表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/17

2rep

週に1回くらいのペースで更新予定

完結済み


痩せっぽちの魔法使いと筋肉達のハートフルコメディ

ギルドの酒場『アイアン・バイセップス)』

そこは、街で最も「騒音」と「獣臭」が激しい場所だった。


「ほら、食べなさい! ティミ嬢! タンパク質が足りないと魔法のキレが悪くなりますよ!」


バジルさんが、私の口に特製「岩石イノシシの塩焼き」を次々と放り込んでくる。


もぐもぐと必死に咀嚼する私の目の前で、アドニスさんもガストンさんもバジルさんも、楽しそうに笑いながらエールを煽っている。

だが、おかしい。


……机と椅子があるのに、彼らは誰一人として座っていない。


彼らは全員、中腰。そう、地獄の「空気椅子」の姿勢で宴会を楽しんでいるのだ。


「あの……皆さん、椅子、空いてますよ……?」


「ふっ、甘いなモヤシちゃん。椅子に座るのは筋肉への冒涜だ。日常のすべてをトレーニングに変えてこそAランクだ!」


アドニスが爽やかな笑顔で、太ももをプルプルさせることもなく言い放つ。

そこに、ギルドの受付嬢・カレンさんが引きつった笑顔でやってきた。


「……よかったわね、ティミドちゃん。彼ら、見た目と行動は……その、かなりアレだけど、実力だけは本物のAランク冒険者よ。しっかり鍛えてもらいなさいな……(だからお願い、一日も早く彼らをダンジョンに連れ出して、街の器物を損壊させないで)」


カレンさんの目が「犠牲になってくれ」と語っていた。


「よっしゃあ! ここらで新人歓迎の儀式を始めるぞ!!」


ガストンが、ティミドの胴体ほどもある巨大な盃を、ドォォォォン!!と机に叩きつけた。


「えっ、あ、お酒ですか!? 私、未成年で、飲めな……」


「違う! 『地獄の耐久スクワット対決』だ!! 最初にギブアップした奴が、今日のプロテイン代……じゃなかった、宴会代を全額奢りだ!!」


「「「「レディ……ゴー!!」」」」


「イチ! 二! サン! シ!!」


「ひ、ひいぃぃぃ……っ!?」


酒場の床が、男たちの屈伸運動に合わせてミシミシと悲鳴を上げる。


杖を握るはずの私の手は、今、自分の膝を支えるためだけに必死に震えている。


「ほらどうしたモヤシちゃん?足の震えは武者震いかい?魔法を練るように大腿四頭筋だいたいしとうきんを練り上げるんだ!!」


横でアドニスさんが、涼しい顔で高速スクワットをしながら励ましてくる。


——お父さん、お母さん。

私は今、魔法の詠唱よりも先に、筋肉の断末魔を聞いています。

やっぱり私は、選択を完全に間違えたみたいです……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