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OVA第5話:ティミの1日

お父さん、お母さん、おはようございます。

今日は、最近の私の「ある一日のスケジュール」をお伝えしたいと思います。これを聞いて、どうか今の私が正常かどうか、天国から判断してください。


【AM 6:00:モーニング・アップ】

朝、太陽が昇ると同時に、私の意識は強制的に覚醒させられます。

目覚まし時計? そんなものはいりません。寝ているベッドごと、アドニスさんとガストンさんに「アップだ!」と言いながら上下にシェイク(ベンチプレス)されるんですから。

寝起きの脳に血が昇る感覚と共に、外に放り出されて始まるのは、笑顔の筋肉体操……からの、心臓が口から飛び出す全力ダッシュ。

「ティミ嬢、朝の空気は肺胞の活性化に最適ですよ!」というバジルさんの声が、遠くで響きます。


【AM 8:00:地獄の朝食】

ようやく朝ごはんです。

バジルさんの作る手料理は、驚くほど塩が効いていて美味しい……のですが、横に添えられた例のドロっとした液体「プロテイン」だけは、どうしても喉が拒絶反応を起こします。

もちろん、食事中は**空気椅子(クォータースクワット)**が鉄則。足が震えてパンを落としそうになるたびに、「体幹を意識して!」と横から檄が飛びます。


【AM 10:00:円卓のスクワット会議】

次はどの街へ向かうか、魔王軍の情報をどう共有するか。

私たちは円陣を組んで話し合います。ただし、全員でエンドレス・スクワットをしながら。

私が疲労で倒れ込むと、ガストンさんにヒョイと担がれ、即座に「生きた重り」として活用されます。上下運動の衝撃で、朝ごはんが逆流してきそうです。おえっ。


【PM 1:00:ランチ・カーフレイズ】

お昼ご飯も、バジルさんの特製メニュー。

この時間は、踵を上下させるカーフレイズをしながらいただきます。食事の前のバジルさんの「筋肉への祈り(お説教)」が長すぎて、私の脹脛(ふくらはぎ)は祈りが終わる頃には、限界を超えて腓(こむら)返りを起こしています。


【PM 3:00:ジム・オブ・デッド】

午後は街のジムへ。

彼らは目を輝かせて各自の「愛する重り」と戯れていますが、私は違います。

光を失った瞳で、言われるがまま鉄塊を持ち上げます。

「いけるよモヤシちゃん!」「あと一回! 筋肉が喜んでるぞ豆苗!」「ティミ嬢、広背筋の叫びを聞いて!」

代わる代わる飛んでくる応援という名の呪縛。一回持ち上げるたびに、私の瞳からハイライトが消えていくのが自分でも分かります。


【PM 6:00:唯一の救い、湯浴み】

夕方。お湯に浸かって疲れを癒すこの時間だけが、私の幸せです。

故郷では湯浴みなんて月に一度の贅沢だったから。

お湯の中では、筋肉が軋む音も、バジルさんの「プロテインを飲みなさい」という声も聞こえません。


【PM 8:00:フルコース・ディナー】

晩御飯は、鶏のハーブソルト焼き。

一人につき一羽。……一羽ですよ?

みんなは脂質を気にして皮を外していますが、私は「まだバルクが足りない」という理由で、皮付きをそのまま。手首に重り(リストウェイト)をつけ、踵を上げた空気椅子で、必死に肉に食らいつきます。

何度も転がる私。そろそろ目のハイライトは完全にロストしました。


【PM 10:00:深夜の覚醒】

自室での自由時間。

体中に湿布と包帯を貼り付けた私は、愛用の魔法の杖……杖ったら杖なんです! この釘バット「ジェットバット」を握りしめ、鏡の前に立ちます。

ここからが、私だけの時間。

「……加速魔法(フルアクセル)、起動」

魔法陣をフル稼働させ、横フルスイングの素振りを繰り返します。

床に汗の水溜りができるまで、ひたすらに。

……不思議です。

重りを上げている時はあんなに絶望していたのに、バットを振っている時だけは、私の目にギラギラとした光が戻ってくるんです。

「あのサキュバスの膝を折った時の感覚……」「相手の脛を粉砕する瞬間の手応え……」

それを思い出すたびに、どす黒い快感と共に瞳にハイライトが宿ります。


【PM 11:00:狂気の夜】

汗を流しに井戸へ行くと、あいつらはまだ起きていました。

暗闇の中、バーピー運動をしながら楽しげに井戸端会議をしています。狂ってる。

……でも、それを見ながら「あ、ガストンさんの着地が少しズレてる」なんて分析している私も、きっと狂っているのでしょう。

私に気づいた彼らは、「あ、乙女の着替えタイムか!」と慌ててランジウォークをしながら遠ざかっていきました。

バカなんだか、紳士なんだか……。


お父さんお母さん。

私は、魔法使いとしての階段を降りて、別の何かの階段を……それも猛スピードで駆け上がっている気がします。

選択を間違えたという確信が、日に日に強固な筋肉へと変わっていくのが……何より怖いんです。

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