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2-7rep

「きゃー! お昼ご飯のデザートになっちゃうー!!」

私は必死に、なけなしの魔力で『魔法防護シールド』を展開しました。しかし、多勢に無勢。人狼さんにガブリと頭を噛みつかれ、地面をゴロゴロと転がされます。


今はまだシールドが持っていますが、魔力が尽きたら最後。私の頭はザクロかスイカのように弾け飛ぶことでしょう。


もはや抵抗する術もない私は、シールドを維持することだけに全神経を注ぎながら、周囲の惨状を観察しました。


……そこには、竜巻か、あるいは伝説の魔神でも通り抜けたような光景が広がっていました。

3人が進む方向が、ここからでもはっきりと分かります。なぜなら、そのルート上の人狼さんたちが、まるでゴミのように空高く吹き飛んでいるからです。


そして、橋の中央。


そこでは、魔王軍幹部『疾風のウルフェン』が、何やら私たちのリーダーと対峙しているようです。私は必死に視線をそちらへ向けました。


「何者だ、貴様ら! よくも俺の可愛い子分たちをやってくれたな! 血祭りにあげてやる!」


ウルフェンが、幹部らしい禍々しいオーラを放ちながら吠えています。


「俺は疾風のウルフェン! 人狼族を統べる者! 俺の神速の爪をかわせるかぁー! 内臓から食ってやるッ!」


ウルフェンの神速の爪が、アドニスさんの無防備な腹部を襲いました。


——ガンッ!!!

金属が激突したような、嫌な音が響き渡ります。


「え……? これ、腹筋……? 硬……え? 鋼……?」


ウルフェンが呆然と呟きます。


「僕が本気で固めた腹筋の強度は、アダマンタイトよりも硬いからね?」


アドニスさんが、氷のような微笑みを浮かべて言いました。


「じゃあ、次はこっちのターンだ。僕も仲間モヤシちゃんを転がされて、本気で怒ってるんだよ?」


「え? あ? ちょ……お前ら、その娘を……」


「キャンッ!!!」


次の瞬間、アドニスさんの拳がウルフェンの頭蓋骨に深くめり込みました。

恐ろしい内圧に耐えきれず、ウルフェンの目玉が飛び出し、耳からは景気よく血が吹き出します。


アドニスさんは、ぬちょっと嫌な音を立てて拳を引き抜きました。

……目が、全く笑っていません。


そのまま、近くにいた震え上がっている人狼の毛をタオル代わりにして、自分の拳を拭かせています。


リーダーの「本気の怒り」に恐れをなしたのか、私を転がしていた人狼たちも一斉に逃げ出し、私はようやく解放されました。


少し前に魔法防護が切れていたので、本当にギリギリのところでした。……ちょっと股間のあたりが温かくなっている気がしますが、それは内緒です。


橋の上には、かつて「疾風」と恐れられた狼の残骸と、戦意を完全に喪失してブルブルと震える数百匹の人狼、そして血濡れの拳をモフモフの毛で拭く聖騎士(自称)が立っていました。


「……ふぅ、いいパンプアップになった。みんな怪我はないかい?」


アドニスさんが、キラリと白い歯を見せて振り返ります。


「おーい、豆苗! 生きてるか? 随分と派手に転がされてたじゃねぇか!」


ガストンさんが駆け寄ってきて、私をひょいとつまみ上げました。


「ひゃうっ! ……あ、離してください、自分で立てます、大丈夫です、本当です!!」


私は必死に、生温かくなってしまったスカートを隠そうとジタバタします。もしこの筋肉獣たちにバレたら、また「括約筋のトレーニングが足りないせいだ」とか言われて、謎のドロドロ液体を飲まされるに決まっています。


「ティミ嬢、顔色が悪いですよ。……ほう、もしや恐怖という名の精神的負荷ストレスで、逆に代謝が上がっているのですか?」


バジル司祭が、至近距離で私の瞳孔をチェックしてきます。やめてください、司祭様。私は今、代謝ではなく「尊厳」が漏れ出している最中なんです。


「……とりあえず、橋は確保したよ。さあ、魔王城へ急ごう。このままじゃ、せっかくのパンプが冷めてしまうからね」


アドニスさんのその一言で、再び北への強行軍が再開されました。

人狼たちは、私たちが一歩踏み出すごとに「ヒィッ」と短い悲鳴を上げて道を開けます。

私は再び荷車の上に放り込まれ、ガタゴトと揺られながら思いました。


——お父さん、お母さん。

魔王軍の幹部を倒したというのに、このパーティーに漂う「お通夜」のような、あるいは「屠殺場」のような空気は何なのでしょうか。

そして何より、風に吹かれて冷えてきた股間が、私の心をより一層孤独にします。

やっぱり、私は選択肢を、根本から間違えてしまったのかもしれません。

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