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14/20

(14)一番強いのは

「なるほど。つまり魔王様に驚いてお嬢様が吹き飛ばしてしまったと。」


部屋はニルダによってあっという間に修復され、魔王も戻ってきていた。ニルダ達によってシェスタとは離されていた。

 シェスタはしゅんとしてソファに腰かけている。その前にはアステリアが立ち塞がっていた。シェスタの味方のようだ。


「ニルダの身体が弱すぎるんじゃないのかい?」

「そんなことはないはずですがね。」


 これでも長い間城だったのだ。魔王を倒そうとやってきた人間の軍隊も魔族の集団にも耐えてきた。アステリアが飛ばされた時は油断していた。中からの攻撃は考えていなかったからだ。それ以来、中も補強していたはずだったのだが。ニルダの自信がちょっと揺らいでいる。



「私を封印していただけのことはあるな。素晴らしい魔力だろう。」


 なぜか偉そうに言う魔王の言葉にニルダが首を傾げる。


「はて。今魔王様を封印していたと聞こえましたが、聞き間違いでしょうか。」


 愉快そうに魔王が答えた。


「聞き間違いではない。シェスタが私を封印したのはまだ赤ん坊の頃だがな。魔力が多い赤ん坊がいると見に行ったら、まんまと封印されてしまった。王の差し金だろう。」

「……は?」



 これは自分が悪いのだろうか。目を丸くしたニルダの気配が一瞬冷たいものに変わったので、シェスタは身を縮めた。


「赤ん坊って……なんだいそれは。お嬢様を道具にしてたってことかい?」


 アステリアがフーフーと鼻息荒く怒っている。


「そうだ。しかも神殿はその価値が分からず追放したのだ。」


「……ちょっとその国滅ぼしてきてもいいかい?」


 すぐにでもアステリアが飛び出そうだったので、シェスタは慌ててアステリアの服を握った。振り向くアステリアにシェスタはいやいやをする。


「ここに……いて?」

 あちらの国がどうなろうがどうでもいいが、アステリアに何かあったらと思うと落ち着かなくなる。言いたいことが上手く言えない自分がシェスタはもどかしかった。


「そのおかげで私も戻れたのだ。とりあえず放っておけ。」

 魔王にも言われ。アステリアはシェスタの顔を見て、力を抜いた。


「魔王様を封印できるほどの力が、お嬢様にはあると言うことですね。」

「ああ。今まで結界をはるために使われていた魔力が突然戻ってきたのだ。コントロールが難しいのだろうよ。」


 シェスタはじっと自分の手を見た。確かに叫んだ時、自分の体から何かが出ていく感じがあった。あれが魔力なのだろうか。


「どちらも言葉を発していたことを考えると、お嬢様の魔力は言葉にのりやすいようです。ああ、だから今まで話ができなかったのですか……。」

 納得したように頷くニルダを見ながらシェスタは不安になった。魔力が言葉と一緒に飛び出してしまうなら、喋ってはいけない気がしたのだ。せっかく自分の気持ちを伝えられるようになったのに。


「大丈夫ですよ、お嬢様。コントロールができるようになればいいです。城の壁なんて何度壊したっていいんですよ。」

「コントロールの練習をいたしましょう。話す練習と一緒に。ええ。」


 にこやかに笑うニルダの顔は少し引き攣っていた。補強しても補強しても壊されたら、流石に城としてのプライドが崩れてしまいそうだ。そうなる前に是非ともコントロールを覚えてほしい。


「私も練習に参加しても良いぞ。」

魔王の言葉にニルダは首を横に振った。

「申し訳ありませんが、魔王様はしばらく接近禁止です。毎回吹き飛ばされてしまうのも魔王としてどうかと……。コントロールができたらお会いできるようにいたしましょう。」

「あら。ひょっとしてお嬢様の方が魔王様よりお強いんじゃ……。」


 アステリアの一言に、その場が凍りついた。魔王は魔族のなかで一番強いものがなれる。それを示すために、戦いを挑まれたら逃げることはできない。

 シェスタは、魔王を封印し、叫び声で魔王を吹き飛ばした。

 つまり、魔王より強い。


「い、いや!さっきは油断していただけだ。連戦で疲れていたしな!」

「そ、そうでございましょうとも。そもそも人間が魔王になった記録はございませんし。」


 ははははっと笑う魔王とニルダ。


「さて、少し休むとしよう。シェスタはコントロールを学んでおくといい。分かったな?」

 魔王の言葉にこくりと頷いたシェスタがすっと立ち上がり、魔王を見つめた。


「どうした?」


「まおう…さま。つれて…きて…くださって。ありがとう…ござ…います。」


 言葉はたどたどしいながらも完璧なカーテシーをとるシェスタの可憐な

 姿に、魔王は固まった。

 そもそもシェスタを連れてきたのは、本人の意思のないまま聖女をさせられていたのを哀れに思ったからだし、うさぎの時に可愛がってもらったからだ。そんな彼女に微笑みながら感謝されるとは。

 今彼女に頼まれ事をしたら、何でも叶えてやれそうな気がする。


「これは、勝てませんね……。」

「ああ。勝てないね。」


 舞い上がっている魔王の耳には、ニルダ達の声は届かなかった。


読んでくださり、ありがとうございます。

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