4-11rep 強敵キングコボルベロス
20頭は居たコボルトの群れは、今や一頭……いや、三頭を残して全滅していました。
しかし最後に残った一頭……いや三頭? いや一頭? 3つの頭を持つコボルトの王『キングコボルベロス』は、部下達を瞬殺されたことに怯えるでもなく、爪と牙を剥き、涎を垂らして咆哮をあげました!
「っぐっ……これ、ただの雄叫びじゃない! 防御ダウンの魔力が付与されてる!?」
「皆! 気をつけてください! こいつ、北方で戦った十魔団の『疾風のウルフェン』より強いです!」
「ほう?」
「へぇ?」
「ふむ?」
「へ? 皆さん……?」
「「「それは良いトレーニングになる!!!」」」
「いやいやいやいや! あの魔王の幹部より強いんですよ!? いや、アドニスさんのゲンコツ一撃で沈んでましたけども! 私の敵う相手じゃないので……退がります!」
私はビシッと敬礼をして、後方へと戻れ――ませんでした。
ジタバタと抵抗を試みましたが無念。
アドニスさんに摘み上げられ、キングコボルベロスと相対させられます!
「モヤシちゃん、いつまでも逃げていちゃダメだよ? 大丈夫! 今までの旅とトレーニングを思い出してごらん!」
(楽しい思い出も、色んなモンスターに殺されかけた思い出も、常識外れなトレーニングも、全部一気に走馬灯のように駆け巡っていますよ!?)
「そうだぜ豆苗! 俺達の熱いハートや筋肉は簡単には破られないぜ!? もっと熱くなれよ!」
「魔法使いはいつも冷静であるべきです!」
「ティミ嬢、男には無理と分かっていても挙げなきゃならないバーベルがあるのですよ?」
「私は女です!」
「モヤシちゃん……」
「豆苗……」
「ティミ嬢……」
「「「ファイトだ!」」」
「話を聞けーーーーーー!!!」
「アオーーーーーン!!! 俺を無視するな人間共! 俺はその辺のコボルトとは違うぞ! この三位一体の攻撃を交わせるかな! 先ずはそのガリッガリの骨みたいな雌から食って巣穴の奥に穴掘って宝物と一緒に埋めてやる!」
キングコボルベロスが爪と牙で襲いかかってきます!
私は咄嗟に杖を構えて、その凶悪な爪を受け止めます!
「中々やるな? 人間の雌!」
(ンギィィィ! 私は受け止めるので精一杯なのに……!)
背後からは「ナイスバルク!」「ヒラメ筋が過去最大に輝いてるぞ!」「もっとインナーマッスルも意識して!」などと、スロースクワットをしながら好き勝手な声援が飛んできています。
お父さん、お母さん。私は今、人生でも5本の指に入るほどのピンチです!




