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虚無世界  作者: 天神
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気づかれない人達

「じゃあどこから話そうか?」

静かな教室に響き渡るどこから流しているか分からない放送

その放送に何一つ反応をせず正面だけを見て座っている半袖の制服を着ている生徒達

薬を盛られ床に倒れている絵空

そして放送をただ一人立ち上がったまま聞いている長袖の制服を着ている俺。

なにも知らない人が見たらきっとこう言うだろう。

「なんだこれ?」

これから何度もそう言いたくなるようなことがスピーカー越しに聞こえてくるのだ。



「じゃあまず君が出会ってきた人達のことから先に話そうか。」

俺はスピーカーを睨み付けるように見つめる。

「そんなことはいいから早くクラスメイトのことについて話せって顔してるね?まあ後々繋がるから待っててよ。」

なぜ俺がそんな顔をしていたかというと、確かに今までの戦闘員や生徒たちのことも気になるが、クラスメイトの問題を解決しないとこのもやもやした気持ちは無くならないと思ったからだ。

「簡単に言うとあの人達はただの一般人だ。」

「えっ…一般人…そんな…、だってあんなに沢山の人達が消えたら普通大騒ぎになるはずなのに。」

「君は年間何人行方不明になっているか知ってるかい?」

「行方不明…?」

「実は毎年一万人以上が行方不明になってるんだよ。」

日本は他の国に比べて行方不明の人が多いと聞く。それがもしかしたら日本自身が行ってきた結果だとしたら…?

「けどこの人達はその一万人には含まれてはいない、言ってみれば行方不明者にされてない行方不明者さ。」

「そんなことって…あるわけがないじゃないか!普通人が何日も帰って来なかったら誰でも心配するはずだよ。」

「じゃあなんでホームレスの人はどうなる?彼らは何日も家に帰ってないんだよ?」

「それは…家庭の事情やも身内が居なくて…まさか…

!」

「よく分かったね、その通り!戦闘員や君たちが先生と読んでいた人達はそのホームレスの人達だよ。」

そうか、だから絵空と初めて会った時彼女は

「私の他は歳の離れた大人が多かった。」

って言ってたんだ。

ホームレスは中年の人などが多い。若者のなどもいるだろうがその数は圧倒的に少ない。おそらくその内の何人かは戦闘員にされず絵空のいた街で実験台にされたんだろう。

けど…

「そんな非人道的なこと許されると思ってるのか!」

「社会に馴染めなかった人達が国自ら役立つようにしてあげてるんだ。良いことだと思わないかね?」

それを聞いた瞬間、こいつには何を言っても無駄だと悟った。こいつは根元が腐っている。なら聞きたいことをすべて聞いてやろう。

「絵空の聞いた話だと若い女性もいたって言ってた!それにここにいる人達が俺のクラスメイトだとしてもその他の生徒たちは一体なんなんだ?」

「ああ…君たちが燃やした人達ね、君はあの子達に酷いことをしたよね。私も見てたけど最後体育館で燃やされた時、最初はうめき声みたいな音が聞こえてたけど、段々それが小さくなって代わりに肉を焼くような音がジュージュー聞こえてたよ。」

こいつは聞きたくないことをピンポイントで、しかもトラウマをえぐるような口調で言ってくる。

「さすがの私もあれを見て心が痛くなったよ。」

また心にもないことをなんの迷いもなく言ってくる。

「いいから質問に答えろよ?」

「ったく冷たいな~、あの生徒たちは全員児童養護施設に暮らしてた子供、そして女の人はその先生。」

「…」

「なにも言ってこないようだから話は進めるよ、今、児童養護施設は今財政難に困っている。けど年々そこに入所する子が増えてさらに困っている。施設はもうパンク状態だ。ここまででで質問は?」

「…ない…」

質問もなにも今の俺にそんな言われてもなにも言い返す資格がないじゃないか。だって俺はその人達を…。

「なら次いくよ、施設は18歳までの子がいる。だから当然高校生もいるんだよ。そこで政府は財政難に困っている施設にこう言ったんだ。高校生は政府がまとめて保護する。その見返りに特別待遇でその施設の財政を援助するってね。」

えっ…それって…?

「じゃあ施設は高校生を売ったってことか?」

「そうなるね。」

「そんなこと施設の人がするはずが…」

「それだけ施設の経営は厳しいだよ!!」

初めてその声が怒鳴った。今までのふざけた口調が嘘のようだ。

「しっけいしっけい、ちょっと我を忘れてしまったようだ。君がそういうのは分かる、けどね結果的この校舎が埋まるくらい集まったじゃないか。これが現実だよ。」

「くっ…」

俺は養護施設で暮らしたことがないから内情はよく分からない。しかし1つ言えることはやっぱり彼らも立派な被害者だったってことだ。

「高校生は基本的に一人でここまで来たんだが中には疑い深い施設もあって何人かの高校生は教員もついてきたんだ。だから一緒に同じ目にあってもらった、もちろん施設にはお金を上積みしたよ。」

ここにきていろんな闇をみることになるなんて思っても見なかった。できればこんな場所で聞きたくなかったな。

「じゃあ…じゃあ、お前達が拉致した人達はどうしてなにも喋らない!なんでお前達の命令と通り動くんだ?」

「日本の科学力を舐めちゃいけないよ…。」

「どういうことだ…。」

「彼らの頭には特殊なマイクロチップを埋めてある。そのチップは感情を無くし、ただ私達の命令通りに動くように制御するようにプログラムしてある。」

「そんなアニメや映画みたいなことが…。」

「あるんだよ、それが。本当は少しは意思疎通できるようになってるはずなんだけど子供には負担が大きくて結果的に喋れなくなっちゃった。けど喋れる大人も私達の命令を聞くだけの人形だよ。」

それが本当なら生徒や大人達は感情が制御されてるだけで記憶はあることになる。

っあれ?ならどうして…。

「ならどうして、絵空やあそこにいた人は記憶がない?そしてどうして制御せず普通に喋れる!?それにあの街はなんなんだよ!」

「ああ、あの街はね、彼女の実験のために作ったものだからね」

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