3-2rep 目指すは女神教の総本山
結局、泣くだけ泣いて「一緒に行く」と言わされた私は、相変わらずガストンさんによって出荷される子豚のように片腕でヒョイとつままれ、荷車の上へ重りとして乗せられました。
ガタゴトと車輪の音を立てて、荷車はゆっくりと街道を進み始めます。
村の皆へのお別れは……結局しませんでした。だって、絶対にまたここへ帰ってくるから。この筋肉達磨たちとの理不尽な旅を生き延びて、絶対にただいまと言いに戻るんです。
さぁ! Sランクパーティー「ゴッドハンズ」、腹筋固めて南方大陸へ出発です!
「なぁ豆苗、これ夜なべしてつくったんだ。あっちは熱いからな」
街道に出てしばらくした頃、ガストンさんがゴツゴツした巨大な手で、畳まれた一枚の服を差し出してきました。
「え?」
見渡せば、それはガストンさんお手製のノースリーブな魔女用ローブ(通気性抜群・速乾・シワになりにくい特別仕様)でした。生地は頑丈そうなのに驚くほど軽くてしなやかです。
「あ、ありがとうございます! 最近無駄に筋肉が付いてきて、今着てるのがキツかったから助かります!」
(なぜ私のスリーサイズにピッタリなのかは永遠の謎ですが……きっとマッスルなインスピレーションの何かでしょう。恐怖なので絶対に知りたくもないですけど)
私のその言葉を聞いて、周囲の三人から一斉に野太い歓声が上がりました。
「いやぁ、モヤシちゃんはまだまだ大きくなるね! 素晴らしい成長期だ!」
と、アドニスさんが爽やかに大胸筋を跳ねさせます。
「おうよ! 豆苗には年末頃には更にデカい服を作ってやんないとな!」
と、ガストンさんが自分の作った服に満足そうに頷きます。
「私とお揃いのノースリーブとは、女神様も脱帽のセンスですな! 腕の可動域が広がって魔力伝導率も上がるというものです!」
と、バジルさんが見事な上腕二頭筋をピクピクさせながら力説してきます。
好き勝手言ってますが、私は魔女です。
筋肉タレントでもビルダーでもなく、魔法を使う繊細な魔女です。
大事なことなので2度言いました。
(……でも、このノースリーブ、確かに肩回りがすごく動かしやすくて、ジェットバットをフルスイングする時の引っかかりが一切ないんですよね……。悔しいけど、めちゃくちゃ動きやすい……)
心の中でノースリーブの機能性に悔しくも感心しつつ、私は荷車の上で深くため息をつきました。
先ず目指すは、女神教の総本山リフターシティ。
バジルさんの故郷へ――。
お父さん、お母さん、私は服装の選択肢を間違えたのかもしれません。




