4-6rep プロネーションタウン
「見えたぞ! 荒野のオアシス! プロネーションタウンだ!」
「これでやっと、少しの水とバジルのプロテインを舐める生活ともオサラバだぜ!」
ガストンさんは今日も無駄に元気いっぱいです。
「ほら! 皆来いよ! ここの飯屋は味が濃くて腹に溜まるもんばっかりだぜ! オヤジ! プンパーバッファローのステーキを十二人前だ!」
「いや、荒野を彷徨って私の湧水以下のちょろちょろ水とバジルさんのプロテインを一日に三回指で舐めてた生活から、いきなりステーキは――むぐぅっ!?」
有無を言わさず、ガストンさんが私の口へ一人前300gの極厚赤身肉を力任せにねじ込んできました!
「はぐっ……! あむっ……!」
私は口をパンパンに膨らませて、ジュワッと肉汁が溢れる硬い肉を必死に咀嚼します。
(……なんか今日のガストンさん、いつもよりご機嫌というか、なんだかソワソワしているような……?)
「あぁ、モヤシちゃん。ここはガストンの一応の故郷なんだよ」
と、アドニスさんが教えてくれました。
「え? そうなんですか? でも……『一応』って……?」
「あぁ、俺は孤児だったからよ? この街に捨てられて、ここの孤児院で育ったんだ!」
「え……ガストンさん……それじゃ、私と同じ……」
思わず胸がキュッと締め付けられた私に、ガストンさんは豪快に自分の胸をドスンと叩きました。
「おっと? しんみりしたのは無しだぜ? ほら、この通り頑丈な体に育ったからよ? ガッハッハ!」
「ごめんなさい、私……その、知らなくて……」
「良いんだ良いんだ! 隠してた訳じゃないけど、言ってどうにかなる話じゃないし! それに今はほら! こんなマッチョな仲間に囲まれて旅が出来て、最高にパンプした人生だぜ?」
「はっはっは! 初めて会った時は、もう少しやさぐれて居ましたけどな?」
バジルさんが懐かしそうに目を細めます。
「お、おいバジル! それは無いだろぅ!?」
「そうだね。僕が初めて会った時は、狂犬過ぎてモンスターかと思ったよ?」
アドニスさんも爽やかに追撃します。
「そりゃこっちの台詞だぜ!? ゴーレムが何処ぞの王子様の首を捻り切って、己の頭に付け替えて歩いてるのかと思ったんだぜ!? 本気でよ!」
「うふふ……」
やっぱり、この三人と居ると、なんだか心が温かくて幸せな気分になります。
……私の目の前に、まだ300gのステーキが「あと2枚」も積み上がっている事を除けばですが。
「それじゃあ、そろそろコナーさんに挨拶に行こうか?」
「コナーさん……?」
「俺の育ての親さ! こんな街で孤児院をやってるんだ!」
「左様。コナー殿は立派な女神教のシスターで、私めも親交があるのですよ」
ガストンさんの……育ての親。
私の脳裏に、突如として『巨漢でバキバキの筋肉を持ち、シスター服をパッツパツに着たガストンさん(女体化バージョン)』の不気味な映像が鮮明に浮かび上がりました。
「おい豆苗! 血は繋がってないからな!?」
「あ、はい! 大丈夫です!!」
(……ひえっ!? な、何故バレたの……!?)
お父さん、お母さん。
私は、勝手にガストンさんを女体化させ、あまつさえシスター服まで着せてしまった恐ろしい大罪人です。……今夜、夢に出てきそうです。
私は……ステーキの味変ソースの選択肢を、どこかで間違えたのかもしれません。




