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【10月アニメ化】転生した大聖女は、聖女であることをひた隠す  作者: 十夜


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288 筆頭聖女選定会 三次審査 9

「古の海洋王国の神話について知っているなんて、ザビリアは物知りなのね」

さすがだわと感心していると、ザビリアはのんきだなとばかりに横目で見てきた。


「そっちに思考しちゃうんだ。ちなみに、神話に出てくる娘は人間になぞかけをして、その謎が解けない相手を食べちゃうんだ。でも、フィーアは正解したから、帰っていいんじゃないかな」


またもやザビリアからこの場から離脱することを勧められたので、これは従うべきねとプリシラとローズを振り返る。

すると、2人は真っ青な顔で上ずった声を上げた。


「フィ、フィーア! そそその大きな竜はお、お知り合いかしら? あの、そ、そんなに近付いて、危険はないの?」

「フィ、フィーアが言っていたように、黒竜って我が国の守護聖獣よね。だから……竜だけど大丈夫なのかしら? 我が国の守護の要である聖女様を守っているということ?」


私は2人に近付くと、その手をぎゅっと握りしめる。

「ザビリアは賢くて優しい竜よ。その竜がこの場を離れるべきだと言っているの。もう薬草は十分見せてもらったから、第三次審査に戻りましょう」


「あら、それはダメよ」

「ここまでやって逃げられるなんて、あり得ないわ」

エキドナとスフィンが即座に反対してきた。


2人をじっと見つめてみたけれど、私にはやはり無害な母娘にしか見えなかった。

けれど、ザビリアはエキドナのことを危険だと言い、魔人かもしれないと仄めかしたのだ。

事実だとしたらとんでもないことだけれど……ここまで完璧に人に擬態することなど、魔人には不可能じゃないかしら。


「フィーア、僕は立派な黒竜だけど、騎士たちの前ではおとなしくしているから、小さな鳥だと思われている。擬態は得意じゃないけど、問題なく皆を騙せているよ」


その通りだわ。

いずれにしても、私のお友達がここまで心配してくれているのだから、聞き流したりしないわ。


「クェンティン団長、ザカリー団長、イーノック団長、この2人を捕らえてください!」

間違いだと分かったら、誠心誠意2人に謝罪しよう。


そう心の中で決意すると、私はプリシラとローズの手を握ったまま走り出した。

もしもエキドナたちが魔人ならば、聖女を逃がそうとはしないだろうから、騎士団長たちの力を借りることにしたのだ。


驚くべきことに、3人の騎士団長は状況を理解していないはずなのに、一瞬たりとも躊躇しなかった。


相手はか弱そうな母子であるにもかかわらず、クェンティン団長とザカリー団長は剣を抜くとエキドナとスフィンに向かって走り出す。

同時に、イーノック団長は腕にはめている魔力増幅の腕輪を反対側の手で強く押さえた。


それら一連の動きを見たエキドナは、「呆れるわね」と呟く。

「聖女至上主義とは知っていたけど、騎士たちがここまで聖女に盲目だったとはね」

スフィンも母親の言葉に同意する。

「こんなか弱い親子を攻撃してくるなんて、王国騎士の名が泣くわ」


すかさず、ザカリー団長とクェンティン団長が文句を言った。

「ちげーよ! オレらが聖女様の言葉を無条件に受け入れるわけないだろう!」

「誰よりも騎士としての誇りを持っているフィーア様の言葉だからだ!!」


「……ふ・うーん」

エキドナが気だる気に片手を振る。

すると、突然、地面から勢いよく何かが噴き出てきた。


「はっ!?」

「何だ!」

ザカリー団長とクェンティン団長は足を止めると、起こったことを見極めようと油断なく身構える。

そんな二人を取り囲むように、不明の何かはドンドンドンと破裂したような音を響かせながら噴き出てくると、天を衝くほど高く伸びていった。


円形に発生した何かにぐるりと包囲されたところで、出現したのは地面から生えてきた植物であることに気付く。

