訳あり龍人...?②
「実は今、私のお母さんが病に伏せてて」
「うん」
そりゃ大変だ。
でもどんな病気なんだろう。
「それでその病気を治せる薬を探しに来たの」
「うんうん」
でも龍の病気って人間の薬で効果があるのかな。
「...その薬はすぐに見つけることは出来たけど...その....」
なるほど。見つけたけど買いに行けないって訳だね。
確かに龍人が人里で普通に買い物してたら色々大変なことになるもんね。
「知り合ったばかりのイルくんに頼むのもおかしい話なんだけど、困ってるから助けて欲しいの──」
「なるほど」
代わりに薬を買いに行って欲しいってことだろうし、それくらいならいいかな。
「人族の王が持ってる秘薬を盗りに行くのをっ!」
「いいよ!手伝っ───......へ?」
王様が持ってる......『秘薬』...?
しかもそれを盗りに行く?
「盗る...の?譲って貰うとか分けてもらうみたいな平穏な方法じゃなくて?」
「試したけど門で追い返されたよ?『帰ってくれ!』って大声で言われたから素直に帰ったの」
門番の人がそんな対応するかな。
...まさか、ね。
「まさかとは思うけど角...剥き出しで言った訳じゃないよね...」
「もちろん剥き出しで行ったよ。正面から普通に行ったのになんであんな追い返され方したのかな?」
なぜそこで疑問符が浮かんでいるような表情をするんだ。
門番の人も、『帰ってくれ』と言ったんじゃなくて怯えて懇願してたのでは?
しかも大声じゃないよクレア...それ怖くて声が裏返っただけだと思うな。
今考えるのはそんなことじゃない!
普通にまずいよこの状況。
僕、人族だよ?
相手は人族の王だよ?
同種族の王に一般人が歯向かえば間違いなく殺される...!
「帰ります生きてたら会いましょうでは」
帰ろう。今すぐ帰ろう。僕はきっと疲れてるんだ帰ろう。
「待って♪手伝うって言ったよね?」
しまった腕を掴まれた...くっ....!流石は龍人。なんて力なんだ...!!
「離してくれ!王族の秘宝を譲って貰うどころか盗みに行くなんて自殺行為じゃないか!クレアは空を飛んで逃げれても僕は飛ぶことなんて出来ないんだ!」
「なんで?バレなきゃ問題ないよ?」
「......こいつ頭おかしいだろぉぉ!!!!」
僕の叫んだ声によって、周辺で休んでいた鳥の大群が飛んでいく音に気づく余裕を、この時の僕は持ち合わせていなかった。
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