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虚無世界  作者: 天神
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復讐の物語(前編)

むかしむかし、ある男の子がいた。

その男の子は気づいた時には施設で暮らしていた。

なので当然母親や父親のことなんて知らない、言ってみれば施設で働いている人が父親・母親代わり、施設で一緒に暮らしている子供達が兄弟みたいなものだった。

家族と呼べるものを知らなかった男の子はそれが普通だと思っていた。

けっして裕福ではなかったが男の子は楽しく暮らしていた。

そして男の子はこう思った。

「ずっとこのままがみんなと暮らせたらいいな。」

と…。





















そして時が経ち男の子は少年となった。

少年は施設から近くの小学校に通うようになった。

そしていつものように少年は共に暮らしている兄弟と施設に帰ってきた。

すると施設の前に車が何台も停まっていた。少年達は少し不思議に思ったが、お客さんが来るのは別に珍しくなかったためとくに警戒もせず施設の中に入っていった。

しかし中に入ると誰もいない、いつもだったら施設の人が「お帰りなさい。」とくに明るく言ってくれたり、年下の子供達がわいわい遊んでいる声が聞こえてくるんだけどそれがない。

流石にいつもと違う光景を疑問に持った少年達は施設の人や子供達を探した。

しばらくすると少年はある人影を見つけた。少年はその人影に向かって駆け寄ったが後ろから別の大きな影きてることが分かった。少年は振り向こうとしたが、その人影に布で鼻と口を覆われた。その後少年は段々ともうろうとして意識を失った。














次に少年が目覚めた時普段食事や寝る時に使う大部屋にいた。

手足は縄で縛られ、口にはガムテープでふさがれ喋ることができなかった。

周りを見渡すと子供達や施設の人、小学校から一緒に帰ってきた兄弟達もいた。

そして正面には黒いスーツを着たふたりの男がいた。

ひとりは黒いサングラスをかけた若い男、そしてもうひとりは白髪混じりの髪の中年の男。

少年はその男はどこかで見たような気がしたがよく思い出せない。けどおそらくその男がこの状態を起こした犯人だということが分かった。



サングラスをかけた男が施設の人に近づき、口についてたガムテープを剥がした。

そして白髪の男が施設の人にこう尋ねた。

「これで全員ですか?」

「は…は…はい…。」

施設の人は今にも泣きそうな声で返事をした。

ここで泣くと他の子供達に余計な心配をかけてしまう、だから施設の人は泣くのを我慢したんだと少年は思った。

「じゃあ始めましょうか。」

そう言うと白髪の男はスーツのポケットからなにかを取り出した。

少年は遠くからはよく見えなかったが形やその持ち方からそれが何かすぐ分かった、これは拳銃だ。

拳銃が何かを知ってる施設の人や子供達がざわついている。ガムテープによって喋れないながらもなにかを訴えるように必死に騒いでいた。

しかしその声は白髪の男が天井にはなった1発の弾丸によってかき消された。

弾丸が放たれた瞬間、周りにいた人達は瞬きをする時間も許されず一瞬にして消えた。

今の今までここにいた人達が消えたのだ。

施設の人も

子供達も

少年が兄弟と呼んでいた人達もみんな

消えた。

そしてそこに残っていたのが少年と白髪の男のふたりだけだった。

白髪の男が不気味な笑みを浮かべるとゆっくりと少年の元に近寄った。

そして白髪の男は少年の口についていたガムテープを剥がした。

少年は喋れるようになったが、一連の出来事に混乱、そして今まで味わったことのない恐怖で喋ることができなかった。

少年にはなにが起こったが全く分からなかったが、

別にひとつ分かったことがある。

それは過去に少年が願った

「ずっとこのままみんなと暮らせたらいいな。」

という願いが叶わないことだった。

白髪の男はゆっくりと手を伸ばし少年の頭の上にのせて笑顔でこう言った。

「今日から僕が君のお父さんだよ。」

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