蔦なのか木なのか、緑色の太い幹のようなものが、隙間なくびっしりと円形に生えて、私たちを閉じ込めてしまった。


「な、何よこれ!」

「一体どうなっているの!?」

プリシラとローズは泣きそうな声を上げると、ぎゅっと私にしがみついてきた。


ザビリアと私、プリシラとローズ、クェンティン団長とザカリー団長の1頭と5人が、同じ植物の檻に閉じ込められた形になる。


少し離れた場所では、イーノック団長や騎士たちを取り囲むように別の植物の檻が完成していた。

信じられない思いでエキドナを見ると、彼女は屈託ない表情で首を傾げる。

「あら、植物が異常成長しちゃったの。困ったわね」


一方のスフィンは、呆れたようにザカリー団長を見つめた。

「とんでもなく足が速いのね! 聖女たちと同じ檻に入れるとは思わなかったわ」


「……お前たちは何者だ?」

ザカリー団長はスフィンの質問に答えることなく、鋭い声で尋ねた。

すると、エキドナが酷いわとばかりに顔をしかめる。


「先ほど説明したと思うけど、もう忘れちゃったのかしら。ここで薬草を栽培している無害な母子よ。でも、自業自得ね。植物を大切にする私たちを軽々しく扱うから、植物に閉じ込められちゃったんだわ」


「すっとぼけるのは止めろ! この植物が自然にオレらを捕らえられるわけないだろう! この場所に罠をはっていたのか!?」

噛みつくような声を出すザカリー団長に、エキドナは呆れたような視線を向けた。


「それは当然じゃないかしら。先制の利を無駄にするはずないじゃない。むしろ罠がないと思って飛び込んでくる方がうかつよね」

「騎士ってのはピュアなのねえ」

スフィンも母親に同調する。


突然の出来事に立ち尽くしていると、隣にいたザビリアがぱかりと口を開け、勢いよく炎を吐き出した。

ザビリアの炎は私たちを取り囲んでいた植物を燃やし、灰にしたけれど、次の瞬間、新たな植物が再び地面から生えてきて隙間を塞ぐ。


「へえ、面白いね。地面の奥まで焼かなきゃ、燃やすたびに新たな植物が生えてくるみたいだね。けど、この植物は横に長く根を張っているみたいだから、そうすると一緒に僕たちも焼けそうだ」


ザビリアの言葉にびくりとすると、私のお友達は安心させるようにこてりと首を傾けた。

「大丈夫だよ。こういう小手先の罠を仕掛けるのは、いつだって弱者だから。あの2人はそう強くないはずだ」


「そ、そうね」


多分、ザビリアが軽い調子でしゃべっているのはわざとだ。

私が過度に恐怖を覚えないよう、気を遣ってくれているのだ。


そして、ザビリアがそんな態度を取る理由は、今や一つしか思い当たらなかった。


私は信じられない思いで、じっとエキドナを見つめる。

「エキドナは……人ではないの?」


彼女の答えを待つ間、私は馬鹿げた質問をしているのじゃないかしらと、頭のどこかで考える。

だって、エキドナはどう見ても人にしか見えない。

おかしなところなんてどこにもないのだから、彼女が人でないわけがない。


息を詰めて答えを待っていると、エキドナはもったいぶった様子で腕を組んだ。

「……ふふっ。古の神話の登場人物と同じ名前をしているのだから、ただの人ではないのかもしれないわね」


エキドナからイエスともノーとも取れる答えを返されて、心臓がドクリと嫌な音を立てる。


「……あなたの髪は何色をしているの?」

新たな質問をすると、エキドナは楽しくてたまらないとばかりにニヤリと笑った。

その唇がとても赤く見えたので、私の背筋に冷たいものが走る。


暗い小屋の中では気付かなかったけれど、エキドナの肌は白く、唇は赤く、とても整った顔立ちをしていた。


「もちろん……他の何色にも染まらない、この世で最も美しい色だわ」

エキドナは意味あり気に答えると、ゆっくり両手を頭に乗せた。

それから、私を見つめたまま、被っていたウィンプルを取る。


次の瞬間、ばさりと長い髪が零れ落ちたのだけれど、それは闇と同じ黒色をしていた。

黒髪の下から覗く目は、いつの間にか白目部分がなくなり、黒一色になっている。


「ま……魔人?」


私ははくりと息を吐くと、震える声でそう呟いた。

いつも読んでいただきありがとうございます!

4点お知らせをさせてください!!!

ノベル最新刊発売、大聖女舞台化、大聖女サイン会、このラノご協力依頼になります。

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【1】本日、ノベル13巻が発売されました。なにとぞよろしくお願いします。

挿絵(By みてみん)

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【2】大聖女が舞台化します!!!

2027年1月21日(木)~24日(日)に東京のシアター1010で超豪華キャスト&スタッフによる最高の舞台が実現します。

本日よりチケットの先行販売がスタートしますので、なにとぞよろしくお願いします(★ᴗ͈ˬᴗ͈)))

私は、全7公演を見にいく予定なので、舞台の熱狂と感動をご一緒できれば嬉しいです。


★大聖女舞台公式X

https://x.com/daiseijo_stage

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【3】アニメ化を記念して、11/3東京にて大聖女サイン会を開催いたします。

お申し込みがスタートしていますので、もしよかったらぜひぜひぜひぜひよろしくお願いします(* ᴗ ᴗ)⁾⁾


★書泉様(サイン会会場:秋葉原書泉ブックタワー)

https://www.shosen.co.jp/event/45406/

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【4】「このライトノベルがすごい!」(9/23までお一人様一回限り)

https://konorano2027.oriminart.com/


ただいま、「このライトノベルがすごい!」WEBアンケートが実施されています。

★転生した大聖女は、聖女であることをひた隠す

を加えてもらえると嬉しいです。

※作品一覧で「十夜」で検索すると、6作品出てくるので、そこから選べます。


皆様のおかげで大聖女は3年連続2位となっています。

アニメ化も10月からスタートするので、 広まるお手伝いをしてもらえれば嬉しいです。


それから、今週はあと2回更新します。

どうぞよろしくお願いします(❁ᴗ͈ˬᴗ͈))))

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★【大聖女 (本編) 】コミカライズへはこちらからどうぞ
★【大聖女(ZERO)】コミカライズへはこちらからどうぞ

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「魔法の鏡発見!」「【SIDEクェンティン】新米母は可愛い雛に名前を付ける」

その他、アルテアガ帝国の話を3本加筆しました。
ノベル13巻

ノベルZERO6巻が発売中!
立派な聖女になりたいと思ったセラフィーナは、聖女の修行をしようとするけれど……
『騎士団長たち酷い』案件勃発。

ノベルZERO6巻

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フィーアがサヴィス総長にとっておきの花を取ってきたり、クェンティン団長に特別なお土産を渡したりします。
半分以上がWEBにないノベルオリジナルの話になります。

コミックス13巻

コミックスZERO4巻発売中!
とうとう西海岸に到着した近衛騎士御一行様。不審な男性に遭遇するも……
コミックスZERO4巻
どうぞよろしくお願いします。

― 新着の感想 ―
出た!! 魔人、出た!((((;゜Д゜)))) 新刊、出た!(≧▽≦) フィーアと、ザビリアやザカリー団長、クェンティン団長との信頼関係が素敵! 「聖女様の言葉を無条件に受け入れるわけないだろう!」い…
ついにプリシラとローズが戦場に!!フィーアの力を見られるのかがきになるところです。続きた本当に楽しみ!
クライマックスが近づいて来たかな! ここまで様々な伏線が回収されて来ると、シリウスの生まれ変わりは誰なのか。でも、それはこの物語の最終章なのかもしれなから、まちどおしいような寂しいような。
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