木を隠すには森の中
東京スカイツリーは今も凄い人気だ。夜にやっても東京の夜景を視るために数多くの人達がここを訪れる。普通なら人が居なくなる閉館後に乗り込むのが鉄板だが委員長の考えは違った。もう忘れているかも知れないが一応俺達は追われている身である。だから余計に人の目には気にしなければならない。はっきり言って昼間の東京観光も凄い博打打ちだったのだ。だが委員長は
「このまま人混みに紛れて堂々と乗り込むわよ。」
「それって危ないんじゃ、ここにはなにがあるか分からないでしょ?」
「だからよ、人混みに紛れれば相手から見つけにくくなるし追ってが来てもこの人混みじゃ追いかけにくい。」
つまり木を隠すには森の中、人を隠すには人の中ってわけだ。
「中に入ったら私についてきて、一応離れ離れにないように人混み抜けるまで手を繋いで行きましょ。」
そう言うと委員長は堂々と俺の手を握ってきた。ヤバい、思春期真っ只中の俺には凄いダメージだ。施設から脱出した時も手を握っていたがあの時はそれどころじゃないかったがこんな場所でやられてはさすがに意識せずにはいれない。
「あ…あの、委員長?」
「なに?」
「い…いやなんでもない?」
「なんでもないならいいわ、じゃあ行きましょ」
委員長はとくに気にしてないっぽいな。とにかくここからは戦闘モードだ、気を引き締めていかなければ。
俺達は堂々とスカイツリーの中に侵入した。さてこれからてどこに向かうのだろう。そう思っていたら気づいたら展望台に昇るエレベーターの行列に並んでいた。
「展望台にいくの?」
「そうよチケットもちゃんと買ってあるし」
そう言いながらどや顔でチケットを見せる委員長、他人からみたらなんてほほえましいカップルなんだろう。
「ねえ、1つ聞いていい?」
「なに委員長?」
委員長からなんか聞いてくるなんて珍しい。
「あなたの家族っていまどうしてるの…?」
「か…家族…?」
俺はこんな簡単な質問に答えることができなかった。なんでこの時は答えることができないとか全く分からなかった。それにそのことをおかしいとも思わないでいた。
「ごめんなさい、へんなこと聞いちゃった、今のは忘れて。」
その時の委員長の顔はどこか悲しそうで切ない表情をしていた。
それからしばらく沈黙が続きやっとエレベーターの順番が回ってきた。さすが世界最大のタワーにあるエレベーター、大きいし早い。あっという間に第一展望台に到着だ。
エレベーターの扉が開くとそこには東京の夜景が広がっていた。駅でみたよりもずっと綺麗だった。だが俺達は夜景を見にきたわけではない。
「こっちよ。」
俺達は人混みが抜けるように展望台から離れっていった。しかしいくら人混みを抜けたっからって完全に人がいなくなったわけではない。どこに行ったってなにかしら人がいる。
「どうしましょ…」
「どうしたの?」
「この壁触ってみて。」
俺は言われた通り壁を触ってみた。するとその壁は引き戸になっていて開けられる状態になっていた。
ここはなんもない壁だし、仮に触ってしまっても意識しなければ分からないくらい精密に作られていた。
「ここから入るんでしょ、なら早く行こうよ?」
「バカね、回りを見なさい。まだ人がいるでしょ、見られたらヤバいの分からないの!」
「ごめんなさい…」
「とにかくあの人達をなんとかしないと…」
「人を注意を一瞬でもどかせばいい?」
「それでもいいけどなんか考えはあるの」
「委員長は引き戸を開ける準備をしてて」
はっきりいって俺にはこんな問題だった。まさかこれがこんな時に役にたつとは思わなかった。俺はあるのものをスイッチを押すとおもいっきり投げた。そんなに遠くなくてもいいとにかく人の注意を引き付ければそれでいい。
それは凄い音で鳴り出した。予想通りそこに人達はそっちの方向をみた。
「いまだ、委員長!」
委員長が引き戸を開くと俺達はまるで忍者の如く素早く引き戸の向こう側に吸い込まれていった。
「ふ~、作戦成功~」
「あなた、なにをしたの?」
「簡単だよ、防犯ブザーを投げただけだよ、」
「なんでそんなもの持ってきたの?」
「よくわからないけどなんか役にたつのかなと思って。てかその防犯ブザー委員長の部屋にあったものだけど、委員長こそなんで防犯ブザーなんか持ってたの?この歳じゃ必要ないじゃん。」
「ほっといて!」
「ここで大声はヤバいでしょ?静かに静かに!」
「ったく、ほら行くわよ。」
無事東京スカイツリーの内部に潜入成功だ。




