もう良いから村へ帰れ」と言われ、二人は引き返してきたのだった。


「あの筋肉エルフに案内なんか必要ない」


「ああ、あの人は魔族より魔族っぽい」


「そ、そうか……」


 なんにせよ、もうできることはない。


 あるとすれば、ガルド・リンドウェルが生きて帰って来ることを祈るぐらいだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。