君、死んじゃうよ。
この部屋は実に居心地の良いものだ、広いベットに家具もある程度揃っている。
温かくて美味しい食事や身の回りの世話も専属のメイドさんが丁寧にやってくれる。
そのメイドさんに頼めば欲しいものや要望もある程度答えてくれる。
俺達はそんな誰もが羨むような居心地のいい部屋に閉じ込められている。
だから早くここから出ないといけない。
だが
「全く脱出方法が見つからない…。」
あの後も何度か脱出をしようと試みたが、ふたりのメイドによって簡単に阻まれてしまう。
その情けない姿を後ろで絵空がニヤニヤしながら笑って見てるのが恒例となっていた。
「なあ絵空~。」
「なに~。」
バリボリバリボリバリボリバリボリ
彼女はメイドに頼んで持ってきてもらったスナック菓子を食べながらソファーでくつろいでいた。その姿は家事を終わらせて暇になった専業主婦、それと
同じだ。
「なんでお前は手伝ってくれないんだよ~。ここから出たくないのかよ?」
「私だってここから出たいよ、でも私が後ろで見てないと…。」
ソファーから降りた彼女はゆっくりと俺に近づき静かにこう言った。
「Y君死んじゃうよ。」
その言葉を聞いた時、全身から謎の寒気が襲った。風邪や病気などにくる寒気ではない、恐怖や恐ろしさからくる寒気だ。
「そ…それはないよ、特異体質の俺達をそう簡単に死なせるはずはいくらあいつでもないはず。」
「私もそう思うんだけど、Y君が死ぬとしたら故意じゃなくて事故でだよ。」
「一体どういうこと?」
「ほら私、あのメイドが私より強いって言ったじゃん?なんで私知ってるかっていうとね、私は戦ったからだよ。」
そうして絵空は俺が寝ていた時に起こったことを語り出す。
「私が目覚めた時、そのベッドでY君の隣で寝てたの。で、私はY君を起こそうとビンタしたり殴ったりしたりしたけどY君は起きなかった。」
ん?今なんか凄いことをさらりと言ったような気がする。
「だからY君が起きるまでこの部屋を散策したり、あのドアを開けようしたけど無理だったよ。だから壊そうとしたけど、その時はあんなに厚いなんて思ってなかった逆に自分の手が痛くなっちゃった。」
そりゃそうだろ、あの厚いは下手すれば銀行の金庫より厚いからな。
「そんなことをしてたらあのドアが開いてあのメイドさんが現れた。私はメイドさんにこう言ったの。「ここはどこだー、ここからだせー。」って、答えはY君の思った通りだよ。
だから、私は実力行使にでた。あのメイドさんを殺そうとした。けどそれはできなかった。だってメイドさんはふたりがかりで私を全力で抑え込んできた。それに私は手も足も出なかった。そう私は負けたんだよ。そしてメイドさんはそのままこの部屋について余裕綽々で話してたよ~。」
「ちょっと待って、絵空と戦った時はふたりがかりだったの?」
「そうだよ。」
「つまりそれって…?」
「そう、Y君と戦ったるときは本気だしてないんだよ。」
やっとわかった、なんで絵空が参戦すると俺が死ぬのか。しかも故意じゃなくて事故ってことが。
要するに絵空が参戦すると入口にいたもうひとりのメイドも参戦する。
知っての通り絵空の戦闘能力は以上だ。その絵空が敵わないと言うことはあのメイドさん達は絵空と同じ戦闘能力、いやそれ以上かもしれない。そこにほぼ一般人が参加しようもんなら一瞬でさよならだ。
けどちょっと待て、ふたりで絵空と堂々、それ以上なら。
「それなら、メイドさんひとりなら絵空は勝てる?」
「それはちょっと分からないけど、いい戦いはすると思うよ♪けどそれがどうしたの?」
「分かったんだ、この部屋からでる方法が…。」
「本当に?」
「うん、けどこれはお互い危険な状況になるかもしれない、いや、確実になる。それでもやる?」
「やらないって答えはないじゃん♪」
「分かった、ならあと少しでこの部屋ともおさらばだな。」




