迫ってくる恐怖
それは恐怖意外のなんというか。生徒たちはみな直立し無感情のまま冷たい視線だけがじっと俺達に向けられている。 多くの人は大勢の人達から見つめられたり注目されると緊張したり不安になるだろう。だがこれは明らかに違う感情だ。今俺達はえたいのしれない恐怖に襲われているのだ。
「ど…どうしよう…?」
「今いったとおり逃げるぞ…!」
「分かった…。」
「じゃあせーので走るぞ。」
「うん」
「よし、じゃあ…せーの!」
その瞬間俺達は教室を出て廊下を全力で走った。ここにいたら絶対大変なことになる。さっきの放送といい大量のやつらといい早く出口に行かないと終わりだ。
「ねえ、出口はどこ?」
「出口は4回!あの階段を登ろう。」
この状況のせいか階段までの距離が異様に長く感じた。それにさっきの放送にも違和感がある。だが今は逃げることが先だ。ようやく階段に着こうとした時急に絵空の足が止まった。
「どうしたの、もう疲れた?」
「ねぇ、あれなにかな?」
彼女は俺達が走ってきた廊下を指指した。その指の先にはあの生徒たちがゆっくりこちらに向かってきていた。全員統一のとれた足並みで走ってはこないがゆっくりとこちらに迫ってくる。それは軍隊の行進を間近でみているようだった。
だがそれだけでは終わらない。もちろん高校に教室は1つではなく沢山ある。そしてその分生徒がいる。それはここも例外ではなかった。階段にたどり着くまでにあそこ以外に2,3個教室を通りすぎた。そこにもいたのだ、人形みたいな生徒達が…
生徒の行進が教室の目の前でいったん止まる、そして教室のドアが開きゆっくりと生徒が現れ隊列を組また行進を始める。それは迅速に、そして正確に行われ1寸のすきのない動きだ。
「うぁ、うぁぁぁぁぁ…!」
その不気味な動きをみて絵空は尻餅をついた。
「大丈夫?」
「ごめん…体が動かない。」
がらがら
同時に後ろから嫌な音がなった。
「まさか…ね」
この階段は校舎のちょうど真ん中にある。ということは反対側にも教室があるわけだ。そしてその音は教室から聞こえた。ということは…
「嘘だろ…」
反対側から生徒の隊列が出来上がり行進が始まっていたのだ。そして上の階からも音が聞こえる、俺はそれが何を意味するか分かった、もうこの階段は使って出口に行くのは無理だ。
上のにも右も左にも行けない。なら考えられる可能性は1つ。
「1階に行こう。」
「でも大丈夫なの?」
「1階は生徒のいる教室がないしここよりも広いから逃げ場はある。」
「出口はどうするの?」
「今はここから逃げるほうが先だ。」
「でも私体が…」
「それなら大丈夫!」
俺は絵空の目の前でしゃがんだ。
「ほら肩持って俺がおんぶするから。」
「やだよ、恥ずかしいよ!」
「今はそんなこと言ってる暇ないでしょ!」
「うぅぅ…」
彼女は嫌々ながらも俺の肩を掴み俺もなるべく失礼のないようにおんぶの体勢をとった。
「重っ!」
俺は彼女とその荷物を抱えながら階段をかけ下りる。後ろなんかみている暇はない。1階に降りてさっきもきた職員室のところまできたが入口まで戻ったところで状況はなにも変わらない、だから俺は入口に戻らず校舎の玄関口を目指した。ここ学校なら当然グラウンドもあるはずだ。外に出られれば活動の幅が広がってくる。あちこちから統制のとれた足音が聞こえてくる。俺は玄関口に向かって走る。足音は段々と近づいてきたのが分かる。
仮にたどり着いたとしても果たして玄関口は空いてるのか?その前に外に出られるのか?そんな不安に教われながら俺達は玄関口にたどり着いた。
不安は希望に変わった。玄関口は開いておりちゃんと外があった。
俺は玄関口を通りなんとか校舎を脱出することができた。
「よっしゃ~」
だが問題はここからだ。あの生徒たちをどうにかしないと4階の出口には行けない。こうしている間にも生徒たちがこちらに迫ってくる。
俺はタブレットで知っているはずのここの全体図を調べた。
「そうか…その手があったか。」
それはここに通ってきた俺だからできることだ、あいつらにも絵空にも絶対できないだろう。誰も傷つけず安全に校舎に入れる方法が…。
さあ第2ラウンドの始まりだ。




