3-1rep 新たな旅立ち
私の生まれ故郷の小さな町で数日が過ぎた頃、アドニスさん達から「話があるから」と呼び出されました。
「モヤシちゃん、僕達もそろそろ故郷へ帰ろうと思うんだ」
「え?」
「だからお別れだよ」
その言葉を聞いた瞬間、私の心が冷めていくのがわかりました。
「そりゃ俺たちも、その、豆苗とお別れするのは寂しいんだけどよ」
ガストンさんが頬を掻きながら、どこか寂しそうに言いました。
「我々の故郷の南方大陸は、ハッキリ言ってこの北方大陸の比ではなく危険な旅になります」
バジルさんが、腹筋をしながら言いました。
「でも、だって……私達はパーティーで、その、私、全然マッチョじゃないけど、だって、皆で魔王を倒したのに……えぐっ、ひぐっ」
何故でしょうか。涙が止まりません。
三人はオロオロするばかり。
「あーあ、アドニスのせいで泣かせちまった」
「あ、いや、ごめんよ!? モヤシちゃん、君が足手纏いとかじゃなくて、南方大陸は本当にこの前の魔王なんかより危険な魔物がうじゃうじゃいるんだ。君は行きたくないだろうと思って……!」
アドニスさんもオロオロとするばかりです。
「本当はこっそり旅立とうとも思ったんですがね、ガストンが『そんなの寂しすぎるぜ!』って泣き出すもので。やはりパーティーメンバーとしてちゃんと話し合おうとなったのですが、我々はどうにも……筋肉以外の事は苦手でして」
バジルさんのフォローがフォローになっていません。
「ひぐっ……えぐっ……えぐぅぅぅ」
「あぁ泣かないでモヤシちゃん!」
「豆苗泣くな! 俺も辛いんだ!」
「女神様の大胸筋の加護を……!」
「……いぐ……わだじもいぎます、ズビッ」
「え?」
「わだじもゴッドハンズのメンバーでず! ぞれに! わだじの魔法もなじに、えぐっ、ひぐっ、皆さんがまた困るかも知れないから、ズビッ、絶対に付いていぎます!」
鼻水をすすりながら、精一杯の決意を伝えた私に、三人は顔を見合わせました。
モヤシちゃん
豆苗
ティミ嬢
「「「……そんなに鍛え足りなかったんだね?」」」
「へ?」
こいつら今なんて言った?
鍛え足りなかった?
いやいやいや、え? は? お?
私の涙はスンっと引きました。
奴等は、「やっぱり見所があるなぁ」「成長株だ」「女神様の加護だ」と勝手に納得して大騒ぎしています。
お父さん、お母さん。
私はやはり、今回も! 選択を間違えたのかもしれません!!




