後遺症
「あの街が絵空のために…?」
「そうだよ、じゃあ次の話だね。」
「おい、まだ絵空のことは全然話してないぞ!」
「なにを話そうと僕の勝手だよ。」
ああ…今すぐアイツを殴りたい…。けどここで反抗的な態度をとると絵空のことや委員長のことも聞き出せない可能性もある。
けどとにかく殴りたい…。
そんな俺を知ったか知らないが分からないがスピーカーから流れる声は俺に問いかける。
「君は施設に拉致され特異体質の力を吸いとられていた。そうだよね?」
「ああ…それがどうした?」
「同時期に実は君がいた施設は別の施設で特異体質の子が君と同じことをされてたんだ。」
別の施設…?
俺や委員長とは違う特異体質の人間…?
いきなりなにを言っているんだ、こいつは?
「その後君は施設を脱け出した、けどその子はそれからも施設から出れないまま特異体質の力を搾り採られ続けていた。そして力を搾り取れるだけ採られ た彼女は…」
「消えたのか?」
「いいや、力は搾り取れなくなっただけでまだその子には特異体質の力自体は残ってるよ。ただ絞り採られた後遺症が残ってしまってね~。」
後遺症?俺はそんなこと委員長から聞いていない。それは委員長も知らないことだったのか?
「絞り採られなくなったとはいえ特異体質の人間は貴重なものだ。だからその子を刺激するために以前暮らしてた街をそっくりそのまま作り、そして舞台装置として連れてきた人達をその子と同じ後遺症に仕立てて置いておいたのさ、ついでに現象の実験も兼ねて一石二鳥だったよ。」
「まさか…その子って…?」
その声は得意げな口調でこう言いはなった。
「そうだよ、そこに倒れてる君が絵空って呼んでいる女の子だよ。」
絵空は俺と同じだった。
俺と同じで施設に入れられ真っ暗な空間の中、力を採られ死にたくなるような苦しみをさせられた。
けど俺は委員長に助けられなんとかなったが、彼女は誰にも助けられず後遺症を負うことになった。
後遺症…?そうだ、その後遺症って…。
「そのぶんだど後遺症がなにか分かったようだね。」
絵空が普通の人とは違うこと、そして街の人も同じ後遺症を負ったことに制御されてた。それは…。
「記憶喪失…。」
「またまた正解~!」
彼女は自分が現象によって消えないかわりに、自分自身のことを消されてしまった。そんな悲しいことが許されるていいのか?彼女は望んで特異体質になった訳でも捕まった訳でもないのに。
「お前達は人間の感情はないのかよ!」
「おいおい、まるで他人事のように言ってるけど君も例外じゃないんだよ♪ 」
「なに…?」
「あのね、なんでここが君の高校とそっくりに作ったのか分かるかい?それは君が逃げなかったら絵空君と同じ実験をするためなんだよ。」
「えっ…」
「けど君は施設を逃げてしまった。そしてこの校舎と舞台装置として連れてきた君のクラスメイトだけがここに残った…。」
「だからこいつらは俺のクラスメイトじゃ…」
その時正面からプロジェクターが降りてきてあるものが映し出された。
「これは…。」
「君たちは本当に仲が良かったんだね、まだ2年だというのにこんなものを作るんだもん。」
これは俺は知っている、だって2年になったその日に作ったんだから。
「クラスの集合写真」
その写真には確かに俺の他にここにいるクラスメイトの人達が写っていた。
「じゃあ本当にここにいるのは…俺の…クラスメイト…。」
「だから最初からいってるじゃん、君のクラスメイトだって。」
「じゃあなんで俺は覚えてないんだ…?はっ、まさか後遺症…、けどなんで俺は途中で脱け出したのに?」
俺はいろんなことが頭の中をぐるぐる周り訳が分からなくなっていた。
「自然治癒って知ってるかい?」
「…えっ…」
「人間はちょっとした傷は勝手に治してくれる。君は知らないと思うが骨折なんかもほっとけば自然に治るんだよ。人間って凄いね。」
そのくらいは俺だって知っている。けどなんの関係があるんだ?
「じゃあ献血はなんで1回に採る血の量が決められてるんだろうね?血も勝手につくられるのに。」
「それは大量に採ると体からいっきに血がなくなって貧血になるから…。」
「そう、それに採りすぎるとね、その他にも身体中に影響をあたえるような後遺症も残る。それってなんかに似てるよね?」
「俺が力を採られたのと同じ…」
「そういうこと、だから君はその後遺症で徐々に記憶がなくなっている、だから君はクラスメイトのことを覚えてない。 そして最終的にそこに倒れている彼女と同じなにも覚えていないただの人形になる。」
「そんな…そんなバカな!!」
俺は走り出してそこいるクラスメイトの顔を一人一人確認した。男女問わず顔を近づけて必死に確認した。けど…
「はぁ…はぁ…なんでなんにも覚えてないんだ…!」
「ようやく自分がいまどんな状況かわかったかい?」
「いいや…まだ…俺には覚えてることが… 」
「ふ~ん、じゃあ」
君の通ってる高校の名前は?
君の住んでる街の名前は?
君がよく通ってるスーパーの名前は?
君の好きな食べ物は?
逆に嫌いな食べ物は?
君が朝登校前に見てたテレビの名前は?
君の通学路にあった交差点はなんて呼ばれてた?
君はお昼によく行くハンバーガー屋で頼んでたメニューは?
そこに一緒に行っていた親友の名前は?
そして
君が助けようしている委員長の本当の名前は?
「あ…あれ…?」
俺はその質問に1つも答えることができなかった。
「なんで…どうして覚えてないんだよ!!」
俺の目には涙が浮かんでいた。
悔しい…自分のことや、親友のこと、そして助けだそうとする人とことすら思い出せないなんて…。
「じゃあもう話すも飽きたし、君は少しおやすみタイムだ。」
「えっ…。」
その瞬間首筋に強い衝撃が襲った。それは一瞬の出来事でなにがなんだか分からなかった…。
「じゃあおやすみ、○○○君…。」
薄れゆく意識の中俺は最後の力を振り絞り俺を襲った奴を見るため後ろを振り向こうした。だが振り向く前にそいつはもう一撃俺に喰らわせられた。そしてそのまま俺は意識を失ってしまった…。
この時にもし後ろを振り向いてそいつの顔をみることができたのなら、もしかしたら結末は変わっていたかも知れない…。




