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マッスルモンスター達が率いる、オーガ軍団の最前線――。
「こ、これは流石に乳酸が限界だぜ……!?」
普段なら無限のスタミナを誇るガストンさんが、兵隊さんを小枝のように振り回しながら珍しく泣き言を漏らしています。
「流石は我が教団が誇る最精鋭、マッスル騎士団ですな! 言ってみれば私の教え子達みたいなものです! ふんっ!」
バジルさんが兵士の兜をアイアンクローでメキメキと握り潰します。哀れな兵士達は口からプロテインをぶち撒けて痙攣するばかりです。
「確かにね! でも僕たちを懲らしめるには、少し『重量(階級)』が軽すぎるかな? それっ!」
アドニスさんが両腕を開いてダイナミックに横回転しただけで、マッスル騎士団の先鋒達がまとめて吹き飛ばされます!
圧倒的な筋肉の暴風雨――。
しかし、恐れを知らない我が軍の狂戦士達は、マッスルモンスター達の絶望的なバルクにも決して怯みません!
「大きいよ! ナイスバルク!」
「オーガと見分けがつかないよ!」
「採れたて新鮮! デッカい肩メロンーー!」
「腕に雪だるま乗ってるよ!」
などと相手を讃える掛け声を叫びながらも、健気に突撃しては圧倒的な質量の前に撃沈し、プロテインを吐き出して沈んでいきます。
(……っていうか、なんでコイツらは決戦の直前に揃いも揃って大量のプロテインを飲んだんでしょうか……? 飲ませた将軍とは後で長い話し合いが必要です)
「さて……こんなもので終わるわけが無いよね? モヤシちゃん?」
アドニスさんが軍勢の中央、輿の上で指揮をとる私を遠くから見据えて笑います。
「うむ、お出ましのようですな?」
「おう! やっと歯応えのあるマッチョ達のお出ましか!?」
崩壊した前線の穴を埋めるように現れし、巨漢の特務部隊――『白タオル決死隊』の登場です!
白タオル決死隊の隊長が、頭の白タオルを締め直して部下に告げます。
「聖女様は『前線の崩壊を食い止めろ』とおっしゃった!……だが、我々が!大司祭様と聖騎士様達に正義のパンプをお見舞いしたって……構わないだろ!?」
「「「この二頭筋は、女神様と聖女様と、正義の為にーーー!!」」」
「ほぉ? これはこれは、立派なマッチョ達のご到着ですな……」
バジルさんが、邪悪すぎる笑みで目を細めます。
ドドドドドドッ!!
途端に響き渡る激しい地響き!
一級品の筋肉の群れと、特級の超絶筋肉のぶつかり合いに、大地は叫び、空すら泣き出します!
……ですが、フフフ。
その大決戦の激闘の隙間を、縫うようにして進む小さな刺客が一人――。
そう、私ティミド・マッソォです!
所詮、白タオル決死隊すらも私の用意した極上の囮にすぎません。
本命は、この大魔法使い(になる予定)の、私自身の手で、あの三馬鹿の急所に直接お灸を据えてやることなのです!
お父さん、お母さん。
わたしは今、猛烈な勢いでジェットバットを振り抜きたい気持ちでいっぱいです……!




