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虚無世界  作者: 天神
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隔離

「降ろしていいよ…もう大丈夫だから。」

「本当に?」

「うん」

俺は絵空を降ろした。彼女は産まれたての子牛のようにふらふらしているがなんとか平常心を取り戻せたようだ。俺も逃げることに夢中で彼女をおんぶっていることをぶっちゃけ忘れていた。

「ところでなんか思いついたんでしょ?今度は何をやるつもりなの。」

それは今までの行為を無駄にするだから凄言いにくいが今はそれしか手がないのでしょうがない。きっと絵空には小姑みたいに愚痴られるだろうが覚悟の上だ。

「まずは奴らをここに誘き寄せる。」

そして彼女は思った通りの反応をした。

「Y君何言ってるの!せっかくここまで逃げてきたのに!」

「まあまあ話は最後まで聞いて、ちゃんとその後も考えてあるからだ。」

この時点で彼女は涙目になっていた。よっぽど恐かったんだろうな。

「あの生徒たちは確かに沢山いたけど何故かみんな走らないで歩いて俺達を追ってきてる。だから今になってもここに来てない。」

「うん…」

「なら逆に言えば一定のスピードを保てば近くにいても捕まらないってこと、でここからが本題、近くにきた生徒たちを1ヶ所に誘導して隔離する。」

「あんまよくわからないけどあんな沢山の人達を1ヶ所に集められる場所なんてあるの?」

「それは君が教えてくれたんじゃん。」

この前彼女にタブレットの地図を見せた時に彼女が気づいたあそこだ。

「あ、あの広い所!」

「そう正解、そしてあの広い所はここだ。」

俺はある場所を指指した。校舎の中からだと見てないがグラウンドに出ればすぐに分かる。そこは学校なら絶対にある場所…

「あそこはなに?」

「体育館だよ。」


とにかく生徒たちが来るまでしばらくは休憩だ、あんなに全力で走ったのは久しぶりで少しは休みたい。

「ところでY君?」

「どうした、まさかまだ恐い?」

「さっき私をおんぶした時なんて言ったの、教えて…。」

「とくに何にも言ってな…あっ!」

あの時は必死だったから気づかなかったけどもしかしてあの言葉口に出てたのか…。

「ねぇ、なんて言ったの…教えてよ…? 」

彼女はあの生徒たちような無感情な顔で俺に淡々と問い詰める。だがその顔には静かな怒りとほんのり殺意まで感じさせるまがまがしいオーラが出てるように見える。

「あ…あの絵空さん…!あの時はつい必死で…だから…!」

「やっぱりY君はデリカシーがないんだよ…だから少し教育し直したほうがいいと思うよ…!」

そのあとは世にも恐ろしいことが俺に訪れた。とてもここでは言えないとっても恐ろしいことが…。



ガサッ、ガサッ、ガサッ

軍隊の行進ような統制のとれた足音がようやく近づいてきた。

「ほらY君来たよ!早く準備して!」

「は…はい…」

さっきまで恐怖していた彼女はもういない。逆に彼女に恐怖している俺がいた。

そして玄関口が開き大量の生徒たちがグラウンドに出てきた。校舎の時に追いかけられてた時より明らかにふえている。

「じゃあ行くよ。」

俺達は後ろからついてくる生徒たちを気にしながら、けどなるべく一定の距離を保ち体育館に向かった。この光景を他人からみたらどう思うだろうか?これから戦地に赴く司令官とその部下と言ったどころか。

しばらくこんな状態が続いていたがついに体育館の入口まできた。さあここからが本番だ。

俺達は出入口の扉を開き中に入ると壇上に上がった。そして生徒たちが体育館に入ってきたことを確認すると急いで壇上裏に回った。

ここの体育館の出入口は1つしかない。だから出入口を閉じれば生徒たちは出られなくなる、それは俺達も同じだ。が本当は別にもう1つ出入口がある。

俺達は壇上裏にある倉庫に入った。

「やっぱりあった。」

ここは本物とほぼ同じに作られている。細かいところまで忠実に…

俺が見つけたもの、普段は跳び箱など道具で隠れているが 、それらをどかすと床から扉らしきものが出てきた。

俺達はそれを開けて中に入った。当然閉める時もカモフラージュはわすれはしない。

中は人一人が寝転びやっと入れるほどの狭さだ。俺達はほふく前進で進んだ。そしてある程度進んだところで出口を発見。

「よっこらぜ!」

「Y君じじくさい~! 」

「そんなことはいいから早く!」

そこは体育館の出入口から丁度反対側のマンホールだ。

俺達は急いで出入口を戻った。

「ヤバいもう全員体育館に入ってる。」

中を除くと何人か壇上までのぼっているがその先にはいっていない。

「やっぱりね。」

俺は体育館の出入口を閉じた。そして近くにあった木で体育館を出入口を完全に封鎖、これで作戦終了だ。

「これで大丈夫だぁ~」

「でもあそこ見つけたらどうするの?」

「それは心配ないよ。」

「なんで?」

「そもそもあの倉庫自体隠し部屋みたいなもので生徒はだれも知らない、本当の倉庫は出入口の隣にあるからね。それに奴らはそれを知らないから俺達がまだ体育館いると思ってる。仮に倉庫を見つけたもあいつらは細かい行動ができないからカモフラージュもバレない。」

と思う。

「へぇ~さすがY君!でもなんであんな所見つけたの。それに秘密の通路まで。」

「よく俺達で委員長に追いかけられてたからそこでいろんな隠しルートとか見つけたんだ。それで…」

あれ…俺達?俺と委員長のほかに誰かいたっけか…?

「ねぇ、ねぇってば!」

「あっ、ごめん」

「これからどうする?やっぱり4階まで行くんでしょ?」

本当はそうしたいところだがその前に1つはっきりさせたいことがある。

「ううん、さっきの教室に戻ろう」


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