自己紹介
何事もたった1つの情報だけで物事を判断してはいけない。
例えばここに2件のだけでがある。片方は外観がとても綺麗で比較的に新しい建物、もう片方はとても綺麗だとはいえない外観で築40年の建物。
もしこの情報だけでどっちかに住めと言われたら間違いなく新しい建物のほうにするだろう。
しかし中に入るとは新しいほうは外観だけ綺麗で実際は手抜き工事の塊、壁はすぐに穴が空き、雨漏りもする。だが古いほうは外観こそあれだが中はちゃんとリフォームをしてあり家具まで備え付けで今でも生活できる環境になっている。
このように1つの情報だけで判断すると後々後悔することになる。
それは人も同じだ。
見た目が可愛くても性格までいいとは限らない。
逆に見た目がヤンキー見たいに怖くても性格は温厚かもしれない。
体が大きいからといって力持ちとは限らない。
いくら声が渋いからといって…。
部屋の中が段々と明るくなっていく。そしてその声の主の姿が段々と見えてくる。
その男はスーツを着ており、手を後ろに組みながら俺達を見つめていた。
「これで満足かい、Y君?」
その男は中年みたいな渋い声で俺に語りかけた。その声は確かに放送で嫌なほど聞いた声だ。だから今目の前にあるやつが声の主の正体、けど俺はそれを信じることはできなかった。
だってそこに立っていたのは俺と同じくらいの年齢の少年だったからだ。
「おいおい、せっかく姿を表したんだからなんか言ったらどうだい?」
その姿と声のギャップの激しさに俺は動揺を隠せない。けどその疑問はすぐに解決をした。ドラマやアニメを見ていて良かったと心から思った瞬間だった。
「その声…変声期使ってるだろ?」
「ありゃ~、バレちゃったか!まあこれはすぐにわかるよね~」
そう言った男はシャツで隠れていた首もとから小さな機械なようなものを取り出した。
「じゃあもうこれはいらないね!」
男はそれを床に落とし自分自身の足でそれを踏み潰した、念入りに何度も。
それを見て俺はこいつは何かに怒っていることがわかった。
別に怒っていなかったら1回踏めば壊れたはずの変声期と思わせる機械を何度も、そして力強く踏む必要なないはずだ。
男が何に怒ったのかは分からない。
変声期のことがバレたからか?
俺達がここまできたことなのか?
それとも俺達自身が気にくわないのか?
いいや、答えはすべてノーだ。
その怒りの理由がすぐに分かることになる。
「お前なんで変声期なんか使ってまで正体を隠す?」
「組織のトップが正体を隠すのは当たり前だろ?ましてはこんなデカイことをする組織だ、いくら極秘だからと言っても正体は隠さなきゃね。身内にも裏切りものがいるかも知れないし」
こいつの言っていることはごもっともだ、筋も通っている。実際に身内に裏切りものがいた。それが俺を助け、俺が助け出そうとしている委員長だ。
「けどY君は驚かないんだね~、俺はてっきり姿見た瞬間しりもちびっくりするかと思ったのに~」
変声期をとった男はその年相応の声でしゃべている。声は変わったが口調は変声期をつけてる時とあまり変わっていない。
「驚いたよ、あんな渋い声をだしてた声の正体が俺と同じくらいの少年だったなんて凄い動揺したよ。さすがにしりもちはつかなかったけどな。」
「ちっ…そこかよ…。」
男は小さな声でそう呟いた。
「Y君は俺のことをなんも聞かないだね?なんでこんな若造がこんなことをできるのかとか?」
「それも気になるけど今は委員長を助けてここをぶっ潰すのが先だ。なんだかんだでお前と俺とは赤の他人だからな。」
「赤の…他人…。」
その瞬間、男の雰囲気が変わった。今までのおちゃらけた雰囲気から一転、憎しみをこめた眼差しで俺を見つめていた男の姿がそこにあった。
「まさかそこまでとは思わなかったよ…けどしょうがないか…あの時も気づいてくれなかったんだから…。」
「あの時って一体なんだよ?」
「ああ、ごめん、気づいてないじゃなくて覚えてないんだっけね。」
「覚えてない?なにを?おい、なに言ってるんだよ!」
「いいよ、なら改めて自己紹介をしよう。」
「俺の名前はG、最近までお前と親友をやっていたもんだ。」




