あの厨二病魔王に説教を‼ 7
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「…………と、いうことでして」
わたしの説明を聞いた伯父様とディートヘルム殿下はあんぐりと口を開けて固まった。
そりゃそうだ。
トルデリーゼの狙いは、聖レーツェル国を占拠して新生魔王国としたのち、魔王教とか言うふざけた宗教を作って布教しようとしていることだなんて、冗談にしか聞こえないだろう。
もっと言えば、わたしを魔王教の初代魔聖女という立場になれとスカウトしに来て、わたしの夫であるライナルトを魔王の王配候補としてロックオン。ついでにうちの家族を手下にしようと考えていたなんて、頭が痛いとしか言いようがない。
そんな馬鹿な子が魔王とか、信じたくもないだろう。
「それは確かに…………何が何でも保護者がいるな」
「そうでしょう?」
わたしたちだけでトルデリーゼの説得? むりむりむりむり! 会話が成り立つと思えないもん。真っ向から正論を説いて引き下がるような子じゃない。
問答無用で保護者のバルトルトさんに回収してもらうしかないのだ。
「しかし、そのバルトルト? とかいう魔王の保護者は、魔王を甘やかして育てたんだろう? ちゃんと回収できるのか?」
「できなきゃ人類たちに討伐されると言えば、是が非でも回収すると思いますよ」
「それはそうか」
伯父様がううむと唸る。
「それで、どうやってそのバルトルトとかいう魔人を探す?」
「やみくもに探し回っても無駄でしょうからね。……伯父様、誰か魔人に知り合いとかいません? 魔人同士なら、何か連絡を取り合う手段を持っているかもしれないんですけど」
「さすがに知り合いは……」
うーんと腕を組んで唸った伯父様の横で、ディートヘルム殿下がぽんと手を打った。
「それなら、ベーメンドルク伯爵領の外れの村に魔人が一人住んでいると聞いたことがありますよ」
「本当か、ディートヘルム」
「ええ。会ったことはないですし、噂で聞いただけなので本当かどうかまではわかりませんけど」
国が市民権を発行するのは人類にだけである。魔人は人類とは似て非なるものなので、市民権は発行されない。
ゆえに魔人がどこに住んでいるのかは国に登録されておらず、また、魔人は住処をよく変えるので、把握していても引っ越したあとだったというケースも往々にしてあるものだ。
ディートヘルム殿下の情報がいつのものかはわからないけれど、その話が本当だとしても、村にまだ魔人がいるかどうかはわからない。
とはいえ。
「ほかに手掛かりもないですし、ダメもとで当たってみるしかなさそうですね」
「それなら、ベーメンドルク伯爵に連絡をして使者を立てよう。村で人間たちと暮らしていると言うのが本当ならば人類との共存派だろう。さすがに使者相手にいきなり攻撃してきたりはしないはずだ」
「じゃあ連絡待ちですね。お兄様はどうします? まだこちらに滞在しますか? なんなら、お城じゃなくてうちの邸の部屋を用意しますけど。お兄様が暮らしていたときの部屋はまだそのままにしてありますし」
お父様たちは帰途に就いたが、お兄様はお父様たちから国王名代としてこの件を一任されているため、もうしばらく滞在する可能性が高い。
するとお兄様は、にっこりと微笑んだ。
「そうさせてもらおう。……馬車工場を作るとかおじい様が張り切ってて、振り回されて大変なんだよね」
「ああ、あの乗り心地のいい馬車か。もちろんうちも買うぞ」
「……って言う人が多くて、早く工場を作らないと間に合わないと言って、工場を急いで作るんだってさ。帰ったら忙しそうだからしばらくここにいたい」
伯父様が嬉々として手を上げると、お兄様がげんなりして肩を落とす。
魔王問題ついでにしばらくシュティリエ国でのんびりしたいと、お兄様はなんとも緊張感に欠けることを言うけど、儲けどころを見つけたおじい様が止まるとは思えないから、ちょっとだけ同情するわ。
おじい様、自分が死ぬまでにフェルゼンシュタイン国をしっかり国として安定させるって張り切っているからね。やる気に火がついたおじい様は止まらないもの。
そしてとっても優秀だから、周りにいる人が振り回されて目を回すのよね。おじい様、自分と同等のレベルを周囲に求める人だから。
わたしは苦笑しつつ、ぐっと拳を握った。
……トルデリーゼ、待ってなさいよ。ラブラブ新婚生活を邪魔された恨みを絶対に晴らして……じゃなくて、みんなに迷惑をかけたことを、反省させてやるんだから‼
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