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4rep

「ふんっ!」「せいっ!」「筋肉マッスル!!」


ダンジョン内に響くのは、魔法の詠唱ではなく、肉体と肉体が激突する湿った破砕音。

ゴッドハンズの面々が通り過ぎた後には、ギルマンだったと思われる「魚肉のミンチ」が点々と転がっていた。


「おえっ……おえぇっ……」


「おっと、モヤシちゃんには刺激が強すぎたかな? 皆、もう少し原型を留めるように叩け! 特に亜人系は彼女、ダメみたいだからな!」


アドニスさんが、キラキラとした王子様のような笑顔で気遣ってくれる。

(……顔だけ、顔だけなら本当に伝説の勇者様なのに! 下半身がオーガなのよ……っ!)


「す、すみません……足手まといで……。おえっ」


「なーに、気にするな! 豆苗が門を開けてくれたおかげで、俺たちは今、最高のパンプアップができてるんだぜ!」


ガストンさんが、励ましのつもりで私の背中をドンと叩いた。


——その瞬間、私の体は文字通り「くの字」に折れ、弾丸のように飛んで背後の石壁に激突した。


「ティ、ティミ嬢ーーーッ!?」


視界が真っ白になる。

……あぁ、おばあちゃん。おばあちゃんが見える。

お花畑の向こうで、おばあちゃんが笑顔で「ほら、追い込んで! 腕を高く上げて!」と、激しいジャンピングジャックをしながら私を呼んでいる……。


「……っ!! せいッ!!(ボキィッ)」


背中に鋭い衝撃が走り、私は無理やり現世に引き戻された。


バジルさんが私の背中に膝を立て、強引に肺を膨らませる「物理蘇生マッサージ」を施していた。

「ゲホッ、ハァッ、ハァ……! ……あれ? 私……まだ、生きてる?」


「すまねぇ豆苗、悪かった! この通りだ! お詫びに俺が夜なべして縫った、特製クマさんぬいぐるみをあげるから許してくれ!」


ガストンさんが差し出したのは、恐ろしく精巧で、かつどこかマッスルな体型のクマさんだった。


「えっ……あ、可愛い……。ありがとうございます。……その、私がひ弱なのが、いけないんです」


「モヤシちゃん!!」


アドニスの鋭い声が、私の卑屈な言葉を遮った。


「ひ弱なのは事実だ。だが、それを受け入れるな! 君は今、可能性の塊なんだ! 筋肉がないということは、これから全身に『伸びしろ』しかないということだろう!?」


「か、可能性……? 私が、伸びしろ……?」


私の絶望を「成長痛」のように言い換える彼らの瞳は、どこまでも純粋で、狂っていた。


「さあ、語り合いは後だ。どうやら君が壁をぶち抜いてくれたおかげで……ショートカットできたらしいな」


崩れた壁の向こうから、冷たい風が吹き抜ける。そこは、巨大な水の魔獣が鎮座するボス部屋だった。


「よし野郎ども、腹筋を固めろ!! 筋トレ開始だ!!」



——お父さん、お母さん。

私は今、ボスの咆哮よりも、隣のイケメンの広背筋が「メキメキ」と鳴る音に恐怖しています。

やっぱり、私は選択を間違えたのかもしれません……。

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