魔人との交渉 4
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ミヒェルさんによると、世界に存在する魔人には、大きく分けで二つのグループがあるという。
一つは、人類共存派。
もう一つが、人類排斥派。
まあ、これはわたしもなんとなく理解しているところだ。
人類と共存したくない魔人の中から魔王が生まれたら、わたしたちはそれを「魔王」と認識して討伐を視野に動き出す。
二十二年前に伯父様とお父様とお母様が討伐した魔王がそれだ。
けれど、それは魔人たちの考え方の一つであって、まさか魔人の中でも二つにきっちり分かれているとは思わなかった。
「現在、人類共存派と排斥派では圧倒的に共存派が多いです。大多数と言ってもいい。けれど、排斥派というのは主に、人類に恨みを抱いているものが集まっている集団で、少ないからと言って無視できるようなものでもありません。現在、共存派と排斥派は、お互いを監視し合うような関係を取っており、衝突こそしておりませんが、相容れない存在と認識しています」
まあ、人間もいろんな考えを持つ人がいるからね。考えが違えば対立するし、争ったりする。
これは、総数の少ない魔人でも例外ではないってことよね。
ミヒェルさんは小さく嘆息した。
「ある意味、この二つの派閥の関係は、長らく均衡を保っていました。監視しあえど不干渉。共存派は排斥派を刺激しないよう、人類に深く味方しないようにしてきましたし、排斥派は排斥派で、こちらも共存派が人類に味方に付かないように、表立って人類を攻撃するようなことはあまりありませんでした。……まあ、魔王が生まれた時は別ですが」
百パーセントとは言わないけれど、排斥派の中で魔王が誕生したら、その膨大な力を使って人類を攻撃しようとするケースが多いらしい。
「排斥派に魔王が誕生したからと言って、共存派が寄ってたかってその魔王を何とかしようとすれば、排斥派も黙っていない。魔人同士で大きくぶつかり合うことになり、そうなれば……冗談ではなく世界は半分くらい滅ぶでしょうね。ゆえに、干渉しあわないという関係が続いていました。争いを避けるために。まあそれと、我々共存派も、人類の守護者ではないですし」
そうよね。共存派はあくまで共存派であって、人類を守護する立場じゃないもんね。
人類が危機に陥ったからって、共存派の魔人が人類を助ける理由はない。
……というか、魔人同士の争いって想像するだけで怖いんですけど!
冗談ではなく世界が半分滅ぶとか、絶対にやめてほしいわ。
「しかしここ数年、排斥派の動きが活発化してきたんです。簡単に言えば、一部に、排斥派に属する人数を増やそうと動いているものたちがいるんです。排斥派のトップがトップですので、まあ、わからなくもないのですが……」
「排斥派のトップの方は、精力的な方なんですか?」
わたしが何気なく問えば、ミヒェルさんは困った顔をする。
そして言いにくそうに答えた。
「現在の排斥派のトップは、マルトリッツと言う男です。――二十二年前にこの国で滅ぼされた魔王の息子ですよ」
さすがに想定外だったのか、この場にいたミヒェルさん以外の全員が息を呑んだ。
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