人形
ここは俺と通っていた高校と全く同じ作・構造・同じ教室の配置をしている。しかしここは高校ではない。日本政府が所有している施設の中だ。だからここに当然生徒なんているわけがない。
けど今俺と絵空が見ている光景は本物の高校みたいに全員半袖の制服を着た生徒が椅子に座ってる。男はYシャツ、女はブラウスと制服まで俺の高校と同じだ。一体政府がなにを考えてるかますます分からなくなってくる。
「この人達も私みたいに連れてこられたのかな?」
絵空もやつらによってここに連れてこられた。もしかしたらそうかもしれない。だが彼女とここにいる生徒達は決定的に違うことがある。
「そうならいいけど…」
「Y君も分かった…?」
「うん」
「私、この人達恐い…。」
絵空が恐がるのも無理はない。ここの生徒には生気が感じられない。誰1人なにもアクションせず全員正面の黒板を見つめていた。
「ちょっと俺話かけてみる。」
「ちょっと、Y君!」
俺は窓側に座っていた生徒に声をかけるために近づいた。あえて近くの生徒にしなかったのは何かあった時のために絵空を守るためだ。今の彼女は今までにないくらい怯えていた。だから念のためだ。
窓に近づいて分かったことだがやっぱりここは地下だ。外だと思っていた風景はやはり絵だった。そんことは今はいい。俺は男子生徒に声をかけた。
「あ…あのすいません…大丈夫ですか?」
俺の呼び掛けに男子生徒は反応がない。彼は変わらず正面を見つめている。
「やっぱりダメか…。」
この展開は予想していたもののもう1人隣にいた女子生徒に話しかけることにした。今度は肩を揺らすアクションも同時にすることにした。
「すいません…」
俺は女子生徒の肩をそっと押すように触った。
ガタン
「えっ…?」
す女子生徒は反応をするどころかそのままの態勢で床に倒れこんだ。倒れてもなお女子生徒はなにも反応をしない。
俺は茫然としながら絵空のもとに戻った。
「Y君大丈夫だった?」
「体は大丈夫だよ、けど精神的にはキツいな。」
「だよね。だってこれじゃあまるで…」
「人形じゃないか。」
「私ここから早く離れたい。」
俺もその意見に賛成だ。もう少しここで調べたいが何もかも不気味すぎる。もしかしたらこの人達も助けなければいけないかもしれないが今はなにもできない。俺達はここの教室を離れようとした時それは起こった。
キーンコーンカーンコーン
突然チャイムが教室に響き渡る。そしてその後に流れた放送でこう伝えた。
「次は体育の授業です。内容なここに紛れ込んだ不審者を捕まえることです。」
不審者とは誰のことかすぐに分かった。紛れもなく俺と絵空だ。
「ヤバい、逃げよう!」
「うん! 」
俺達は急いで逃げようと教室に背を向けた。
ガタガタッ
その音が教室から聞こえた。
そんな音は今まで聞いたことはないくらい大きな音だ。しかも統制がとれてないとこんなぴったり音が会うはずがない。
ヤバいと思いつつも俺達はゆっくりと後ろを振り向いた。
そこで俺達が見たものは今までなにも反応せず座っていた生徒達が立ち上がっていた。そして正面だけを見ていた目線は同時に俺達に向けられた…。




